ひとりの書店主として伝えたいこと、7月29日時点でブックライナーには在庫が無く、光文社さんにFAX注文、搬入日は7月31日と聞いたが、搬入から19日後、ようやく、お客様の注文品は、入って来た。けれども...
取次からの遅延の話をすると、「何十年も前から起きていることなのに、なぜ今さら?」と、いう人が同じ本屋の中でもいた。
客注品が入らず、ジュンク堂や、紀伊國屋書店へ、8.5掛けで買える「仲間卸しのカード」を持って、買いに走る書店もある。当店も例外ではない。取次が、8%も取るブックライナーは、使いたくても在庫が無いときが、多々あるのだ。また利益が少なくなるため敷居が高い。けれどもお客様がお急ぎの場合は、使っている。(お盆も、現に使ってお客様に渡していた。)
8年ぐらい前から、とうとうAmazonで買ってお客様に渡す書店まで出てきた。そして、それを、笑うしかないと笑い話のように自虐ネタにしている経営者もいた。その自虐ネタを取次の方の前で話されても、取次の方は他人事のようだった。まるで自分のせいではないように。
その結果どうなっていったか?と言えば、多くの書店が、次々に廃業に追い込まれていった。
ずっと、おかしいと思っていた。
15年くらい前、一日に30人ぐらい客注があるときがあった。最近でも、10人ぐらいある。ブックライナーは、在庫が無いときも多々あるので、いつでも使えるとは限らない。利益のないAmazonでも買いたくなかった。赤字になるということだけではなく、その場しのぎの対応では問題の解決にはならないからだ。
当時は、桶川の倉庫にも、取次の使命を果たそうと懸命に取り組む人がいた。原田さんという方だ。
取次への搬入日を原田さんに、伝えておくと、必ず探し出して、何日着とまで、連絡をくれた。原田さんに、毎日、何度もFAXをした。その都度、真摯に取り組み、きちんと責任を果たして下さった。原田さんは、いつの日か、取次で、一番、尊敬する人になっていた。
そんな原田さんが、定年を迎えられ、常勤ではなくなられ、桶川倉庫への連絡ができなくなった。
原田さんの在籍当時は、客注品については、取次への、搬入から、3~4日ぐらいで必ず店に入っていた。
最近は、4日なんて稀なぐらい遅くなっている。一週間から10日はざらだ。
ある日、あまりの遅さに我慢ができなくなって、原因を聞くべく取次の大阪支店の担当を問い詰めた。
すると、最終的に答えた言葉は、全体の物流が減ったために、人を減らしたのだという。
6年ぐらいまえから、隆祥館書店では、客注品や、売り切る自信のある本については、子どもの文化普及協会や、トランスビューという取次から仕入れている。
子どもの文化普及協会は、完全買い切り、送料も負担しなければいけないが、掛け率が若干低く、必ず4日で入る。トランスビューは翌日入る。納期がきちんとわかり、早いのだ。ただ大手版元の本や、仕入れられない版元の本も結構ある。
小さな取次が、きちんと納期を決められるのに、なぜ大手ができないのか?
出版業界に、トーハンと日販という2社しかない寡占状態の構造に言葉は悪いが、あぐらをかいておられないか。
そして何より、それ以上にこうなってしまった原因は、大手取次による遅延や、本の入荷が無いときに、苦境に立たされていたとはいえ、もう取次に言っても無駄だと諦め、ジュンク堂や、紀伊國屋に走って、購入する、またAmazonで、購入するなどしてきた私たち書店自身のせいでもあるのではないか?
自虐ネタにして、問題に立ち向かって来なかったことがこんな状況を生んだと言えないか。だから私は「何を今になって」と言われても声を上げると決めた。
今回、「正体」という本は、2冊頼んだうち、1冊は19日に、入って来た。お盆ということもあると思うが、7月31日搬入から、19日かかっている。しかも、荷割れして、1冊しか入っていないのだ。もう一冊は、翌日8月20日に入ると連絡があった。
あまりの遅延に、桶川倉庫の責任者と話がしたいと、支店の担当に訴えた。
けれども、
上司が、休みに入っているので、3日待ってほしいと言われた。
原田さんのような責任感のある方はおられないのだろうか?システムを作るのは人間だ。これからでも本気で取り組めば、なんとかなるのではないか?まだ、取次に期待している自分がいる。
日販の発注プラットフォーム「NOCS」は、入荷日が提示されるそうだ。
せめて、入荷日をきちんと教えてくれないとお客様との信頼関係も築けない。
だが、19日もかかるとしたら、誰も頼んでくれないだろう。
このような遅延を、書店と取次が、本気で、何とかしなければお客様を引き留めることはもうできない。
隆祥館書店 二村知子
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