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友達の定義

 「私が寂しい思いをしている時、失恋した時、会いたい時、遊びたい時、雑談したい時、病気に掛かった時、お金のない時、Aさんは私のために時間を割いてくれたし、嫌な顔をせずお金を貸してくれた。だからAさんは私の掛け替えのない友達」。

 さて、人生経験の豊富な方であれば、上記のようなことを口にする人に対して、こう言いたくなるのではないでしょうか。「それは友達ではなく、知人と言うのですよ」。

 その人が友達であるかどうかは、平時ではわかりにくいです。命の危機に瀕している時でもわかりにくいです(その人は恩を着せに来ている可能性があります)。しかしこの時に明らかになります。つまり、あなたが世間から誤解されたり、嘲笑されたり、非難されている時です。社会的に弱い立場になった時です。不利益を被ってでも、多くの敵を作ることになろうとも、あなたを受け入れ、支え、応援してくれるのであれば、その人こそが友達です。

「皆さん心配して下さって………人の心を知りたくば わずらってみよとはよくいったものですね。」
「わずらってみたくらいじゃ 人の心なんてわかんねえよ。気のちいさいやつや悪い奴が 一番最初に見舞いに来たりしますからね。」

ジョージ秋山『浮浪雲』(第8巻), 小学館, 1977, 第一章「ほんとにいいひと」より