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みんな大好き式神の話

陰陽道と陰陽師って人気だよね

最近、また自称陰陽師が増えてきたり、スピ系の人が俺流陰陽道をはじめたり、装束すらまともに着れない奴が陰陽寮を設立して、700万で陰陽師認定したりと、陰陽道、陰陽師というのは相変わらず人気のようです。

史実の陰陽道を研究していたり、その技術を継承していたりする、いわゆるリアルな人たちからすると、陰陽道というのは、比較的シンプルな技術であり、自称陰陽師などがやっているような悪霊払いや、謎の開運やヒーリングなどは、そもそも陰陽道に存在していないというのが定説になっています。

陰陽道を有名にしたのは、平安時代の陰陽師である安倍晴明であり、現代では彼を主人公にした夢枕獏氏の『陰陽師』シリーズであったり、そちらを原作として野村萬斎師が主演した映画だったりがすぐに出てくるかと思いますが、安倍晴明という人物は、陰陽師としてはかなり出世したこと、さらに平均寿命が40歳ぐらいだったときに、人が死ぬぐらいの年齢で頭角をあらわし、通常の2倍も生きたということもあり、後々の安倍家が自らの家を特別なものとするために使われたという側面もあります。

ですので、正直、その逸話自体が結構誇張されたものも多かったり、年齢とそぐわなかったりと、色々あるわけですが、おそらく多くの人はそんな史実はどうでもよく、様々な漫画や映画のフィクションに出てくる陰陽師が実在しているようなイメージをもっているのでしょう。だからこそ、自称陰陽師は主張している内容が、かなり荒唐無稽で厨二になるわけです。

陰陽道で一番気になるのは?

陰陽道は、そもそもは陰陽寮という役所で使われていた技術であり、本来は暦を作ったり、漏刻といって水時計の管理をするなど、今で言うと天体観測をメインとしていて、それをベースとした占いで、予知や対策を行っていたわけです。ですので、本来の技術は暦作成なのですが、一般的に陰陽道というと、皆さん、どんな分野に興味を持っているのか?
Twitterでアンケートをとってみました。

その結果、順位は以下のようになりました。

1位 式神 51.7%
2位 禹歩・身固 27.1%
3位 六壬式占 16.9%
4位 泰山府君祭 4.2%

Twitterの投票システムの関係上、絶対人気の無い暦は省いたのですが、おそらく暦があったとしたら、1~2%程度だったと思います。
こちらは118名の方が投票していただいたので、ざっくり、式神に興味をもっている方が59名、つまり過半数が式神に興味をもっているということになります。

式神ってなんだろう?

陰陽道おんようどうで、陰陽師が使役するという鬼神。変幻自在な姿で、人の善悪を監視するという。しきのかみ。しきじん。しき。

デジタル大辞泉

辞典だと上記のようになっています。要するに使役神、使役霊というもので、目には見えない存在を使役することで、さまざまなことをしてもらうという技術の一種なわけです。

このような技術は陰陽道にしかないわけではなく、護法や神将、眷属などという名称で仏教や修験道、神道、道教など、さまざまな流派でその使役法は伝わっています。
ほぼほぼ技術が失伝してしまっている陰陽道よりも、現在まで技術が続いているそういった流派の技法を学んだ方がいいと思うのですが、なかなか敷居が高いということもあり、そちらを学ぶ人は少ないようです。

でも、式神のような存在が欲しい! と思う人たちが一時期もてはやしていたのが「タルパ」です。こちらは、本来はチベット密教の用語であり、チベット密教では、しっかりと技法が成立しているわけですが、仏教や修験道などを学べない人が、そんなしっかりとした技法に挑戦するはずはありません。

タルパブームが生み出したもの

このタルパは、元々は斉藤 啓一氏の著作である『ファウスト博士の超人覚醒法』がベースとなっています。こちらはムーブックスの黄金期にでたものであって、内容的には質が高いのですが、こちらでタルパの作成法が紹介されています。
ざっくりいうと、人の形を想定し、それと話すことで形を作っていくというもので、技術として間違ってはいないのですが、危険性の高いものでもあります。

こちらは、式神的なものをつくれないわけではないのですが、自分の心をコントロール出来ず、力の方向性が定まっていない、さらに自分の脳や精神状体を客観的に見ることができない人がやると、妄想の塊を産み出します。

要するに何の役にも立たないけれども、場合によって自分にひたすら悪口いってきたり、勝手なことをやりはじめたりする物ができあがるわけです。
タルパが話題になったときには、精神的に問題がある人がチャレンジして、より精神を悪化させていくということが頻発したわけです。

