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10/18『終わらないPFOA汚染』旬報社発刊 テーマ『PFOA汚染の実態だけでなく、その背景にあるこの国の「公害行政」の欠陥を明らかにする』ゲスト: 中川七海さん 小泉昭夫先生 報告レポート
ライフラインである水が危ない!!井戸水・水道水。
岡山県吉備中央町の水道水のPFAS汚染については、以前NHKでも報道された。
今回のイベントで、染色体異常が起きることもわかった。
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本を書かれたのは、報道機関「Tansa」(タンサ)の記者、中川七海さんだ。
Tansaは、報道機関としての独立性を保つためスポンサーからの広告料は取らない探査報道機関だ。今被害に遭っている人々の現状を変えること、未来の被害を防ぐことを目的としている。
その取材力、鋭い質問、徹底的に追及し、責任を取るべき人間に関しては実名で書く。その真摯な姿勢に、被害者のために権力と闘うジャーナリストとしての覚悟を感じた。
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PFOAは体内に摂り込まれると長く留まるうえ、発がん性などの健康影響をもつ物質だ。
【米国市民7万人の疫学調査で判明した人体への影響】
① 妊娠高血圧症並びに、二審高血圧腎症
② 精巣がん
③ 腎細胞がん
④ 甲状腺疾患
⑤ 潰瘍性大腸炎
⑥ 高コレステロール
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2019年には、日本も批准する「ストックホルム条約」(人体や環境に悪影響を及ぼす有害物質を廃絶、制限するための条約)で最も危険なランクの化学物質に認定。廃絶が決まった。この決定を受け、日本でも2021年にPFOAの製造・輸入が禁止された。
だがその矢先、環境省による全国一斉調査で、摂津市と大阪市の地下水から高濃度のPFOAが検出。2021年と2022年の調査結果から、上位10カ所を抜粋したものを見せて下さった。
大阪は、他の地域より桁一つ多く、ダントツの一位だ。
原因は、摂津市にあるダイキン淀川製作所だ。1960年代後半から2015年までの約50年間、PFOAを製造・使用してきた。
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本書では、2005年にダイキン従業員が京大の小泉昭夫先生に内部告発として送った「社外秘文書」について書かれていた。小泉先生から文書の原本を託された中川さんは言う。「黒塗りはコピーだと見えないが、原本は光を当てると文字が透けて見える」。そこから知り得た情報から、一人一人にあて、言質を取り、紛れもないものであることを証明していく。
※ 内部告発によると、
2002年度のPFOA排出量
排水としての下水処理場 : 約9トン
除外塔より大気に排出 : 約3トン
小泉先生曰く、周辺地域に影響を及ぼさないわけがない大量だという。さらに2000年ごろまでは、ダイキンはPFOAを含んだ排水をそのまま地域の用水路に排出していた。
これらの汚染の影響は現在も続いている。2024年8月、大阪での1193人対象の血液検査の結果、府民の高濃度曝露が判明した。
毒性と残留性の高さが指摘される6つのPFASの血中濃度は、
環境省の調査での全国平均 2.2 ナノグラム
大阪府全体の平均値 6.7 ナノグラム
なんと、全国平均の3倍だ。
国内最大の疫学調査により、ダイキンがもたらしたPFOA汚染の影響が可視化された。しかし日本では、緩い規制のままだ。製造・輸入は禁止されたが、それ以外の規制はない。水道水1リットルあたり50ナノグラムの「指針値」はあるが、「規制値」ではない。企業も行政も責任が問われない仕組みだ。
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現在、ダイキンはどのような対策を取っているのか?聞いた。
1. 淀川製作所の外周に打つ、遮水壁
しかし、遮水壁を打った箇所のすぐそばの地下水の濃度が上がり、国の指針値600倍を検出。
2. 淀川製作所内にあるPFOAを含んだ地下水を汲み上げ、浄化し、公共下水へ流す。
大阪府は、ダイキンに対して排出濃度を暫定指針値(50ナノグラム/L)の10倍(500ナノグラム/L)を目標に排出するよう要請しているが、ダイキンは実際の濃度を非公開。
これだけの事実、また、国内最大の疫学調査により、ダイキンがもたらしたPFOA汚染の影響が可視化されたのに、なぜ国が動かないのか?
