【浄土真宗の言葉】#67 安楽浄土にいたるひと 五濁悪世にかえりては 釈迦牟尼仏のごとくにて 利益衆生はきわもなし
安楽浄土にいたるひと
五濁悪世にかえりては
釈迦牟尼仏のごとくにて
利益衆生はきわもなし
【解説】
今回は「極楽浄土に生まれて仏となった人は、還相回向によってふたたび苦界に戻り、お釈迦様のように衆生を導き救う」という内容です。
このご和讃には大きな特徴があります。
それは「釈迦牟尼仏のごとくにて 利益衆生はきわもなし」の部分です。
なぜかというと、還相回向したらお釈迦様のように衆生を救える、というわけで、智慧のない凡夫の救済活動とは違うのだと分かるからです。
還相回向というと、中には「獲信したら、その直後から還相の菩薩として働くのだ」という主張をする人もいます。
獲信者=還相の者、というわけです。
この主張は正しいのでしょうか? 少し確認してみましょう。
まず、還相回向する前に「極楽浄土に生まれる」「そこで仏の悟りを開く」という2つのプロセスがあります。
しかしこの主張においては、それらのプロセスが無いことになります。
また、この主張が正しいとすると、獲信者は還相の者ですから「釈迦牟尼仏のごとく」衆生を導き救うことができるはずです。
しかし実際にはどうでしょうか。
たとえば世界大戦のときには、名だたる僧侶が揃いもそろって神道を肯定し賛美しました。
これは戦時中のことですから、神道をベースとしていた日本国家からの弾圧を受けないためには、仕方のないことだったともいえるかもしれません。
ただし結果として、神社参拝を励行され「阿弥陀仏への帰依=神道への帰依」と刷り込まれた若者たちが、戦地に赴いて命を落とす結果となりました。
さて、この出来事は「釈迦牟尼仏のごとく衆生を導き救うことができた」といえるでしょうか・・・?
いや、そうはいえないでしょう。
むしろこれは、智慧なき凡夫の限界であると考えられます。
以上より「獲信したら、その直後から還相の菩薩として働くのだ」という主張は、教義的にも現実的にも、無理があるものだといえるでしょう。
あくまでも私たちは「死ぬまでは智慧なき凡夫」であり、獲信した衆生の場合は、死後に往生成仏したのちに還相回向させていただけるのです。
このグループに参加されているみなさまも色々な説を耳にすると思いますが、お聖教と整合性のとれる内容かどうか確認するのがおすすめです。
『戦時下の真宗教学』龍渓章雄
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ibk1952/33/1/33_1_266/_pdf/-char/ja
あんらく 安楽 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/あんらく
浄土 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/浄土
五濁 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/五濁
末代悪世 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/末代悪世
末法 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/末法
釈迦牟尼仏 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/釈迦牟尼仏
利益 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/利益
衆生 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/衆生
極楽 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/極楽
仏 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏
還相回向 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/還相回向
苦 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/苦
和讃 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/和讃
智慧 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/智慧
凡夫 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/凡夫
獲得 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/獲得
還相 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/還相
菩薩 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/菩薩
あみだぶつ 阿弥陀仏 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/あみだぶつ
帰依 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/帰依
おうじょう 往生 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/おうじょう
浄土真宗聖典目次 WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/WikiArc:浄土真宗聖典目次
【今回の読み仮名】
安楽‐あんらく
浄土‐じょうど
五濁‐ごじょく
悪世‐あくせ
釈迦牟尼仏‐しゃかむにぶつ
利益‐りやく
衆生‐しゅじょう
極楽‐ごくらく
仏‐ほとけ、ぶつ
還相回向‐げんそうえこう
苦界‐くかい
お釈迦様‐おしゃかさま
和讃‐わさん
智慧‐ちえ
凡夫‐ぼんぶ
獲信‐ぎゃくしん
還相の菩薩‐げんそうのぼさつ
獲信者‐ぎゃくしんしゃ
阿弥陀仏‐あみだぶつ
帰依‐きえ
往生‐おうじょう
成仏‐じょうぶつ
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【過去投稿のアーカイブ】
こちらで過去の投稿(1、信疑決判 ~ 15、聖人一流の教え)をお読みになれます。
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【聞法している方へ、ご案内】
・『ゼロからわかる浄土真宗』
浄土真宗が基礎からわかるホームページです。
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・note『死ぬのが怖い人へ』
私の聞法の記録です。
https://note.com/ryuun18/m/mdef818dfed16
・「南無阿弥陀仏」の文字が入ったスマホ用壁紙を作りました。
縦横比は以下の2種類。
・2対1 (iPhone11/11Pro/11Pro Max, iPhone XS/XS MAXなど)
・16対9 (iPhone5/6/7/8, Androidなど)
色はウェブサイトでよく使われる12種類。
こちらでダウンロードできます。
http://amidabuddha18.com/kabegami/
・安心論題の話
http://labo.wikidharma.org/index.php/安心論題の話
・光雲な毎日(立読みページ)
http://koun18book1.blogspot.com/
・note『信心獲得したい方へ(浄土真宗の救い)』
信心に悩んでいる方は、こちらのページがおすすめです。
https://note.com/koun18/n/ndbc737a85fa4
南無阿弥陀仏