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ヘーゲルとアリストテレスに学ぶ二項対立を乗り越える思考法

こんにちは、最近はInitial Engineという日本企業のDXに火をつけるベンチャーでCTOをやってます。

だいぶ前なのですが、両利きの経営について書かれた本を読んで、探索と深化のバランスの大切さについて考えさせられました。

すぐわかるように、ここには二項対立が潜んでいます。
探索をしていると、深化がおろそかになるし、逆も然りです。

ここから学べることは、どんな主張も絶対的ではなく、状況に応じて柔軟に捉えることが重要だということかと思います。


哲学者のヘーゲルは、「正反合」の思想を提唱しました。
ある命題(テーゼ)に対して、その反対の命題(アンチテーゼ)が現れ、それらが融合することで新しい命題(ジンテーゼ)が生まれるという考え方です。

経営書や自己啓発書でよく見られる二項対立的な主張は、この「テーゼ」と「アンチテーゼ」の部分だけにフォーカスされます。
例えば、「マイクロマネジメントと権限委譲」「中央集権と非中央集権」「効率と効果」などの対比です。

これらは偏りを持って主張が語れることが多いのですが、どちらか一方が正しいとか間違っているのではなく、状況に応じてバランスを取ることが大切だと僕は考えています。

釣りなども含まれますが、「両利きの経営は間違っている!」「リーンスターとアップは幻想だ!」とかざして、アンチテーゼの主張を展開するといったことが多く見られます。
しかし、世界は複雑なので、簡単に間違っている、正しい!とは語れないはずなのです。

CTOやDXのコンサルとして働く中で、技術戦略についても同様の問題に直面することがあります。
「モノリシックアーキテクチャとマイクロサービスアーキテクチャ」、「ウォーターフォールとアジャイル」、「内製開発とアウトソース」などは、特に二項対立的に語られがちですが、実際にはプロジェクトの特性や組織の成熟度に応じて、適切なアプローチを選択することがすごく重要です。
アジャイルだから優れているとか、アウトソースするとダメだとかそんなシンプルな問題ではないのです。

これらに対処するには、二項対立的な思考ではなく、状況に応じた柔軟な意思決定が不可欠です。
二項対立的な主張に惑わされず、状況に応じて柔軟に考えることは、ビジネスや人生において非常に重要なスキルだと僕は思います。

アリストテレスの「中庸」は言い得て妙で、本来思考は極端に偏ることなく、バランスを保つことが真髄なのではないかと思います。
そのためには、常に異なる意見に耳を傾け、オープンマインドでアイデアを取り入れる姿勢が不可欠です。
一つの主張にとらわれず、複眼的な視点を持つことで、より良い意思決定ができるはずです。
「僕はこのケースにおいては、この手段がこういう理由でいいと思うんだけどあなたはどう思う?」という展開が好ましいです。

特に、技術の進歩が速い現代において、経営には柔軟な思考が求められます。新しい技術を積極的に取り入れつつ、ビジネスの目的に合わせて最適な選択をする。レガシーシステムと最新技術の共存にも配慮が必要です。

これらの課題に取り組むには、二項対立を超えた思考が欠かせません。
皆さんも、日常に潜む二項対立的な主張に振り回されることなく、柔軟な思考を心がけてみるとよいかもしれません。

これからも常に柔軟な思考を持ち、経営と技術の架け橋となれるよう努めていきたいと思います。

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