給湯器が壊れたが1日で交換できた師走のある日
リーマンショックの直後に叩き売りされていた建売住宅を買ってから15年。家の設備のあちこちにガタが出てきました。
もちろんマンションでも修繕積立はしますが、一軒家も外壁のペンキ、夏に熱風しか吹かなくなったエアコン、冷蔵庫、白熱灯から何故か意外に短命だったLED電球その他、いくつかの家電や消耗部品を買う羽目になりました。
急に水しか出なくなった給湯器
さて、今年も残り半月となった日曜の昼下がり、ついに給湯器が水しか出さなくなりました。特にエラーの表示はないものの、お湯を沸かし始めると点灯するはずの給湯サインの赤いLEDが暗いままでした。
念のため、家の裏の給湯器本体のところに行って、今やうちのリビングの牢名主と化した妻に何度かお湯を出すよう操作してもらいましたが、給湯器はブオっと唸りを挙げるものの着火せず、虚しく何度も唸りを挙げるだけでした。
修理できるか考えましたが、一般に給湯器の保証期間は10年、うちのはもう15年も使っているので、何度も修理代を出して騙し騙し使うより、思い切って買い替えた方がいいだろうと考えました。
ネットで調べると、一軒家の大型の交換は工賃込みで25〜30万円くらいとのこと、しかも人手不足や年末で工事が立て込んでいることを想像すると、年内に作業ができればいいところかな、とも考えました。
ガスの給湯器の正面にはメーカーのコールセンターのフリーダイヤルの番号が書かれており、修理なら24時間対応とのことで、とりあえず連絡してみました。
特に待たされることもなく、電話は比較的すぐに繋がり、落ち着いた感じの男性オペレーターで修理か交換かで相談すると、部品の在庫や給湯器の寿命等、こちらの知りたいことを丁寧に答えてくれて、非常に良い対応でした。
しかし部品交換は手間も掛かるし、わずかな延命にしかならないとは思えたので、近隣の業者を紹介してもらうことにしました。もう営業時間は過ぎているので、明日、月曜の午前中に連絡をもらうよう、手配してもらうことにしました。
幸い、家から徒歩5分のところに天然温泉、徒歩8分のところに深夜1時までやっている銭湯があり、入浴には困りません。さらに天然温泉は株主優待券で無料で入れるので、この日は古女房を連れて、古いフォークソングの神田川を決め込みました。
知らない方も多いかもしれませんが、同棲している若いカップルが銭湯に行って何だか切ない的な女性目線の昭和のフォークソングです。
設備業者のトークに感動
翌朝、9時過ぎに同じ区内の設備業者から連絡をもらいました。この日は在宅勤務で、午前中は会議等もなかったので、今日の朝から午後一くらいに訪問してもらえないか訊くと、今日空いている者がいるか確認します、ということで後から連絡をもらうことになりました。
10分くらいで再度コールが来て、お昼ちょうどであれば1人お伺いできるとのことで、正午に来てもらうことになりました。
ところが意外に早く着いたようで、11時半を少し回った頃、作業服を着た、地味な感じの大人しそうな30代後半くらいの男性が1人で訪ねてきました。彼は台所で給湯器のコントローラを見ながら、コンロのガスを着火したり、いつまで経ってもお湯が出ず、水しか出てこないことを確認したりしていましたが、「これは確かに給湯器の故障ですね」とのことでした。
彼はいちおう修理出来る可能性もあるが、どうしますか?と訊いてきました。私は最近は人手不足とか供給不足で日にちも掛かると聴いていたので、「もし交換をお願いすると、最短でどのくらいになりますか?」と訊いてみました。
彼は「今、日程が詰まっておりまして、年内には出来ると思いますが・・・・。それも工事の日程の合間でタイミングの合うところに何とかスケジュールする感じです」と言いつつ、「今、在庫が一番高いのから次のグレードの機器だけなら在庫がありますので、そちらでよろしければおそらく年内に施工できます」とのこと。
で、それだとおいくらですか? と訊くと40万円だとのこと。30万以下でできると思っていたのでちょっとがっかりしましたが、ちょうど今年の株投資の利益がそのくらいあったので、払えない金額ではありませんでした。
で、もしお願いするとなると、1週間以内とかでできますか? と訊いてみると、「時間は前後するかもしれませんが、もし交換ということであれば、夜になってしまいますが、今日の午後の作業が終わった後にできると思います」とのこと。
