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全てのことがどうでもよくなった。こんな自分も、苦しみも、ただそこにあるだけで、どうしようもない。未来のことなんて1ミリも考えてはいけない。何一つ期待しない。死にたいとも生きたいとも思わない。ただただ疲れた。身体から骨がなくなったみたいにくにゃくにゃになって全然力が入らない。思考に靄がかかったように何も思い浮かばない。とりあえず横になりたい。気の済むまでいつまでも眠っていたい。眠り続けたまま人生を終わりたい。

重荷を外せ、と石川さんに言われた。今まで人一倍頑張って来たのだからもういいのだと。なすにも、りゅうは頑張りすぎたんだよと言われた。そうかもしれない。でも俺が重荷を下ろしたらそれを誰かが背負うことになるだろう。担当している案件があって、納期がある。車輪が回転するように毎日毎日やることがある。誰も文句ひとつ言わず粛々とやっていく。俺が仕事を投げ出せば、蓮見さんか大沼さんがやることになるだろう。自分の仕事を人に押し付けるのはやっぱり嫌だなと思う。そういうことをいちいち考えているから鬱になるのかもしれない。とにかくデスクに座ってPCの画面を見つめていれば、ちょっとずつでも仕事は片付いていく。やることがある限りは出来るだけそこにいたいと思う。今日は比較的体調がマシだったので最後まで職場にいられた。

体調が悪ければ早退も欠席も自由にしてくれていいと言われているが、納期がチラつく。納期に間に合いそうになければ誰か他の人に引き継ぎをしなければならない。そっちの方がストレスだろう。まだいけるだろ、頑張れと思う。もうできない。頑張れない。なるべく無理をしないように気をつけようと思うが、自分が無理をしているかどうかの判断がつかない。生きているだけで無理をしているような気がする。人に心配されたり腫れ物扱いされるのも嫌だ。普通のことを普通にやりたい。普通って何だろう。いくら周りの人が良い人でも、職場が社会の一部である限り、そこには日本社会の縮図が現れているように思う。俺がちゃんとしなかった分誰かがその皺寄せを受けることになる。何のために仕事してるんだろう? 一体何の役に立っているんだろう? もう俺は自分で何一つ判断できない。昨日とそっくり同じことをやって僅かばかりの安心を得る。

眠そうやなと石川さんに言われた。石川さんには全部バレている。だるんだるんで全然力が入らないです、と言ったら、だるんだるんの範囲で出来ることをやればいいんじゃない、と言ってくれて優しかった。

希望がない代わりに絶望もない。時々すごく悲しい気持ちになるけどそれすらどうでもいい。感情は放っておけばそのうちにどっかに行く。ふと奈緒と暮らしていた町田の家の光景がフラッシュバックすることがある。突然奇妙な鮮明さであの景色が勝手に浮かび上がってくる。自分から思い出そうとしてもなかなか上手くいかない。ただ向こうからやってきて通り過ぎていく。フラッシュバックが起こるとラッキーと思う。そうして目を閉じて懐かしがる。こうした記憶も薄れていく一方だろう。時間が何もかも解決していってしまう。

ゆうちゃんにギターを教える約束をしていたな、と思った。ゆうちゃんにギターを教える約束を守れなかった。癇癪を起こしてブロックしてしまった。時々そういうことがすごく悲しい。自分で自分を嫌いになるようなことをしすぎてもう後戻りできない。一瞬だけど人生が輝いて見えた。輝きはいつも一瞬だ。そういうものをいつも自分の手で壊してしまう。ゆうちゃん元気にしてるかなー。

人と話すと気が紛れて一時的に平常心を取り戻すことができるが、別れて一人になった瞬間に途方もない疲労感が追いかけてくる。自分のことが嫌いで、その自分を他人の前に恥ずかしげもなく晒してしまったという後悔の念だ。それは人間不信の裏返しでもある。そういうことを考えるのも疲れたし、分かっててもどうしようもない。まったく、30手前にまでなってまだ自分とか他人とか言ってるとはね。人は人である限り多かれ少なかれ一人でいると寂しいと感じるようにプログラムされている。パラメータは人それぞれ偏りがあって、それも仕方がないんだ。まあ俺はかまってちゃんだからちょっと無理してでも他人と会話をした方がいいな。

本を読むのが愉しい。他のことを何も考えなくていいし、勢いづいてくると文字を読もうとしなくても文字の方から勝手に飛び込んでくる。最近はカズオ・イシグロにハマっている。淡々とした文章から静かな恐怖や痛みが染み出してくるようで、薄ら寒くなるんだけど、水の中にいるみたいに不思議と心地がいい。これが会話の代わりになればいいのに、と思う。本が友だち、みたいな。この世にはまだ読んだことのない小説が何万冊もある。それらを読み尽くしていくことに人生を捧げたっていい。
とはいえ本を読めるのも体力が余っている時だけだ。鬱が酷くなると目が滑って何も入ってこなくなる。そこからが本当の孤独。最近は寝っ転がってyoutubeを見ることさえ困難な疲労感が珍しくない。

チャリを漕ぎながら、やっぱりでっかいおっぱいだよな、と思った。そんなことはないだろという気もしたが、面倒臭いのでそれ以上考えなかった。

とても過ごしやすい気候だ。涼しいどころかもはやちょっと寒かった。あと3ヶ月もすればもう年末とは。昔は調子に乗っていてちょっとDQNっぽいところがあったので、夏が一番好きだと思っていたが、今は秋が一番好きだと思う。過ごしやすいのが一番。

喉がイガイガする。風邪をひいたかな。

おやすみなさい。



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