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瀧は縁
女は男を買ってしまったという体に残るようような傷、罪悪感よりも、それまで自分が演じてきた女というものが一切の余白を残さずして壊されるのではないかと思っていた。もし、これから来る男が自分が持てる女性という性を踏み躙るものならば、逃げ場がなくなることを理解していた。だから、その男が永遠に来なければ良いと願っていた。しかし、女はそこからは決して動こうとはせず立っており、その広い思考を持って、同じようなことを何度も考えてはその未来が来ることを予感していた。
一方、男はいつも遅れるはずのない電車が遅れ、待ち合わせに急いで向かっている途中であった。男は何ら予感もしていなかった。その日の仕事が彼の頭を占めるばかりであった。汗がシャツに染みはじめ、考えるのをやめた。