1週間くらいは銭湯生活を覚悟していたのに、まさかの故障の翌日に工事可能とは思いもしないスムーズな展開です。
しかし何かを確認する訳でもなく、すらすらとトークが出てくる辺り、おそらく寒い中お湯も使えずに困っている状況で、上手く商談をまとめるためのトークスクリプトがあるような雰囲気でした。
特にいつできるか分からない、と言いつつ、その日に工事可能であったり、一番高いのでなく2番目のグレードというのも、松竹梅だと中を取って竹を選ぶヒトの心理に上手くマッチしているようにも思えます。
さらに勘ぐると、メーカーが一番押したい機種を多めに供給しておいて、それがスムーズに捌けるように設定し、売り方やトークまで設備業者=代理店に指導している可能性もあるかもしれません。妄想ですが。
いちおう合見積を取った
とりあえず40万円という見積もりが高いのか安いのか分からないので、町内の、わりと都内では大手のガス器具代理店の店舗に行き、一軒家で給湯器が壊れたこと、そして新しく交換するとなるとどのくらい掛かるか訊いたところ、店員の女性が即答でだいたい35〜40万円くらいですかねー、ということでした。
ということは、安くもないが驚くほど吹っ掛けられている訳でもない、ということでしょうか。数日待つことを思えば、数万円くらいはやむを得ないか、と思い直しました。
30万円以下だったら、たとえ1週間銭湯通いになったとしても、こちらの町内の業者さんにお願いしていたところでしたがwww
ネットで調べるともう少し安い事業者もあるので、たとえば故障する前に、たとえば耐用年数を5年過ぎて15年にもなればいつ壊れてもおかしくないので、日程に余裕を持って格安業者さんに比較的単機能の安い給湯器を据え付けてもらうというのはあるかもしれません。その場合は10万円以上セーブできるでしょう。
とはいえ、近隣の工事業者で何かあった場合はすぐに対応してもらえるという安心感もあるので、マイナスの材料ばかりではないのですが。
意外に満足度が高かった
さて夕方は仕事でオンライン会議があり、工事は妻に応対してもらっていたのですが、5時過ぎから作業が始まったようで、時折、家の脇を人が通る気配や、家の裏からゴンゴン何かを動かす音がしたり、6時過ぎにミーティングが終わって居間に降りていくと、ちょうど交換作業も終わったようで、お昼に来てもらっていた作業員の方がちょうど書類にあれこれ記載をし始めていたところでした。
作業完了の確認書等にサインをしたり一通り手続きが終わると、彼は給湯器の使い方を説明してくれましたが、さすがに2番目に高い機種らしく、あまりの高機能ぶりに、新機種の凄さに驚くやら感心するやら。
まずは温度設定や時間指定の風呂張りの予約機能、指定した時間分だけ保温する機能、センサーにより入浴中のヒトがいると、台所側のLEDが点灯する、しかも洗い場にいるのか湯船に使っているかも分かるとか。
そして極めつけはヒトが入っていない時にお湯を循環させて給湯器側で紫外線を当てて殺菌する機能。我が家も私が入浴しようとすると、妻子が慌てて先に入浴しようとするという体たらくですが、もう「お父さん、汚い」という問題が克服されます。
冷静に考えると、紫外線で除菌はできるでしょうが、お父さんの油脂やら皮脂やら垢やらは、循環+フィルターでもない限りは除去は無理でしょうが。
と思っていたら、浴槽と給湯器の間の配管を掃除する機能もあり、熱めの湯を高い圧力で押し流してパイプを洗浄できるそうで、これには脱帽しました。
最後に、無線LANの設定をしておけば機器のエラーや故障が検出されると、自動でメーカーのサポートセンターに送られ、お知らせが届く仕組みもあるということで、もともとマイコン制御の製品であるのは知っていましたが、ある意味、ついに当家もIoT (Internet of Things) の世界に参入したと言えます。
先ほどの町内のショップでもらってきたカタログを見ると、メーカー希望小売価格が45万円くらいで、工賃を入れればまあ多少の割引もあって、ボッてはいないことも分かりました。
お湯の出なくなった昨日の午後から26時間後、まさかこんなIoTな未来が待っているとは思いませんでした。気のせいか古い浴槽まで新しくなったような気さえします。年末の40万円の支出は痛いですが、まあ人生も終盤戦近く、ちょっとだけ贅沢させてもらいます。
ということで、年末に給湯器が壊れた方の参考になればとこの駄文を書き上げたので、これから新しい給湯器の風呂を浴びに行ってきます。