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勝負できない相手ではない

NYのブロードウェイミュージカルって本当にとんでもない予算がかけられて作られているのはなんとなくわかると思うんですが
その経済効果もマジでハンパないんです。

コロナ前のデータですが1年間の劇場だけの売り上げ総額が1500億円!!


バケモノですよ。


少し前に観に行った「Mulin Rouge」の舞台セットですが

めっちゃ赤いんです。とにかく赤い。
どこ見ても赤いし右を見たらでかい像はいるし
左を見ればでかい風車があったりで
劇場に入った瞬間にその世界観に圧倒されました。

さらに芝居が始まって特にすごいなと思ったのが
衣装の数々。
アンサンブルのキャストを含めると30人くらいいたような気もするんですが
そのアンサンブルそれぞれにも7〜8着ぐらいの衣装があるんです。


個人的にこのミュージカルの見どころは
その衣装の素晴らしさとアンサンブルのダンスの素晴らしさ
その点に関しては他のミュージカルの少し上を行っていると僕は感じました。


あとは映画を見た方は知ってると思いますが
この「Mulin Rouge」はビートルズやエルトンジョンなど既存のヒットソングを上手く使ってストーリーが進められていくんですが
※ちなみにM-1グランプリでお馴染みの漫才師がステージに上がるときの
「カンカンカカーン」の出囃子はこの映画から引っ張ってきてます

映画が公開されたのが2001年で
このミュージカルの初演が2019年
この18年の間に生まれたビヨンセやレディガガなど
映画では登場しなかった音楽も組み込まれているのは
映画版のファンだった僕からするとめちゃくちゃ楽しめたポイントではありました。


で気になったのがこのミュージカルの制作費
調べたところによると


38億円!!


38億ですよ。
このミュージカルの場合沢山既存の楽曲を使うので
※なんと74曲も使われているみたい
その使用料もかなりかかっているとは思いますが
それにしても桁外れの制作費ですよね。

けど僕はこの38億のミュージカルにまんざら勝てないとも思っていないんです。

ちなみにまだ決まってないことが多いので自分の舞台にいくらかかるのか分かっていないのですが
おそらく最低でも500万はかかるんじゃないかなと思っています。

500万だって僕にとっては超大金で
そんな予算をかけて作品を作ったことなどありません。

38億と500万

そりゃ舞台セットや衣装、キャストの数など
スケールでは手も足も出ません。

けど正直なところこのミュージカルを見て
「ストーリーはそこまででもないよな」と思いました。

映画版も僕は好きなのですが
好きな理由はあの世界観を知ってるヒットソングをジュークボックスのように展開していくところが好きなわけであって
ストーリーには感動はしなかったんですよね。

それは舞台版も同じでストーリーに感動はしなかったしもう一度観に来たいとはならなかったんです。


観客の心に触れ感動させることができるものは何なのか

僕自身日本を含め沢山のお芝居を観てきました。
NYに来てまもない頃には憧れのアルパチーノのアクティングをブロードウェイで生で観たこともあります。

けど僕が過去に生で観た芝居の中で本当に感動し
今でも心の中に深く刻まれている舞台って
スケールの大きさやアクターの知名度などは全く関係なく


俳優の演技であり
ストーリーなんです。


僕は今でも鮮明に覚えていて本当に感動したお芝居が2つあるんですが
一つは僕が芝居を始めた頃に通っていたスタジオで先輩が訓練の一環で見せてくれた芝居。
たった10分くらいの2人だけのシーン。
当然予算など一円もかかっていません。

そしてもう一つは「Mulin Rouge」の前にやっていた
「キンキーブーツ」というこれも映画原作のミュージカルで、そこにドラッグクイーン役で出演していたビリーポーターというアクターの演技とこのストーリー。

ビリーポーター

僕はこのビリーポーターという俳優をそれまでは全く知らず、なんの期待もせずに観に行ったんですがあまりの凄さに圧倒されてしまいました。
正直アルパチーノの演技の何倍もよかった。

もちろん好みも感性も人それぞれ違うから僕がいいと思ったものをよくないとか分からないという人はいると思います。

けど僕は自分の感性を信じているし
そもそも自分が信じてきたもので挑戦して
どんな反応がニューヨーカーから得られるのか試してみたい
からこの街に来たわけで

予算やスケールなど関係なく
僕は今回の台本なら十分38億のミュージカルにだって負けない
感動や満足感を
観客に提供できると思っています。


台本とアクティング


これでブロードウェイに真っ向勝負します!!







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