【2023】COMIC OF THE YEAR
1月も後半かあ。すっかり年始感もなくなっちゃいましたね。
2023年の漫画ライフを振り返り。
ここ2,3年やってるCOMIC OF THE YEARです。
正直、2023年は「それなりに読んだつもりだったけど、いざベストを選出するとなると意外なほどに少なかった」年でした。2022年のときにも書きましたけど、COMIC OF THE YEARの選出基準は「2023年の時点で漫画雑誌等に連載されている/いたこと」で、コンセプト的には「次に来る漫画大賞」「このマンガがすごい」なんかに近くって、長期連載作品はチョイスしない。あと、以前選出した作品は基本的には選ばない。・・・・ので、いかに新規開拓での(個人的)ヒットが少なかったか?という結論になってしまうのか。
2021年、2022年と10作品選んでいたけれど、今年は5作品+次点をいくつかって感じです。2020年~2022年の結果リンクは以下に。
「みどりの台所」秋ヨシカ
この作品の肝は設定の妙。終末世界モノはよくあるけれど、「みどりの台所」は「肉を食べる植物 "肉植" によって動物も人もいなくなった=肉が手に入らない世界」という設定。だもんで、主人公のみどりは様々な食材を使って「この世界ではありえない」料理を生み出していく。大豆でとんかつ、豆腐&ごぼうでフライドチキン、れんこんで鰻の蒲焼などなど。現代における代用肉の問題などにも切り込むテーマなんだけど「代用肉で作った料理んまい!」だけで終わる作品ではありません。決して、終末世界における日常モノではないということは言っておきたい。巻を追うたびに新展開が待っています。コミックファズ連載中。
「MUJINA INTO THE DEEP」浅野いにお
ビッグコミックスペリオール連載中、浅野いにお新作です。いにおに関しては新刊出たら必ず買う信奉者といってもいいレベルなので、多分にバイアスかかってると思いますが、んまあ当然のように面白いです。人権を剥奪されたムジナにして暗殺者である主人公‣ウブメ。物語のキーを握りそうな家出少女・ジュノ。彼女らを匿う弱小ゲーム会社の社長・テルミ。そしてライバルとして登場するムジナにしてインフルエンサー・テンコ。彼らの関係をメインとして展開されるゴリゴリのカタナ・アクション作品で、バッサバッサと人が斬られまくる。単行本、アクションが映える大版コミックも正解です。浅野いにお作品でここまでアクションに振った作品は初めてなんじゃないかな。人権に関する描写は、傑作読切「TEMPEST」の世界観とリンクしているのかなと思うので、TEMPESTもぜひ読んで欲しい。
「脳梁ドッグファイト」常盤魚
とあるカップルご両人の、右脳(本能担当)と左脳(理性担当)のせめぎ合い、ドタバタラブコメ。普通だったら興味が湧かなさそうな題材なんだけど、これはね、めちゃくちゃ面白いです。コメディパートのキレの良さもさることながら、特筆すべきはこれは2人の青春時代のみを描いた作品ではないのだ、ということ。1話毎に「高校生編」「大学生編」「社会人編」「結婚編」とぽんぽん話が飛んでいき、まだ単行本化されていないお話では「もっと先」が描かれています。当然その先にあるのは・・・(脳なだけに) 。個人的には若い頃の悶々より育児とか老後とかいうワードが出てくるお話のほうが刺さりまくるし、様々な年齢層の漫画読みにグッとくるお話があるのではないか?と思う。
あとは珠緒がめっちゃ可愛いのよな。おっぱいの暴力。
週刊モーニングで不定期連載。近日完結するっぽいので、全2巻みたいですね。
「これ描いて死ね」とよ田みのる
漫画家を目指す若者を描いた作品といえば「バクマン」だが(コミックも実写映画も死ぬほど面白い稀有な事例)、すんげー乱暴な言い方をしてしまえば、「これ描いて死ね」は「令和におけるバクマン女子版」とも捉えられてしまうかもしれん。が、ちょっと違う。「これ死ね」のメッセージは「マンガを描く」ことに対する強烈な愛だと思う。これから漫画道を歩む人も。漫画道から外れた人も。絵を描く人もお話を考える人も。漫画を読む人も。漫画が大好きな人を祝福する「マンガ・ラバーへの賛歌」なのである。
この作品においては、あんまり引き延ばさずに青春のキラキラを描き切って終わって欲しいです。プロ編とかいらない (やらんと思うけど)。
マンガ大賞2023、大賞受賞作。ゲッサン連載中。
「虎鶫」ippatu
約200年後の地球。世界情勢は激変し、日本は人の住まぬ魔境と化していた。極秘任務で旧東京に降り立った死刑囚・レオーネと鳥脚の少女・つぐみの出逢いから始まる物語。可愛いらしいが明らかに人外のつぐみを始め、謎の生物が次々と現れる旧東京。なんか日本語しゃべるクリーチャーもいるぞ?読者の「なんなんこれ?」という点は、巻を追うごとに次第に繋がってゆき、やがて一本の太い線となっていきます。
週刊ヤングマガジンに連載されてたけど、7巻で既に完結。6巻の時点で風呂敷が広がりまくってたので、どうやって畳むんだ?と思ってたらかなり綺麗にまとまりまして読後感もよろしかった。人類は滅亡する。
シリアスな展開からちょいちょいギャグパートが挟み込まれる作風は「ベルセルク」っぽいな。レオーネ&つぐみの関係性もどことなくガッツ&パックっぽい。緻密な背景の書き込みは必見。人類は滅亡する。
・・・・以上、5作品でした!
次点として挙げておきたいのは以下5作品。
「ダーウィン事変」は毎回候補に挙がるのだが、なんやかんや選ばないんだな。既刊6巻。かなり面白くなってきていると思います。
「ハコヅメ」をいったん終わらせてまで描きたかったという泰三子の最新作「だんドーン」は「日本警察の父」を描いた幕末モノ。西郷隆盛に島津斉彬等、歴史上の人物もわんさか登場します。ギャグのキレは相変わらず鋭い。
空気感とギャグセンスが好き。ずっと8月31日を繰り返し続けるちょっと変わったタイムリープモノ「8月31日のロングサマー」。
お仕事は、国をも飲み込む巨大なドラゴンの体内に広がる世界で、モンスターの子守り?ファンタジー異色作「魔もりびと」。
強引に押し切られる快感よ。「ヤバイ」。
以上でした!
2024年はもうちょっと意欲的に掘ろうと思います。
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