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【浄土真宗の言葉】#65 還相の利益は利他の正意を顕すなり

還相の利益は利他の正意を顕すなり
 
 
 
【解説】
 
今回は「還相回向を恵まれることは、阿弥陀仏による衆生救済の本意をあらわしている」という内容です。
 
 
文中に「利他の正意」という言葉があります。
 
この利他とは何かというと「他を利する」の意であり、ここでは「他=衆生」です。
 
つまり、阿弥陀仏が他(私たち衆生)を利する、ということ。
 
よって他力という言葉は、単なる「自力の反対語」ではないんですね。
 
阿弥陀仏が他(私たち衆生)を救い仏に成らせる、というわけです。
 
 
さて、ではこの他力(他=衆生を救う力)の目的は、一体どこにあるのでしょうか。そのゴールは何なのか。
 
他力とは阿弥陀仏の本願力であり、その阿弥陀仏の目的とは、すべての衆生を救うことです。すべての衆生を六道輪廻から救い出し仏に成らせることですね。
 
ここで思い出されるのが、『大無量寿経』にある法蔵さまと世自在王仏のやり取りです。
 
法蔵菩薩の素晴らしい志を知った師(世自在王仏)が、次のように法蔵さまを激励します。
 
「たとへば大海を一人升量せんに、劫数を経歴せば、なほ底を窮めてその妙宝を得べきがごとし。人、至心に精進して道を求めて止まざることあらば、みなまさに剋果すべし。いづれの願か得ざらん」
(例えば大海の水すべてを1人で升(ます)で汲み出そうとしたとする。それでも永遠のような時間をかければ、海底の水まで汲み出し、宝を得ることができる。そのように、真実の心で精進して仏道を求め続けるならば、どんな願でも達成できないものはない)
 
ここに海の例えが出てきますが、六道輪廻のことを「生死の苦海」とも表現します。
 
 
親鸞聖人の『高僧和讃』には
 
  生死の苦海ほとりなし
  ひさしくしづめるわれらをば
  弥陀弘誓のふねのみぞ
  のせてかならずわたしける

 
とあります。
 
 
また『教行信証』には、
 
  無辺の生死海を尽さんがためのゆゑなり
 
というお言葉を『安楽集』から引用しておられます。
 
 
生死の苦海=数え切れない衆生が迷い続けている六道輪廻。それをご覧になって、その果てしない海を救い尽くそうと決心されたのが法蔵さまです。
 
還相回向という仕組みによって、極楽往生した者が仏と成り、ふたたび苦界(六道)にもどって他の迷える衆生を救う。これが繰り返されると・・・どんどんと衆生が救われていくことになります。
 
最終的には、生死の苦界が救い尽くされることになる。
 
すべての衆生を等しく救ってしまう、まさに大乗仏教の精神が具現化された救済の仕組み。
 
それが阿弥陀仏の本願なのだといえます。
 
 
 
還相 WikiArc
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利益 WikiArc
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利他 WikiArc
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還相回向 WikiArc
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あみだぶつ 阿弥陀仏 WikiArc
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衆生 WikiArc
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他力 WikiArc
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自力 WikiArc
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仏 WikiArc
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本願力 WikiArc
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六道 WikiArc
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輪廻 WikiArc
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大無量寿経 WikiArc
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法蔵菩薩 WikiArc
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世自在王仏 WikiArc
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劫 WikiArc
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経歴 WikiArc
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至心 WikiArc
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精進 WikiArc
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仏道 WikiArc
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生死 WikiArc
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苦海の沈淪 WikiArc
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親鸞聖人 WikiArc
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高僧和讃 WikiArc
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本願 WikiArc
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他利利他の深義 WikiArc
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浄土真宗聖典目次 WikiArc
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【今回の読み仮名】
 
還相‐げんそう
利益‐りやく
利他‐りた
正意‐しょうい
還相回向‐げんそうえこう
阿弥陀仏‐あみだぶつ
衆生‐しゅじょう
他力‐たりき
自力‐じりき
仏‐ほとけ、ぶつ
本願力‐ほんがんりき
六道輪廻‐ろくどうりんね
大無量寿経‐だいむりょうじゅきょう
法蔵‐ほうぞう
世自在王仏‐せじざいおうぶつ
升量‐しょうりょう
劫‐こう
経歴‐きょうりゃく
至心‐ししん
精進‐しょうじん
剋果‐こっか
仏道‐ぶつどう
生死の苦海‐しょうじのくかい
親鸞聖人‐しんらんしょうにん
高僧和讃‐こうそうわさん
生死の苦海‐しょうじのくかい
弥陀弘誓‐みだぐぜい
教行信証‐きょうぎょうしんしょう
無辺の生死海‐むへんのしょうじかい
安楽集‐あんらくしゅう
極楽往生‐ごくらくおうじょう
大乗仏教‐だいじょうぶっきょう
阿弥陀仏の本願‐あみだぶつのほんがん
 
 
 
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色はウェブサイトでよく使われる12種類。
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・光雲な毎日(立読みページ)
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・note『信心獲得したい方へ(浄土真宗の救い)』
信心に悩んでいる方は、こちらのページがおすすめです。
https://note.com/koun18/n/ndbc737a85fa4
 
 
 
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