Machi Bhasad / Bloodywood 歌詞全和訳(超訳・直訳)
BloodywoodのMachi Bhasadを訳しました。Aajに引き続き、歌える超訳です。ぜひ原曲を聴きながら読んでください。注釈は英語の勉強気味です。
歌詞全訳
注釈
※1 さらに直訳すると「「できる」と「べき」の戦い」となります。[can]=できる状況にある、可能であること、[should]=やらなくてはならないこと、義務、つまり、やってもやらなくてもいい状況でやるのか、それがやるべきことであるからやるのか問うているわけです。結局のところ、これはやるべきことだと訴えているのだと思います。
※2 [last straw that breaks the camel's back]「ラクダの背を折る最後の藁」ということわざがあります。藁の一本一本は軽いですが、それが積み重なり、ある一本が最後の藁となってラクダの背骨を折ることから、「最後の小さなきっかけで我慢の限界が来る/破滅の引き金となる」、「最後の決定的な一打」という意味で使われます。
※3 公式の英訳[When you try to bind the free] 「the+形容詞」で、「(形容詞)な人」という意味になります。例)『続・夕陽のガンマン』の原題『The Good, the Bad and the Ugly』=「善玉、悪玉、卑劣漢」
※4 [take the big shots at the big boys] [take a shot at ~]で「~を試す、~に挑戦してみる」の意味になります。[big boys]「デカい奴ら」は文脈から、金や権力のある大物ということでしょう。また、MVの中でRaoulが銃を撃つ仕草をしているように、shotは普通に「(銃の)一撃」の意味もありますから、「(社会的に)デカい相手にも大胆な攻撃をしかける」といったところでしょう。
※5 [make a big noise] 「デカいノイズを立てる」ここでの[noise]はただのデカい音ではなく、※4の大物のような存在にとってノイズとなる騒音であり、全体を通して歌われる「暴動を起こす」という内容とリンクしています。超訳では音数の都合上、次の文と位置を入れ替えました。
※6 [Shake it up I got the big toys] 「デカいおもちゃをもらったみたいに振り回す」これも前文と繋がっています。[shake ~ up]で、~を振ってめちゃくちゃにすることから、組織や体制を改革し一新するという意味があります。ここで振ってめちゃくちゃにしているのは、「俺たち」に「忍耐」を強いた古い社会体制です。直訳とはいえ「おもちゃを振り回す」では分かりにくいので、「おもちゃ箱をひっくり返したみたいに引っ搔き回す」としました。古い体制をひっくり返すということで、超訳では[bang]の音を合わせて「”盤”面逆転」です。
※7 [Grab the power by the neck and put it to the test] [the power]は物理的ではない力、つまり権力などやそれを持つ存在にも使われます。[put (人など) to the test] で「(人など)を試す」、「(人など)の真価を問う」の意味です。MVではRaoulがカメラを掴んで地面に落としているので、超訳では「引きずり下ろし」としました。
※8 No FlagはラッパーのRaoulが行っている活動のキャッチコピーのようなものです。[Humanity before Nationality] = 「我々は国民である以前に人間である」、「民族や宗教で人を分断すべきではない」という意味が込められています。
※9 [heart-to-heart talk]で「腹を割った話し合い」の意味があります。[Talk to my heart]「俺の心に向かって話せ」=「心からの本心で話せ」、命令形です。[so I never gotta guess] [gotta]は[have got to]「しなきゃならない」の短縮形です。「推測しないでいいように」、嘘をつくなってことですね。
※10 [go to war] 戦争に行くことかと思いましたが、「(国などが)戦争を始める」が正しい意味です。アルバム版では歌詞が異なり、[This war has just begun]「この戦争は始まったばかりだ」となっています。
あとがき
Bloodywoodの歌詞はどれもクールな比喩に富んでいて、訳していて楽しいですね。意味が複層的なので、もう「字数が足りなかったら四字熟語」が自分の中で定番になってきました。いずれにしろ、いかに意味を保ちながら別の言葉に言い換えるかが大事です。ラップ部分の超訳はかなり作り込みました。今回一番気に入っているのは「ハードな闘魂 望む続章」と「貴様の嘘と狂言」ですかね。筆者は音楽と言語学(音声学)が好きなので、どうしても音の印象が気になるのです。
やはりプロの翻訳家のような読んでいて気持ちいい翻訳にはまだまだですね。翻訳に必要なのは原文の言語の能力だけでなく、むしろ自分の言語の習熟です。日々鍛錬ですね。一言でも感想をいただけると励みになります!ではきっと次の記事で。