9/30

この頃、朝のまだ暗い時間帯に必ず中途覚醒する。そのまま寝付けず起きてしまう時もあるが、大抵はさっき見た夢を脳内で反芻しながらじっと目を瞑っていると、いつの間にかまた眠っている。その後も2、3回は起きる。起き上がるのがめんどくさいので横たわったままでいて、やがてアラームが鳴る。

9時半に起きてコーヒーを淹れる。全然食欲がないな、もう終わりだと思っていたら、コーヒー豆を挽いている間に徐々に空腹感が出てきた。巷で「鳥の餌」と呼ばれているフルーツグラノーラを牛乳に浸して食べる。
若干悲しい気分がある。朝は大体なんか悲しい。
ゴホゴホ咳をしながら煙草を吸う。肺が痛いし、不味すぎる。もう煙草やめたい。マジで。
セルトラリン(抗うつ剤)とアストミン(咳止め)を飲む。薬漬けでワロタ。

めんどくさいなあ、めんどくさいとしきりに思いながら、5日ぶりくらいに髭を剃って寝癖を直した。着替えて、歯を磨いて、チャリに乗って会社に向かった。空はどんより薄曇りで灰色の景色、雲間からわずかに青空が覗いている。
先週業務を引き継いでもらったことに頭を下げつつ、デスクに座る。石川さんは打ち合わせでいないらしい。
デスクに座って画面と向かい合った瞬間、如実に脳が靄に包まれて意識がぼやける感覚があり、嫌だなあと思う。
やる気がせず手のひらで健身球をぐるぐると回した。ちまちまと雑用を片付けた。

昨日読んだ「うつヌケ」という鬱から抜け出す過程を描いた漫画で、「鬱は心の風邪なんかじゃない、鬱は心のガンだ」ということを言う場面があり、そのことを思い出していた。本当にそうだと思う。放っておくと死に至る。効果的な治療法は見つかっていない。様々な原因によって鬱という症状が引き起こされるので、治療法もそれぞれ異なるのかもしれない。
金さえあればしばらく南の島にでも行って寝転んで暮らすのに、と思う。でも別に金がないわけじゃない。将来がかなり不安だけど、やろうと思えば数ヶ月くらい休めないことはない。死ぬくらいだったら全部投げ出して現実逃避の旅に出かければいいのに、と思う。何故そうしないのか。面倒だからだ。そうまでして自分の心を救いたいと思えない。昨日と同じ今日、今日と同じ明日を繰り返す以外のことをしたくない。日常からはみ出たことをするには気力がいる。気力が湧き出るためには「やりたい」と強く欲する心が必要で、何かを欲したり期待する力は今の俺にはもうない。だから、繰り返しの日常がこの身を徐々にすり減らすことが分かっていても、ここから動くことができない。休むことがこんなに難しいことだとは思わなかった。
友達はみんな俺が幸せに生きられることを望んでくれている。多分職場の人も。折に触れて伝えてくれる思いやりのある言葉や労いの言葉は、きっと上辺だけのものではないだろう。人の優しさを素直に受け取れないことが悔しい。どんどん無気力に無感動になっていく自分が怖い。俺だって人のことなら幸せになってほしいと願うことができるけど、自分のこととなると……いや、これ以上は「申し訳ループ」にハマるので考えるのをやめよう(鬱の症状によって周囲の人たちの好意や期待に沿えないことを申し訳なく思い自責の念に駆られ更に症状を加速させる悪循環の意)。
最近は思考停止が上手くなったと思う。考えても無駄だということが分かったからだ。抵抗しても無駄なんだ。鬱々としている時はじたばたせずに鬱々としている他ない。疲れちゃうからね。
毒の沼地にいるみたいに、生きてるだけでHPが削れていく。そろそろ死にまーす。

煙草を吸いに外に出たら、薄い雲の合間から差す柔らかな光とともに、ごく僅かな小粒の雨がきらきらと降っていた。綺麗だった。

まだ咳が出て菌を撒き散らしていたので、午後から在宅に切り替えた。ダイエーで米とか買って帰った。

家に帰って小一時間横たわった後、コーディングを進めた。まあそれなりの進捗だった。家で仕事してるととめどなく独り言が湧き出てくる。

夕飯はモーカザメの煮付けを作った。ちょっと目を離した隙に煮汁が全部なくなっていて焦がしてしまった。焼き魚風味になってしまったがまあ美味しかった。モーカザメという食材を生まれて初めて食べた。弾力のある白身魚という感じ。

食後に座椅子でぐったりとしながらみんなの日記を読んだ。
友達も日記の人たちも俺も、みんな何かに囚われている、ということを思う。全員とは言わないけど、かなりの割合。自分ではコントロールできない強迫観念のような何かに追い立てられている。それはどこから湧き出てくるんだろう。どう付き合っていけばいいんだろう。
時々感覚があまりにも強く拷問じみていて、とても付き合っていくどころの騒ぎではない。
なんかさあ、なんか、みんな辛そうじゃんか。なんなの?
そんなに苦しまないで。そんなに独りぼっちにならないで。何も足さなくても、引かなくても、あなたはあなたのままで素晴らしいよ。あなたがあなたらしいというただそれだけで。あなたはあなた自身をもうそれ以上追い詰めないで。
って人のことなら思えるんですけどね……。

捻くれているので「みんなちがってみんないい」という言葉が嫌いで、「みんなちがってみんなダメ」を今まで信じてきたが、一周回ってみんなちがってみんないいでもうよくない?という気がしてきている。

この世って地獄なのかなと最近はよく思う。望みは叶わないようになっている。欲しいと思ったものほど遠ざかり、鋭く光って目を痛める。満ち足りた人のすぐそばでボロボロの人が泣いている。治ろうとすればするほど病気は悪化していく。
みんな幸せになってほしい。何の心配もなくただ笑っていてほしい。みんなが全員幸せになったら、あわよくばその後で俺を穴の底から引きずり出してほしい。他力本願でワロタ(笑)俺たちってずっとこの穴の底で生きていくの?そんなの嫌だ!!!!!!!!!!!!!!

今日はトータルで見ると比較的機嫌よく過ごせたと思う。日記を書けたということはそういうことだ。何にせよ意欲がある。意欲がある時はなんかやればいい。それだけでいい。意味とかなくていい。キショい文章を長々といっぱい書いてしまった。ま、いいか。
こういう日が少しずつでも増えていけばいい、とささやかな期待を持つことすら、今は怖い。エッシャーの騙し絵の階段を登っているようで……

毎日空の写真を撮ってヘッダー画像にしようと思っていたけど空の写真を撮るのを忘れた。





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