恋人を作ったり、寂しい自分を慰めてくれる存在をつくろうとすれば、それはどう考えてもろくなことにはならないのがわかると思います。

上記の本では、そういった危険性は書いてったのですが、多くの人はそこをスルーしたせいか、もしくは、恐れながらも自分はそうならないと思っていたのかしれませんが、タルパを作って幸せになったというケースは、真面目にやればやるほど、ない、といってもいいでしょう。

FGOによって日本では日が当たらないサーヴァント

基本的に霊的存在の使役というのは難しいのですが、そこに憧れを感じるのは東洋人だけではありません。西洋魔術には人工的精霊という手法があり、混沌魔術ではサーヴァントという手法が存在しています。

こちらは、日本でFateが発売される前から存在していたのですが、マニアックな西洋魔術の、さらにコアな部分である混沌魔術の技法だったので、日本に技法が伝わったころには、Fateのサーヴァントが有名になりすぎて、あまり使われなくなってしまいました。

サーヴァントはシジルを使うことによって、その役割をプログラミングすることができるというのが、便利であり安全性の担保となっています。一般的にイメージされる式神のように、なんでもやってくれるわけではありませんが、逆にいうと、一つだけの目的しかやらないために、余計な暴走や妄想を引き起こさないようになっているのです。

システム的には理に叶っているのですが、霊的ロボットに近いために、陰陽師の式神のようなお友達感や特別感がないので、日本人には受け入れられないかもしれません。

式神って使いたい?

皆さんは、式神を使えるとしたら、どんな場面で使いたいと思いますか? さすがに漫画のように買い物をさせられないのはわかっていると思います。寂しいときの話し相手にすると、タルパのように、自分の精神を病ませるだけですし、願望達成ならば、別に人型の存在はいらないでしょう。

といいつつも、僕は一応技法的に式神を使ったりすることがあります。
これだけ、式神を馬鹿にしといて、なんなんだ! と思うかも知れませんが、式神が使いやすい場面というのも存在してるのです。

人型の式神というのは、ある程度こちらの意図をくみ取ってくれます。人という形を想定したことによって、ある程度の自由意志というのはどうして設定してしまうわけです。これをなんの制限もなくすると、タルパのようになるわけですが、そうならないように、サーヴァントのような特定機能と組み合わせると、特定の術を一定期間持続して続けることができるわけです。

つまり、自分の中の特定の術を使う意識を式神として定義することで、マルチタスクで術が動かせるわけです。ですので、僕の場合は遠隔で術を使ったりするときや、継続的に癒しなどをする場合などで式神を使うことがあります。

ただ、ポイントとしては、霊的な存在を使役しているわけではなく、自分の中の意識の一部分を独立させているというところです。こうすることで、暴走などの危険性も限りなく減らしているわけです。

そのために、僕のシステムとしては願望達成などには使えないので、非常に地味であり、カッコイイものではないというのがわかると思います。

それでも式神使いたいですか?

ここまでいって式神を使いたい! という方については、密教や修験道をガチでやるというのが、最もベストかもしれません。陰陽道の式神の概念に近いとなると、道教の神将などもありますが、これを学ぶのは相当難しいでしょう。

ですので、一般的な人で、そんな修行はやりたくない、という方は、眷属を使役するような使い方がいいかもしれません。
こちらは、ある種精霊的な存在を使役するかわりに、対価を支払うというようなもので、僕はあまり必要性がないので使いませんが、護符などに特別に組み込むことで、より持ち主を多方面でサポートして貰うというようにすることはあります。

通常の護符というのは、魂入をした時のエネルギーを出しているわけですが、そこに眷属をつけくわえることで、単なる1種類のエネルギーではなく、それをベースとして、色々とエネルギーを利用できるようになるんですね。いわゆるOSとしての眷属を使っているわけです。

この眷属は、人によってはそのものズバリ神社などの眷属を借りるということも可能ですが、僕の場合は、その人のパワーアニマルとでも呼べるもの、その人の魂に近しい動物の力を眷属として使うようにしています。
そうすることで、自分でありながらも、ちょっと違った存在、そして対価を与えることで、暴走も防ぐというようなことができるようになります。

僕のやり方の場合は、護符とセットでなければいけませんし、対面での儀式が必要なので面倒くさいのですが、以前に神社での眷属ということに関しては、ムーの実用企画でいいものがありましたので、興味がある方は古いムーを探してみるといいかもしれません。

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