2020M-1 東京準々決勝レポpart2 華々しく散った漫才師たち
【まさかの結果 届かなかった思いを紡ぐ総大会の死闘もいよいよ佳境へ】
ついに準決勝に進む25組が発表された。
その結果は筆者を含め、現地組の予想とは大きく乖離する衝撃的な結果となった。
某ルポライターの予想も同様らしく本人曰く「この予想結果では廃業もの」との事態だ。
そして大阪:東京の進出者割合が去年と異なり今年は12:13(去年は7:18)となった。
これも衝撃の度合いをより色濃くするものとなったが、相対的な審査の中で
悔し涙を飲んだ漫才師たちが多く見受けられた。
彼らの出来の高さと期待値を考え、そりゃあ現地で見ててそのコンビらに傾向するのは許してほしいのだが、結果を見たときに強く落ち込んでしまって一筆取っている今も
複雑な思いでいる。
あえて1位を決める残酷さ だからM-1は最高なのだ
「漫才はな、一人では出来ひんねん。二人以上じゃないと出来ひんねん。でもな、俺は二人だけでも出来ひんと思ってるねん。もし世界に漫才師が自分だけやったら、こんなにも頑張ったかなと思う時あんねん。周りに凄い奴がいっぱいいたから、そいつ等がやってないこととか、そいつ等の続きとかを俺達は考えてこれたわけやろ?ほんなら、もう共同作業みたいなもんやん。同世代で売れるのは一握りかもしれへん。でも、周りと比較されて独自のものを生み出したり、淘汰されたりするわけやろ。この壮大な大会には勝ち負けがちゃんとある。だから面白いねん。でもな、淘汰された奴等の存在って、絶対に無駄じゃないねん。やらんかったらよかったって思う奴もいてるかもしれんけど、例えば優勝したコンビ以外はやらん方がよかったんかって言うたら絶対にそんなことないやん。一組だけしかおらんかったら、絶対に面白くなってないと思うで。だから、一回でも舞台に立った奴は絶対に必要やってん。ほんで、全ての芸人には、そいつ等を芸人でおらしてくれる人がいてんねん。家族かもしれへんし、恋人かもしれへん」
「だから、これからの全ての漫才に俺達は関わってねん。だから、何をやってても芸人には引退はないねん」
©又吉直樹 火花より抜粋
これは小説火花の主人公神谷のセリフである。今まさにこの通りだなと感慨を感じている。準決勝に進んだ25組がすべてではないと。
これは決勝に進む9組が発表されたときにも同じことがいえると思う。
去年もそうだったのだが、準々決勝以降は圧倒的にウケていても落ちる組がでてくるようになったと思う。3回戦までは滑っておちる波乱はあるがこの質の波乱がおきることはほとんどない。
その煽りをうけ拍手笑いをかっさらたが敗退したコンビが多かったように思う。
神谷が言うように彼らあってこその25組なのだ。そのシュール漫才による通過は負けた井下好井の正統派漫才やデニスらのハーフ漫才があってこそなのだと感じざるをえない。
ある意味、準々決勝のレベルになってくるともはや限られた審査員によるオーディションの色合いも強くなっていると思う。
正統派漫才のテイストを持ったコンビらだけで25組が決定するわけではなく、そこには時代や流行り、タイミングも考慮された相対的な評価でバランスが決定されているのだ。
面白くないからではなくて、たまたま選ばれなかっただけと。
その残酷さを含むのが賞レースであり、特にハイレベルで世間への影響も大きいM-1グランプリなのだと。
ただし、逆にこの残酷さがあるからこそ、この選ばれた25組は本当に最高の25組なのだと思う。1回戦から戦っている全芸人の知恵や努力も受け継いで選ばれたセミファイナリストたちなのだから。
圧巻のパフォーマンスを魅せた6組
ウケ量や熱量でいうと、セミファイナリストと遜色ない、もしくはほとんどがこちらの方が高かったコンビたち。
惜しくも飲んだ涙は来年、絶対に返してほしいと思います。
内容や印象の言及はあえて割愛しますが本当に最高でした。
めっちゃ笑いました。ただそれだけです。ありがとうございました。
いよいよ準決勝 決勝への切符を手にするのは誰だ
色々批判ぽくなってしまいましたが、そのつもりではありません。
こういう仕組みだからこそ最高の大会なんだと改めて思った次第です。
12月2日に行われる準決勝は面白くないわけがない。
期待して待ちます。次はファイナリスト予想を書こうと思います。
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