【Unity×Cursor】AI開発時代におけるプログラム設計の新常識!脱Monobehaviour!?
MonoBehaviourは“Viewクラス”?
Unityでの開発において、MonoBehaviourは視覚的かつ物理的なオブジェクトと深く結び付いているため、他言語でいうところの「Viewクラス」のような役割を果たします。GameObjectにアタッチしてシーン上に配置し、Inspectorで設定を調整する――このフローは、見た目の制御や座標管理が主体の場面では非常に便利です。しかし近年はAIのコード生成や自動リファクタリングを活かした開発が増え、MonoBehaviourに過度に依存すると、AIに書かせにくい要素が多くなるのが現実です。
MonoBehaviourにAIが関与しづらい理由!
MonoBehaviour内のコードを頻繁に更新するたび、Inspectorでの再設定が必要になる
AIが補完しづらく、開発者の手戻り作業が増える
Unityの階層構造やInspectorをAIが把握するのは難しい
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結果的に、MonoBehaviour依存の箇所はAIが関与しにくいコードになりやすい
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データロジックを分離してAIをフル活用
そこで「MonoBehaviourをViewクラスとみなし、データロジックを別に切り出す」アーキテクチャを採用することで、独立したロジック部分はAIにまるごと書かせることが容易になります。以下では、MonoBehaviour依存が強い場合に起こりがちな問題点から、どう脱却してAIと連携しやすい設計を実現するか、その手法を見ていきましょう。
MonoBehaviourへの過剰な依存による課題
純粋C#のテストやツール連携がしづらい
Inspector上での座標管理やイベントロジックが混在し、データ層が可読性を失いやすい
AIが生成・更新する場合、MonoBehaviour特有のライフサイクル(Awake, Start, Updateなど)をいちいち理解させる必要がある
Inspector再設定が伴う変更はAIが自動的に行えないため、ヒューマンの手間が増える
一方で、MonoBehaviourには視覚調整やライフサイクル管理などの恩恵もあるため、まったく使わないわけにはいきません。要は、Unityで表示や物理演算に必要な部分だけMonoBehaviourに任せ、バックグラウンドのデータロジックは極力MonoBehaviour外で扱おうという考え方です。
プロジェクトにおけるMonoBehaviour依存度の評価
まずはMonoBehaviourに依存しすぎているかどうかをチェックしてみましょう!
多数のスクリプトがMonoBehaviourクラスに直接依存している。
MonoBehaviourライフサイクル(Awake, Start, Update等)を多用している。
データ管理やロジックがMonoBehaviour内部に集約されている。
ユニットテストやAIコード生成で苦労している。
他システムやプラグインとの連携時、MonoBehaviour依存が足かせになっている。
シリアライズ/永続化までもMonoBehaviourが担っており、設計が複雑化している。
コルーチンやイベントハンドリングに過度依存し、他言語/AIツールが扱いづらい。
プロジェクト全体がMonoBehaviour主体の設計になっており、別アーキテクチャへの移行が難しい。
MonoBehaviourを継承したクラスが膨大で、クラス階層が煩雑になっている。
インスタンス生成・破棄が煩雑になり、メモリ管理やイベント解放などで不具合が起きやすい。
チェック項目が多く当てはまるほど、AIによるコード補完や自動リファクタリングを活かしづらい環境であると言えます。
MonoBehaviour外へのデータ管理およびロジックの分離方法
「MonoBehaviourはViewクラス」 と捉え、画面表示やオブジェクト操作に限定し、データロジックは別管理することが重要です。以下、段階的にどう独立させていくかを解説します。
Step1: ユーティリティ化
ユーティリティクラス
Unityのシーン状況と無関係な数値演算や文字列処理、アルゴリズムなどを、純粋C#のユーティリティクラスとしてまとめます。MonoBehaviourに依存しないため、CursorやChatGPTなどのAIツールが自動生成・修正しやすく、テストも行いやすいです。
public static class MathUtility
{
public static float CalculateDistance(Vector3 a, Vector3 b)
{
return Vector3.Distance(a, b);
}
public static int Factorial(int n)
{
if (n <= 1) return 1;
else return n * Factorial(n - 1);
}
}
https://zenn.dev/ryuryu_game/articles/ce095ae90dd67e
Step2: ScriptableObjectでデータ分離
ScriptableObject
パラメータや設定値をInspectorで扱いつつ、MonoBehaviourに依存しない形式で保持する仕組みがScriptableObjectです。AIがデータ部分をまるごと書き換えたい場合も、ScriptableObjectとして切り出しておくと、再ビルドやシーン変更の手間が最小化されます。
[CreateAssetMenu(fileName = "GameSettings", menuName = "Settings/GameSettings")]
public class GameSettings : ScriptableObject
{
public float playerSpeed;
public int maxHealth;
}
Step3: FactoryやRepositoryでロジックを集中
ジェネリックなFactory/Repository
AIが書いたコードをシステムに組み込む際、汎用インターフェースに沿って設計されていると、追加や改変が容易になります。たとえばFactoryはオブジェクト生成、Repositoryはデータアクセスを一括で管理し、MonoBehaviourの登場を最小限に留められます。
public interface IRepository<T>
{
void Add(T item);
T Get(int id);
IEnumerable<T> GetAll();
}
public class PlayerRepository : IRepository<Player>
{
private List<Player> players = new List<Player>();
public void Add(Player player) => players.Add(player);
public Player Get(int id) => players.FirstOrDefault(p => p.Id == id);
public IEnumerable<Player> GetAll() => players;
}
https://zenn.dev/ryuryu_game/articles/4af738901e7529
Step4: バックグラウンドロジックを独立
背景システムの切り離し
アイテムの管理やレベルアップ計算など、直接シーン表示に関係ない処理は、MonoBehaviourではなくPlain Old C# Objects (POCO)で設計しましょう。こうすることでAIが生成・編集しやすいロジック領域が広がります。
public class Inventory
{
private List<Item> items = new List<Item>();
public void AddItem(Item item) => items.Add(item);
public void RemoveItem(Item item) => items.Remove(item);
public IEnumerable<Item> GetAllItems() => items;
}
まとめ
MonoBehaviourはViewクラス、AIのためにロジックは独立
最終的なゴールは、MonoBehaviourを主にView(可視化)担当とみなし、データやロジックは別クラスへ切り離すことです。AIが生成・編集するコードは基本的にバックグラウンドロジック側になり、MonoBehaviour上のInspector再設定などの人間でしか扱えない部分を減らすことで、チーム全体の効率が上がります。AI時代には、こうしたCursorなどの支援ツールで自動リファクタリングやコード生成を行う機会が増えるでしょう。そのためにもMonoBehaviour依存を低減したアーキテクチャが、有力な選択肢となります。
さあ、あなたもMonoBehaviour依存から一歩脱却して、AIが書きやすいUnityプロジェクトを目指してみませんか。見た目はMonoBehaviour、裏ではFactory&Repository――そんな構造が、あなたの開発に新しい風を吹き込みます。
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