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「VRを普及させるマーケティング戦略とは」

第1章 研究概要

1-1 はじめに

最近では、Facebook社が社名をMeta社に変更しVRに注力することを公表しました。それに伴いMeta(メタ)社の社名の由来となった「メタバース」という言葉がトレンドとなりVR市場に注目が集まっています。ちなみに「メタバース」とは、これまでの常識を超越した世界を、ネットワーク上のデジタル空間で実現するための発想や技術のことを言い、VRと非常に関係の深い言葉です。しかし、VRの市場は注目が集まっている、一方で市場規模はスマートフォンやパソコンのゲームなどのエンターテーメントに比べて、まだまだ小さな市場規模です。今回の研究では、VR市場に関するインターネットの文献やアンケート結果を調査・分析をすることで、VR市場を今後より普及させるためのマーケティングの方法を考察することを目指します。具体的には日本と世界のVRの市場の売上の推移やVR購入者の年齢や性別、性格を分析することでVRコンテンツをより普及させるにはどのようなマーケティングが適しているのかを詳しく分析します。

第2章 VR市場の現状

2-1日本と世界のVR市場

この章では、日本と世界のVR市場の現状について詳しく分析します。図1では2016年から2020年のVRサービスの支出額の予測データを示しています。この期間に日本のVRサービス支出額は約4倍に増加し、企業のVR事業への参入が活発化していることが見て取れます。次に図2では、ゴールドマンサックスによる2016年から2025年のVRハードウェアとソフトウェア市場規模の予測データを示します。この予測では、2016年から2025年までの間にVR市場規模が大幅に拡大し、急速な成長が見込まれています。

図1
図2

2-2 VRハードウェアの現状

 はじめに述べたように最近ではFacebook社がMeta社に社名を変更したことをきっかけに、Meta社が開発しているOculusQuestというVRデバイスの検索ボリュームが図3)にあるように2021年9月から跳ね上がっています。ちなみに、OculusQuestは、VRデバイスのシェアの7,8割ほどを占めているメジャーなVRデバイスで、定価4万円前後で購入が可能で、かつそれ単体で使用できることから人気が非常に高い商品となっています。

 OculusQuest以外のVRデバイスであるPC版のVRやPSVRなどはパソコンあるいはプレステーションに有線で接続しないと使用ができず、VR単体で使用できないため、使用感に手軽さがありません。また、有線接続をした状況下では行動が制限されてしまいます。さらに、その性質上PCやPS4、PS5とセットで購入しないといけないため値段がOculusQuestに比べ、数倍も値段が高くなりシェアが低いのが現状です。

 これらのことから、VRの普及にはVRハードウェアの値段の安さやVRハードウェアを頭に取り付けてコードレスでVRを楽しむという物理的な障害の少なさが欠かせないことがわかります。

図3)Oculus(青)とPSVR(赤)の検索ボリューム

2-3 VR市場の調査-ソフトウェアについて

 次に、VRのハードウェアではなく、ソフトウェアについての市場を調査しました。

 ハードウェアでは先ほどあげたOculusが大半のシェアを誇っているので、ここではOculusプラットフォームのソフトに絞って調査しました。図4)は、2020/9と2021/2のOculusプラットフォームで1億円以上の売上のあるソフトのタイトル数を比較したものです。2020年からはコロナウィルスによるVRの需要の追い風も相まって、1億円以上の売上をあげているタイトルがたった半年の間に2倍近くに跳ね上がっています。また、10億円以上を売上タイトルも2020年は0タイトルであったのに、たったの半年の間に6件も誕生しています。

 これらのことからハードウェアの普及に伴いソフトウェアも売上を伸ばしていることがわかります。しかし、他のプラットフォームに比べるとまだまだ小さい市場規模です。例えば、2020年のスマートフォンアプリの市場規模が約7.7兆円、家庭用ゲーム機のオンラインプラットフォームの市場規模が約1.3兆円といった具合です。実際に比べると違いが歴然とします。

図4

3章 VR購入者の特徴

3-1 VR購入者の特徴

 これまではVR市場について中心に分析してきましたが、第3章ではVRを実際に購入する人にはどのような特徴があるのかをデータをもとに分析して、VRを普及させるためのマーケティグ戦略を探っていきます。図5)と図6)は、ACR/exの2018/1~2018/3に5348人を対象に行なったVR購入者意向者の性年代についてのデータとVR購入者が毎日使用するメディアについてのデータです。

 これらのデータからは、VR購入者意向者は、VR非購入者に対して比較的に若年層が多く、女性より男性の割合が圧倒的に多いことが読み取れます。また、毎日触れるメディアとしては、VR購入意向者はVR非購入意向者に比べて、比較的新しいメディアであるスマートフォンやパソコンといったハイテク機器を使用している割合が高いのが目立ちます。

図5)VR購入意向者と非購入意向者の性年代
図6)VR購入意向者と非購入意向者の毎日使用するメディアの違い
図7)VR購入意向者と非購入意向者の動画配信サービスの利用割合

4章 VR市場を普及させるためのマーケティング

4-1 VR市場のこれから

 日本、世界ともにVRの市場規模は年々拡大傾向にあり、ハードウェアやソフトウェアともに発展しています。また、それらの傾向から2022年以降も拡大していくと考えられます。
 ただ、他のプラットフォームであるスマートフォンやパソコンのエンターテーメント(ゲーム)の市場規模を上回るのには現在の成長速度では10年以上かかると思われる。
 しかし、企業のVR事業の投資額は右肩上がりであり、2021年はメタバースがトレンドになりつつ、コロナウィルスによる需要の増加により、確実にVR市場に追い風が吹き込みつつある。今後は、VR事業の投資額の増加につれハードウェアの進化も相まって価格の低下やVR自体の機能性、例えば機器の重さの軽量化、画質の向上、コンローラーなしでハンドトラッキングのみで操作できるようになるなども期待できます。これらの流れに乗って大手のソフトウェア会社が参入するとなると、ますますVR市場の発展が期待できると思います。つまりVR市場は今後確実に拡大を続け、次世代のデバイスにとって変わり、他のプラットフォームの市場規模を大いに超えていく存在であるといえます。

4-2 VRを普及させるマーケティング戦略

ここでは、第3章のデータを活用してどのようなマーケティングが適切なのかを考察します。

まず、第3章のVR購入意向者のデータより、VR購入意向者はVR非購入意向者に比べて、若年層の男性が多く、毎日使用するメディアとして、スマートフォンやパソコン、ゲーム機などのハイテク機器を使用している割合が高く、かつ動画配サービスを利用している割合が多いということがわかりました。

次に、以上のことからVRを普及させるには、若年層の男性をターゲットにインフルエンサーを中心に活用して、YouTubeなどの動画配信サービスでVRハードウェアやソフトウェアに関する広告をすることが必要だという結論に至りました。また、これらの若年層はSNSでの口コミによる広告の促進が期待されるため、効果的に広告を発信できます。

第5章 最後に

5-1 最後に

今回のVRに関する調査をした結果、VRの将来性や普及させるためのマーケティング戦略を分析することができた。今後VR市場は急速に発展してくことが見込まれる。また、今回の調査を通して、軸として分析したゲーム以外にも、医療や不動産などの分野にも波及していくことが見込まれると感じた。今後、私はVRゲームを開発したいと思っているので、今回の調査内容をいかして、VRゲームの普及に貢献したいと思いました。

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