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1/18「透析を止めた日」講談社発刊 テーマ 『なぜがん患者以外、緩和ケアを受けることができないのか? 』ゲスト: 堀川惠子 さん 仲野徹先生 報告レポート

実は堀川惠子さんが、2013年に上梓された『永山則夫 封印された鑑定記録』に感動し、堀川さんと本に登場する精神科医の石川義博先生をお招きしてのトークイベントをしたいと熱望し、版元の岩波書店にお願いしたことがありました。(今回の本で、その時はパートナーの林新さんの闘病を支えておられた頃だと知る)

「わずか四歳で棄てられた永山則夫。19歳の少年が4人を射殺し、最後は死刑判決を受けるという永山事件、人は人とつながることで人になれるが、つながれなかったゆえに生まれた闇がある。この本では、当時イギリスで心理学について学ばれた精神鑑定医・石川義博先生の存在が救いでした。最後まで読まれたら死刑制度についても考えさせられ、子育てにとって最も大切なことについて気づかされます。最後の最後で涙しました。」というポップをつけ、今も隆祥館書店では、子育てをする親御さんにお薦めしている作品です。(累計502冊販売)


その敬愛する堀川惠子さんの新刊『透析を止めた日』は、元NHKプロデューサーの夫・林新さんの闘病を支え、その最期を看取った経験から、透析業界の問題に迫った医療ノンフィクションです。



今回の本のプルフを拝読して、本屋としてこの現状を伝えなければならないという使命のようなものを感じて企画しました。


とはいえ、今回の作品は、医療の問題なので、対談相手に専門的な知見が必要です。そこで大阪大学の名誉教授で懇意にさせていただいている仲野徹先生に、お願いしました。


告知を始めると緩和ケアを専門とする施設の方々や、透析クリニックの医師など、医療従事者も数多く参加申し込みをされて来られたので、これは絶対に間違いの無い意義のあるイベントにしなければならないと思いました。医療に関する本については、本当に神経を遣うのです。



毎月、一回は必ず隆祥館書店で本をご購入下さる医師の松浦基夫先生は透析医療に長年従事されていたそうで興味を持たれ、また、リエゾンというコーディネーターをされている、元看護士で、公認心理士の伊藤悠子さんも関心をお持ち下さり、それぞれ参加して下さることになったのでした。

第一部では、堀川さんが、林新さんの終末期に実際に体験されたことについて、本に書き切れなかったことについてもお聞きしました。

「林さんは、透析があったから生きがいである仕事が続けられた。そのことに感謝している。だからこそ全身状態が悪化し、命綱であった透析を維持することができなくなり始めた時にも、心のケアを受けることができたら、『魂の痛み』ともいえる苦しみも少しは、軽減されたのではないか?

がんの末期の患者のように、透析患者も終末期には、緩和ケアを受けることができたら」と話されました。

テ-マである、
「なぜ、がん患者(と末期の心不全患者)以外、緩和ケアを受けることができないのか? 

仲野先生にお聞きすると「医療制度の問題やね」と言われ、堀川さんは「医師も誰ひとり遊んでいる人なんていない、医療制度を変えるためには、やはり政治の力が必要なのだと。

今回のイベントには、国会議員の辻元清美さんも参加して下さっていたので、すかさず辻元さんにこの制度の問題の改善をお願いしました。辻元さんも熱心に聞き入って下さいました。

辻元清美さんが参加して下さっていてびっくりされていた様子


「生きがい」という言葉がありますが、映像の世界に歴史を刻んできた誇りを持つ林さんだからこそ、ご自身の病状に耐え切れなかったと思うのです。相手を慮るあまりに闘病を支える堀川さんにすら話さなくなってしまった。けれども本書に出てくる共通の友人の和美さんが来ると話された。というお話から、心のケアをするコーディネーターの存在の重要性を感じました。


最後の病院の医師の対応、足の壊疽が始まっているのに抗生物質の点滴を止めたり、肌に張るタイプの経皮吸収型の持続性疼痛治療剤が、有効に使えたはずなのに処方されていないなど、理解できない部分が、多々あり、なぜなのか? 質問してしまいましたが、そんな時でも、堀川さんは、看護師さんには、本当に良くしていただいたと感謝の気持ちを述べられていました。

第二部では、終末期の緩和ケアのこれからについて、参加して下さった医療関係者の方々からもお話を聞かせていただきました。専門家の方が多く来られたせっかくの機会なのでフリーディスカッションの時間をいつも以上に長く取ったのです。


コーディネーターの伊藤悠子さんからは、患者さんと医師との心を通わせる、相談できる通訳的なことをする窓口が病院にできてきていることを教えていただきました。


また、腎臓内科医の松浦先生からは、「痛みがある患者さんの痛みを取るということは、緩和医であれ、先進医であれ、透析医であれ、全力で取り組まなければならないことだ!なぜその姿勢で取り組まなかったのか!足の痛みは、虚血によるものだと思う、血管を広げたり、神経ブロックしたり、何とかして痛みを取ることをしなかったのか?非常に残念や」と話され、思わず拍手していました。

このような医師がお客様でおられることを誇りに思いました。また、「魂の痛み」については、「サイコオンコロジー学会」という学会もできているということでした。


難しいテーマでしたが、仲野徹先生の医学的かつ、ユーモアたっぷりのトークで、楽しくためになる時間となりました。

堀川さんの体験談から、国にも医療制度としての緩和ケアの充実を考えていただきたいと切に思いました。 

透析を止める時期を考えなければならなくなった終末期の患者や、家族の苦しみを知り、緩和ケアの制度の改革を実現させるためにも、ぜひ、本書を読んでいただきたいと思います。

この本の後半には、透析患者のことを真に考え行動する医師、医療も出てきます。透析患者にとっては、希望の本とも言えます。


堀川さんと林新さんの仕事にかける情熱、林さんが堀川さんにかける思いなどを知れたことも敬愛する私にとっては嬉しいことでした。


堀川惠子さん、仲野徹先生、ありがとうございました。ご参加下さった皆さまありがとうございました。

仲野先生の文楽の豊竹若太夫師匠、激痛に対して「ペインコントロ-ルをなぜしなかったのか?」という的を射た質問、ありがとうございました。

ア-カイブ動画配信 受付中です。

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「透析を止めた日」講談社発刊 

テーマ 『なぜがん患者以外、緩和ケアを受けることができないのか? 』

ゲスト: 堀川惠子 さん 仲野徹先生
司会 : 二村知子 
開催日 : 2024年1月18日 土曜日

ア-カイブ動画配信
費用:3,950円+(内訳:参加費1470円+『透析を止めた日』1980円 送料及び手数料500円)

本無しア-カイブ動画配信  費用: 1,850円

(要予約・事前購入制とさせていただきます。申込み順)
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カ)リュウショウカンショテン

申し込み・お問い合せ:隆祥館書店 TEL:06-6768-1023 
住所:大阪市中央区安堂寺町1-3-4 谷町6丁目⑦番出口向かい
Eメ-ル:ryushokan@eos.ocn.ne.jp
主催:隆祥館書店
協力: 講談社
詳細:
https://ryushokanbook.com


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