ご本人ことを考えたチーム支援
グループホームながせで暮らしているSさんは聴覚過敏が強く耳をふさいでいることもよくあります。
普段はながせの個室で自分のペースで落ち着いて生活されています。
そんなSさんの隣の部屋に住んでいるKさんが部屋で大声を出したりドアを激しく開け閉めするようになり、Sさんの部屋にも大きな音が響くようになりました。
ながせのスタッフもKさんへの支援を考えていますが、ホームだけの要因ではなさそうなので、大声や激しい開け閉めはなかなか収まりません。
そのような中、Sさんはトイレに行って水を流して眺めることが増えたようです。
うるさい音から逃れて流れる水の様子や音で気持ちを紛らせているのかもしれません。
スタッフは保護者さんよりSさんが前にイヤーマフを付けたことがあると聞いて、イヤーマフを準備してうるさい時に付けることができないか試してみました。
イヤーマフを渡すとすぐにはめてくれましたが、しばらくすると自分で外してしまいます。
それでもイヤーマフを付けることができることが分かったので、いつかうるさい時に自分ではめることができるようになればと考えて部屋に置いておくことにしました。
Sさんの支援会議の時に、Sさんに関わる各部署のスタッフでこの状況を共有しましたが、それぞれがSさんにできることを考えて出し合ってくれました。
今できることの一つとして、Kさんの大声が出やすい月曜日にSさんの行動援護を優先的に組んで外出の機会を作り、隣の方が落ち着いたころに帰ってくるという案がでました。
さっそく実行することになり、Sさんはほぼ毎週月曜日にヘルプのスタッフと行動援護で外出し、Kさんが落ち着いた時間帯に部屋に帰ってくることができています。
そして、Sさんが外出している間に、ながせのスタッフはKさんへ活動を入れて対応することにしました。
大声や激しい開け閉めの要因に直接アプローチして解決していくことが難しいので、ホームでできることとして、スタッフとやり取りができる活動を入れてホームでの過ごし方を充実させ、Kさんに充実感や満足感を感じて過ごしてもらうことを目指した取り組みです。
利用者の皆さんはいろいろな要因で不調になったり対応が難しい行動が出ることがあります。
すぐに要因が分からなかったり有効な対応方法が見つからない時は、支援をしていてしんどいものです。
そのような時に、関係するスタッフや部署が協力して自分たちができることをやっていくことは素晴らしいチーム支援だと思います。
ご本人の行動はずっと同じように続くわけではありません。
ご本人のことを考えて、行動の意味を考えて、少しずつでも自分たちができることをやっていけば必ずいい方向に変わっていくと思います。
SさんとKさんはお互いにキツい状況ですが、そのお二人に対してスタッフのみんなが協力しながらできることに取り組んでいることが素晴らしいことです。
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