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二度と行きたくないインド7日間1人旅 Day1「試練の始まり」

犬嫌いはインド無理?

前回の記事にも書いたがインドでは牛や羊がどこでも当たり前のように歩いている。
けど牛や羊は可愛いもんでインドには恐ろしいものがいる。それは

野良犬

空港を出た瞬間に待っているのはタクシーの客引きや物売りではなく
狂犬病の注射など打っている筈もない据わった目をした中型の野良犬たち

空港の敷地内だけでも7〜8頭の野良犬がウロチョロしていて噛まれれば一発アウト。

人馴れしているので滅多に吠えないらしいが
気に入らないと思われれば問答無用に吠えられる

実際スーツ姿の外国人グループが
何もしてないのに野良犬に囲まれ吠えられていた。
※確かになんか鼻につく感じがあったw

インドでは野良犬、牛、ヤギ、ニワトリ、地域によっては猿が当たり前のように道を歩いていてフンもそこらじゅうに落ちている

Google mapを頼りに歩いていったホテルまでの道中には幅2mくらいの狭い路地もあり
その細い道で子供達がクリケットをしていたり
おばちゃんがたらいで洗濯していたり
おじちゃんが大きなリアカーで野菜を運んでいたり
歩くスペースがギリギリあるかないかの所に
野良犬や牛も普通に行き来していて
その間を通っていかなければならなかった。

インドでは動物怖い!なんて言ってられない。
人間も動物。
皆で共存しているのだ。

星を選ぶかギャップを選ぶか?

駅から歩く事30分
予約していた1泊$18の激安ホテルに辿り着いた

チェックイン時に部屋代を現金で払い
もう少し現金が必要だと思ったのでホテルのカウンターで持っていた$300の内$100ほどをルピーに両替した
※空港よりもレートがいい

ボーイに部屋を案内されると当然そこは
一泊$18のクオリティ
窓はあるけど光は入らず、電気も薄暗い
シャワーに至っては水だけでお湯は出てこない。

けどwifiもあるし充電もできるし
天井にはファンがありACだって完備されている。
その日の深夜には次の街に向かう予定だったのでそれだけで十分だった。

安宿に泊まるのも旅の醍醐味

11年前のアジア旅の時はただお金がなくて
貧乏旅行するしか選択肢がなかった

けど今はちゃんと数百ドル払って
星の付いたホテルにもミシュランの付いたレストランにも行く選択が出来る

けど今回の旅の目的は
ハプニングと未知の経験

せっかく1人でインドに来てなんでも自由に選択できるのなら
お金では買えない経験を選びたい。

アジアの旅や10年間NYで生活していろんな人と出会って分かったのは
大きなギャップや振り幅を経験すると自分の幅が広がる!ということ

そして自分の慣れ親しんだ世界とは違う世界で、予想外の事が起きた時にどうやって対応するかが自分の自信や成長に繋がる。

その対応力が問われる時に必要になってくるのが、それまでの経験による自分の幅。

今回安宿を選んだのもあえて不自由な環境に身を置いてもっと自分の幅を広げたいと思ったからだ。

とは言っても部屋にGが出たりネズミが出たら僕は何も対応できないのだがw

ボッタクリはインドの挨拶

14時間のフライトの疲れと汗と土埃まみれなった身体を冷たいシャワーで洗い流し
財布と携帯をポケットに突っ込み早速外に出かけることにした。

時刻は午後2時、外の気温は35度
乾いた喉を潤すために近所の売店で1リットルの水を買ったのだが
早速インドの洗礼を受ける

売店の親父に言われた値段は400ルピー。
少し高いなと思ったがインド初の買い物で少しテンパっていたのか
何故か頭でドル変換の計算もせず
インドじゃ水は貴重な物なのかと思いそのまま400ルピーを払った。

しかしその後移動中のトゥクトゥクのドライバーに水1リットルの値段を聞いたら
相場は20ルピー(約$2.5)

おめでとうございます。
インドで初めてボッタくられました。
しかもあの親父20倍もボッタくりやがった!
どんだけ強気なんだよ!!

