2024年4月30日(火)|又吉直樹「本当にすごい人は人に緊張させない」
何気無い会話の中で発したセリフだったが、今回の「百の三」の中で、最も僕の心にダイレクトに響いたのが、このセリフだった。
まさか、企画の趣旨である、“テーマに100個答えたら3つぐらいは普段では思い浮かばない名答が生まれる”とは別の、フリートークの部分が一番刺さるとは・・・。これだから面白い。これだから「百の三」はやめられない。
そういう意味で言うと、今回は、又吉直樹が単独で行うのではなく、渦メンバーと共同で行なったのは、僕としては、少々、消化不良な感もあった。というのも、フリートークの部分が、これまでの回と比べて、控えめな印象を受けたからだ。
又吉直樹自身は、一つ一つのテーマに対して、そこから着想を得たことであったり、回想したことであったりを、淡々と語りたそうではあった。だが、渦メンバーがそれを許してくれなかった、僕にはそう感ぜられた。それも、割と早いタイミングで。100個挙げる中の10〜20個目ぐらいの辺りで。“もっと巻かないと!”というリアクションやツッコミを一身に浴びて。
無論、渦メンバーが居ることで、新たな知見が生まれることもあろう。ただ、あくまでも、個人的な趣味嗜好で言えば、又吉直樹が、最終的にはスタッフとマンツーマンで、一回の収録で10時間以上を費やして、捻り出してはフリートークに興じて、そんな話を聴くのが僕は大好きだったんだなと、改めて感じた次第である。
念のために付け添えておくが、僕は別に、渦メンバーのことを“雑味”だと捉えているわけではない。現に、【渦】チャンネルにUPされた動画は、全て欠かさずチェックするようにしている。一部、惰性で見ている感が否めないシリーズもあるが。
閑話休題。
“本当にすごい人は人に緊張させない”
この言葉を聞いてまず思い浮かんだのは笑福亭鶴瓶師匠だ。僕は主に「A-Studio」のイメージが強いが、様々なゲストとの絡みを見ていても、終始、にこやかに、フレンドリーに、話しかけている。ジェネレーションギャップもなんのその、である。老若男女、誰とセットになっても違和感無し。あの姿を見るたびに僕はリスペクトの念を強めている。
何もゲストとの絡みに限った話ではない。いつだかの番組で、二宮和也と、ロケに出かけていることがあった。確かNHKの番組だった気がする。その際は、一般人とも同じように、にこやかに、フレンドリーに、話しかけていた。相手も、“大御所と今話している”という空気感を全く醸し出すことなく、やはり、にこやかに、フレンドリーに、受け答えをしていた。その姿を見て、僕は再び、リスペクトの念を強めるのであった。
笑福亭鶴瓶。まさに読んで字の如くだ。「笑福亭」。「笑う門には福来る」を連想させるような芸名。これほどまでに“名は体をあらわす”が相応しい方もおられないのではなかろうか。
僕のような一般大衆の日常生活においても、笑福亭鶴瓶師匠をお見かけすることは多い。例えば自動販売機で飲み物を買うとする。「健康ミネラルむぎ茶」が売っていたとする。その商品の近くに満面の笑顔でうつっている笑福亭鶴瓶師匠が居る。思わずこちらもニッコリとさせられてしまうぐらいの温和な笑みだ。「麦茶」ではなく「むぎ茶」なのも、この笑顔とマッチしていて大変よろしい。彼には丸みを帯びたひらがながよく似合う。
僕は思う。この表情によって売り上げに多大な貢献をしているのではないかと。ここまで来ると神業である。全く別次元のベクトルだが、彼もまた、やはり大御所なのである。良い意味で威厳を感じさせない一方で、貫禄はしっかりと備わっている。完璧だ。ケチのつけどころがない。
そして僕は、自動販売機で飲み物を買うのであった。もちろん、迷いは無い。お茶を買うのだ。そう。僕にとっての永遠のヒーロー、松坂大輔がCMに出演していた、伊右衛門を・・・。
おあとがよろしいようで。
【P.S.】
物心が付いた頃から烏龍茶の家庭で育った僕としては、麦茶を飲む習慣が全く無い。飲んだ経験はあるのだが、飲み慣れていないからか、クセがあるように感じて、あまり好んでいないのが実情である。申し訳ない。なので、笑福亭鶴瓶師匠の笑顔に癒されるだけ癒されて、伊右衛門を買うことが多い。これじゃあまるで“笑顔泥棒”じゃないか。マクドナルドで「スマイルください」と言って、そのまま店を後にする客みたいなことをしている。よくないね。
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