FES☆TIVE、純情のアフィリア、22/7……アイドルディスクレビュー#21(11/22〜11/28)
1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第21回。今回は「FES☆TIVE」「純情のアフィリア」「22/7」の3組を取り上げます。
・FES☆TIVE『新・奇天烈物語』(11月24日リリース)
5人体制として新たなスタート切ったFES☆TIVEがリリースした最新シングル『新・奇天烈物語』は、前作に引き続き表題曲「新・奇天烈物語」を玉屋2060%が手掛けたFES☆TIVEらしい“お祭り感”満載のハイテンションソングに。季節問わずに夏の陽気を漂わせる楽曲を持ってくるあたり非常に攻めているし、FES☆TIVEらしさたる所以なのだろう。
「やっちゃちゃいな」と中国に掛けた掛け声や中国語が盛り込まれたライブ映え間違いなしのチャイナ風のポップチューン「カンフーミラクル〜愛〜」を始め、お祭り感は鳴りを潜め、ピアノロックを主軸に淡い青春を鮮やかに切り取った「YURARI」やEDM調のド派手なサウンドに乗せて歌われる切ない恋心というギャップが面白い「トライアングル」など、ジャンルに富んだカップリングが非常に充実しており、FES☆TIVEの新たな魅力を感じられる作品になったのではないだろうか。過去発表曲の再録verも収録されているので、過去よりもグンとパワーアップしたサウンドの歌唱にも要注目。
・純情のアフィリア『Sing a World~キミがくれた魔法~』(11月24日リリース)
ワンマンツアー「魔法陣と水の妖精〜Magic Circle and Siren of Water fairy」を開催中の純情のアフィリア。ツアーの表題曲ともなっている「Sing a World~キミがくれた魔法~」から感じるのは、たとえどんな困難が訪れようとも未来に向かって自分たちの夢を叶えていこうという“冒険心”。作詞・作曲の本田正樹は過去にも多くのアニソンを手掛けてきたこともあり、シンプルでいて壮大なメロディライン、分かりやすい盛り上がりを見せるサビなど、明快なサウンドメイクにまとまっている。公開されたMVはレコーディングの様子が収められた仕様となっているので、ぜひチェックしてみるといいだろう。
さらに同作にはチームごとの楽曲も収録。赤チーム(渚カオリ・桜田アンナ・夏目ベール・雨森セラ)によるカップリング曲「ここにいるよ」は、切ないピアノのイントロから始まる、“僕”の存在理由を歌ったエモーショナルなナンバー。”僕はここにいる”という存在証明を声高に歌い上げる強烈なボーカルかとにかく絶品だ。青チーム(葉山カナ・寺坂ユミ・東城アミナ)による「My Life is Beautiful」は、ホーンセクションを軸に展開される陽気なサウンドで、自己肯定感の高い女の子の独り言のような歌詞のポジティブっぷりが清々しい。
・22/7『覚醒』(11月24日リリース)
メンバーの海乃るり、倉岡水巴、武田愛奈の年内卒業や新メンバーオーディション開催の発表など、大きな節目を迎えている22/7。11月には現体制としてはラストとなる『ANNIVERSARY LIVE 2021』を開催し、グループのこれまでの集大成ともいえるステージを披露した。そんな節目のタイミングでリリースされたのが、8枚目のシングルとなる『覚醒』だ。シングルとしては2月にリリースされた『僕が持ってるものなら』以来となる新作で、新たな船出を迎えようとしているグループの決意が描き出されている。
表題曲で作編曲を務めるのがこれまでに乃木坂46や櫻坂46、ザ・コインロッカーズといったアーティストの楽曲を手掛けてきた新進気鋭の若手クリエイターのYU-JIN。立ち止まっている暇はない、前を向いて走り出せという自問自答のようなメッセージと共鳴するように、サビには大胆なアレンジが施され、イントロそしてラストのセリフパートでは始まりの予感を感じさせるメロディのリフレインが強烈な印象を残している。9人のラストを飾るに相応しい決意みなぎるナンバーだ。カップリングで特筆したいのは「いつの間にSunrise」。強い主張と攻めたサウンドが特徴の表題曲に対して、全体的に優しいサウンドに抑えられ、過去を振り返りながらも明るい未来を見据えた温かな歌詞からは、これから卒業していく3人へのメッセージにも捉えられる。