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第3回 8小節アワードに寄せて #2「死ぬこと以外かすり傷」

#1「あの日には帰れない」はこちらからどうぞ!



8小節芸人の流儀 ~生きてるだけでかすり傷~

「第3回 8小節アワード」のレギュレーションを紐解くと、曲の長さは10秒から30秒までという項目があります。

15秒(正確には14秒+無音)縛りをやったことがあるので、逆に10秒縛りで一つやってみようと思い立ちます。

4拍子×8小節がちょうど10秒 (=1/6分) になるように、

X (BPM) = 4 (拍) × 8 (小節) ÷ 1 / 6 (分) 
X = 192

※BPM=拍/分

192BPMで制作をスタートしました。
このハイテンポならば「あの日には帰れない」とは対照的に勢いつけていきたかったので、普段やらない邦ロック系の編成に挑戦しました。歌もあります。

Ryuseiとして最後に出した曲が「ランバダS」なので、もはや通りすがりの8小節芸人と化しています。

(これでも別名義ではマニアックなコンピレーションアルバムを企画・制作してたりして、ちょっと手一杯だったという言い訳はしておきます…)

歌詞

死ぬこと以外かすり傷
(んなわけねえだろ!)
(かすり傷なめんな!)
(こっちは一生痛えんだよ!!)
死ぬこと以外かすり傷
(だから痛えんだよ死ぬほど!…)

「終わりでーす」

え?

♪死ぬこと以外かすり傷/Ryusei

1小節潰れるくらいかすり傷

8小節の沼にハマったRyuseiは、どうやって次の”8小節”を使うかを日々模索してきました。

8小節しかないからこそ、クリエイターたちはどう展開を詰めてまとめるか四苦八苦するはずです。

そんな中Ryuseiは、あろうことか最初の1小節を浪費するという手(≒ネタ)に打って出ました。

つまりこの曲の最大のフック(≒ネタ)は、ロックにありがちなドラムスティックによるカウントです。

具体的には、4小節のメロディを2回しする8小節の前に4拍(1小節)のカウントを入れてしまい、2回し目を終える前に8小節を使い切って演奏が中断してしまうというアクシデント(事故)を起こしました。意図的に。

意図的なのでこのアクシデントは割かし計算済みで、ちょうど8小節目の締めに「え?」まで言い切れるように怒涛のボーカル素材の詰め込みを行いました。この辺りはランバダSをやった経験がかなり活きています。

僭越ながら制作したプロジェクトファイルで図解した画像がこちらです。

図1

さらに、意図的に音源をぶつ切れにさせたことで末尾にバチっとしたノイズが発生してしまわないように、「え?」を言い切ったあたり(9.97秒ぐらい)からフェードアウト処理を行って回避しています。

図2


死ぬほど痛いかすり傷

歌詞を読んで頂けたらお察しかもしれませんが、タイトルを付けた私自身は「死ぬこと以外かすり傷」という言葉にそこまで共感できません。

このワードが出た後、文字通り”秒”で「んなわけねえだろ!」等々のセルフツッコミをぶち込んでいます。

死ななくたってかすり傷より痛いこと・苦しいことは無限に転がっているものだと考えているので、死ぬこと以外の”かすり傷”を3000個くらいその身にくらってから言えよなんて思ってしまいます。

全踏みの韻で「死ぬほど痛いかすり傷」と歌う方が、歌の意図としては近いです(でも作曲の段階で浮かんだ言葉は「死ぬこと以外かすり傷」でした)。

お前にとってはかすり傷

他人にとってはかすり傷程度のことでも、自分にとっては辛いという場合も往々にしてあります。

ネットでは、以下の画像に「Pain is relative(痛みは相対的なものである)」というキャプションがついてしばしば拡散されています。

作者の意図はわかりかねますが、まさにそういうメッセージが人々に響いて共感されているからこそここまで広まったのではないかと思います。

痛み一つとっても絶対的な尺度はなく、ましてや死生観なんて大事な考え方は、結局誰に押し付けることはできません。それでも、こうして厚かましくも自分の個人的な考えをアウトプットする場を設けさせて頂きますというスタンスは、「Ryuseiの※個人の感想です。」という無料マガジン名にも込めてきたつもりです。

あくまで個人の感想だから、たった8小節・たった10秒の話であっても、賛同するも反対するも無視するも読者に委ねているのです。

最後に

音楽をやっていくうちにかすり傷をいくつくらおうとも、死ぬまでやりたいことやって自己ベスト更新していきたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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