市や府、国の対応については、ぜひ本書を読んでいただきたい。
(2007年から大阪府議会で、宮原議員が太田房江知事に訴えていた。その時に向き合っていたら、ここまでひどい状況にはならなかったのではないか)
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これらについて、小泉昭夫先生が応えて下さった。
小泉先生は、日本のPFAS研究の第一人者で、映画『ダーク・ウオーターズ』の闘う弁護士ロバート・ビロットのような存在だ。本書では“日本のロバート・ビロット”と称されていた。小泉先生は20年にわたり全国のPFOA汚染を調査し、摂津市の汚染源がダイキンであるとつきとめた京都大学医学研究科名誉教授だ。
小泉先生が問題意識を持っていなければ、PFOAに起因する疾病も、原因不明の病にされていたかも知れない。
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小泉先生は、次のように話された。
米国バイデン政権は、PFASロードマップを作成し、それを元に、これまでの70ナノグラム/LからPFOA PFOS 共に、4ナノグラム/Lに飲料水を規制した。その規制値を破った場合は、企業に責任を取らせ、取れない場合は一時的に国が肩代わりし、裁判で責任を追及し、後日責任を取らすという「スーパーファンド法案」を作った。
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※アメリカの方が、日本より厳しい法律を作った。だから日本は、「日米地位協定」を盾に、米軍の泡消火器によるPFOS汚染の問題について、今こそ「日本も同じようにしてくれ!」と言わなければならない。そのための「日米地位協定」なのだと言われた。
対して日本の内閣府が政策評価をするために作成しているいわゆる「評価書 有機フッ素化合物(PFAS)令和6年(2024年)6月食品安全委員会 」には極めて非科学的問題点があるとのこと。
国際がん研究機関(IARC)の発表した「発がん性」、「免疫毒性」、「新生児の発育抑制の事実」を無視しているのだ。これらの問題点を批判的に解決していく必要がある。
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IARCに参加した岩崎基国立がん研 疫学研究部長はこの「評価書の決定」に、異議を唱えている。
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さらに、「エコチル調査」(環境省が2011年より10万組の母子を対象とする疫学調査で毎年70億円をかけて、2011年から始めた母子が40歳になるまで追跡する大規模・長期疫学調査。エコチルとはエコロジーとチルドレンの組み合わせ)で、母親がPFASを曝露することで、お腹の中にいた子に染色体異常まで起こっていることが研究論文として発表されている。
科学的に非常に高い評価を得ている論文であるにもかかわらず「評価書」に反映されない。
それはなぜなのか?
染色体異常は、流産の原因になりうる。吉備中央町では、流産の経験を訴えておられた住民の方がおられたが、流産の原因になりうるので、訴えと疫学調査の結果は一致している。また、染色体異常など胎児への影響は胎児の発育抑制とも関連し、また、大阪でも摂津市と対岸の守口市を合併してみると、低出生体重児の頻度は全国余平均よりも高い。一年に70億のお金をかけて、10年以上で得た日本国産のデータ、これを評価書に使わないのは、あり得ない。
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小泉先生は、曝露濃度の表で、血中に含まれている医学的数値について説明された。
数値が、二倍、二倍になるに従い、異常が起こる、吉備中央町や、大阪は、それが異常に高い。だから、流産の確率も高い。大阪全体が、高濃度曝露になっている。
企業は、隠蔽するのではなく、公明正大にすべきだ。政府も、情報公開し、大阪や吉備中央町の住民の将来のためにも真剣に考えるべきだ。と強く訴えられた。
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中川さんは、「科学者としてPFOAが危険だという研究成果を出しながらも規制に及び腰な国の方針に沿って動く人がいる。科学に基づき市民の健康・生活を守るために働く人よりも、保身に回る人が多い」と話された。
小泉先生は、科学者の良心だ。
PFAO汚染への対応として、大阪PFAS汚染と健康を考える会・事務局長の長瀬文雄さんは、「今後、公害調整委員会に訴える」と話されていた。
高濃度曝露になっている大阪に住んでいる人間として、これ以上被害を出さないためにも、これからも、PFOA汚染について学んで伝えていきたい。
他府県の方々も決して他人事ではない。PFOA除去に使用された活性炭の産廃が要因となった汚染が、全国各地で起きている。自分事として考えていただきたい。
もっと詳しく知りたい方は、ぜひ、本書と、アーカイブ動画配信をお申し込み下さい。
特に、大阪府民は、大阪全体が、高濃度曝露になっているので、自分の命を守るためにも関心を持っていただきたいです。
お申し込みは、下記、隆祥館書店ホームページから
https://ryushokanbook.com/
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