育成するときの心の状態


(流水)組織の歴史は協業の歴史と言われるようですが、複数の人と仕事や家事を分担して、成果を出したり生活をしたりしてきた現実があると思います。人間一人で出来ることには限界があると思いますし、効率良く協働することで、大きな仕事や長期にわたる育児などが実現されているのだと思います。効率良く仕事が進むときは楽しいのですが、時にはそのやり取りなどにイライラしてしまうことがあるのですが、麻和実さんはそのような場合どうされているのでしょうか。

(麻和実さん)確かにイライラしてしまうことってありますよね。時代的にも、SNSを含めコミュニケーションツールも増え続けている時代ですし、協働の形も多様化していて、コミュニケーションのストレスが多い時代とも言えるかもしれません。そんな中で、少しでもイライラすることが減っていくように意識できそうなことをお伝えできればと思います。流水さんは、仕事においての対人関係で、どんなことにイライラすることが多いですか?

そうですね。私の場合は、上から目線でものを言われたり、仕事の期限を細かく詰められたりするとイライラするのですが、最近は特に、後輩の育成をしているので後輩の反応にイライラしてしまうことが多いですね。

確かに育成というのはなかなかに難しく、育成する側のメンタルにも負荷がかかることが多いと思われます。では、育成するときの心の状態を少し見てみましょう。

不安や緊張感

誰しもが、初めて育成する側に回るというときがあります。それは自分にとっては未体験の領域で、不安や緊張感を伴う場合も多いかもしれません。たとえ自分が通ってきた道だとしても、自分が進むのと、人が進むことをサポートすることでは勝手が違うものです。そして、育成対象が後輩ならば、先輩として見せたい顔もあるかもしれません。また思いやりという側面から、後輩の前で不安や緊張感を見せない方がいいと判断されることもあるでしょう。

まずは育成し慣れるまでは、「自分は未体験の領域に挑戦している」という自覚があるといいかもしれません。恐れは当然で、不安も当然です。そのような心理状態の場合、育成対象の反応に過度に一喜一憂してしまったり、過度に反応してしまっているかもしれない。自分が通ってきた道ではあるが、育成という領域においては、自分も育成を経験させてもらいながら、後輩と一緒に成長の階段を登っている感覚があるといいかもしれません。

恐れ

不安や緊張感に通ずるものがありますが、責任感を持ちやすい人は、自分はちゃんと育成できるのだろうかという恐れを抱くことも多いかもしれません。育成の手応えがない場合や、思った通りに進まない場合は、自分には育成する資格があるのだろうかと思ってしまったり、自分じゃない方がうまく育成できるのかもしれないと思ってしまうかもしれません。

このような場合は、「育成経験豊富な人や育成上手そうな人との無意識に比較している」という自覚があるといいかもしれません。年長者や経験者の中には、自分よりも育成経験があったり育成が上手という方もいらっしゃると思いますが、そのような方々にも育成という領域が不慣れで未体験の時期があったと思われます。自分はその階段を一歩一歩登っているし、登るしかないんだ、と思い切れるといいのかもしれません。

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流水note

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27歳の時に内面的な側面に興味を持ち始めました。 日々の小さな疑問の答えを求めて、探究し、 自分なりに辿り着いた解釈を発信しながら、 変化…

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