でもそれくらいカモりやすい何も知らない観光客に見えたんだろう。
※海外生活が長いから調子に乗っていたのかも

インドじゃボッタくりは挨拶みたいなもんだと言うし、詐欺も横行していると言われているから気を引き締める為にもこのボッタくりは勉強代だと思って渋々自分を納得させた。

1日1時間しか空いていない伝説のレストラン

この日のプランはいくつかのお寺巡りと
今日の最大の目玉でもあるNetflix でも紹介されていたレストランに行く事。

このレストランはNetflixのStreet Food ASIAでも紹介されている
午後5-6時の1日たったの1時間しか営業していないNihari Stewというインドの伝統的なシチュー(カレー)が食べられるお店。
食べる事が大好きな僕はNetflixを見た時からずっとこの店に行きたいと思っていた。

ここは決してファンシーなレストランではない。
売店を少し大きくしたような超ローカルなお店でオープンしたら即完売する日も少なくないという地元民に愛され続けている超名店。

完売して食べれなかったという事は絶対に避けたかったので
寺巡りは1つだけにして4時半にこのお店に到着した。
※寺より団子

オープンに向けて中で準備をしている

しかしオープンの5時を回ってもまだお客さんも集まっていなければお店が開く様子もない。
時間を持て余し店の周りをうろちょろしているとこんな場所にアジア人が来る事が珍しいのか
僕に興味を持った高校生くらいの青年たちがどこから来たのか話しかけてきた。

日本人でNYから来たと答えるとまるで有名人が来たかのようにみんな目をキラキラさせて「Japan Japan」と周りの知り合いにも紹介し始めた。

その後2人の青年が僕が肩からぶさ下げていたカメラで写真を撮ってくれと頼んできたのでお店もまだ開く様子もなかったし
日本人と一緒に写真を撮りたいと思ってくれる事は嬉しかったので
場所を移動して写真を撮りに行った。

その時の写真がこれ

カメラから少し視線をずらしてカッコつけている青年

お前たちだけかい!

この青年は僕と写真を撮りたかった訳ではなく
僕が持っていたPanasonicのカメラで自分たちだけを撮ってほしかったみたいだ。

てっきり自分と一緒に撮りたいんだろうと思ってた自分が恥ずかしい。
撮った写真を彼らに見せるとその写真に満足しそのまま帰っていった。
※インドの放置プレイ

店に戻ると少しずつお客さんは集まりだし気付けば僕は人気バンドのライブの最前列にいるようなお客さんがひしめき合う状況の中にいた。

オープン時はこの3倍の人がひしめき合っていた
閉店間際

そして5時40分ころようやくお店が開くと
そこからはまるで市場のセリ状態
注文は市場のセリのように店先に立っている店員の兄ちゃんに手を上げてアピールしてお金を渡して注文しなければならない。
オープンすると同時にそこにいた50人くらいのインド人が現金を持って我よ我よと注文を始める。

けど僕はメニューも分からなければ値段も分からない。
もたもたしていると後ろにいたインド人がどんどん前に入ってきて割り込んで来ようとする。
※インドには割り込みが悪いという概念がない

そんな時は周りの真似をすればいい。

周りを見ると指で注文数を伝えて現金を渡して料理を受け取っている。
僕は注文を取っている店員の兄ちゃんにとりあえず500ルピーが見えるように手を挙げて目と声でアピールした。

すると40分以上前から並んでいた事を知っててくれたのか
何十人といるインド人の中から僕の500ルピーを受け取ってくれて、ヒンディー語でおそらく幾つ欲しいのかと尋ねてきた。
僕は何がどれくらい出てくるのかも全く検討がつかなかったがとりあえず1と指で伝えた。
すると500ルピー受け取った兄ちゃんは300ルピーのお釣り渡してくれた。

よし、なんとか注文はできた。
はず。
後は料理を待つのみ。

注文と支払いを終え後ろの方で2、3分待っていると
お金を受け取ってくれた店員の兄ちゃんが一番後ろにいる僕を見つけてこっちに来いとアイコンタクト送ってくれたので
僕は人を掻き分け最前列まだ行きシチューの入った器を受け取りに行った。


いや〜インド一発目のご飯からなかなか刺激的な経験。
食べる前からこの日常とかけ離れた状況に満足。


早速受け取ったシチューを食べようと2軒隣の立ち食いスペースに移動した。
※まるで新橋高架下のサラリーマンが通う立ち食い蕎麦屋

器には骨つきのマトンがゴロっと一個入ったカレーと横にチャパティというナンより小さい生地が付いていた
このカレーにチャパティをつけて食べるのだが
マトンはホロホロで柔らかくカレーはオイルが多くめだがスパイスが効いてチャパティとめちゃくちゃ合う!

結構辛かったが一口食べただけで思わず「こりゃ美味い」と口から出てしまうほど。
あっという間に一皿を食べてしまった。

味も経験も含めて並んだ甲斐があった!


お腹を満たした後は夜でもopenしている有名な寺院に行ったり、マーケットに行ったりした。

Old Delhiはとにかく人人人
活気で溢れるナイトマーケットも人人人
Jama Maslid
Jama Maslidで祈る人人人

この旅最大の試練の始まり

すっかり夜になり気付けばホテルを出てから7時間くらいが経っていた。
しかし気温はまだ30度以上。

流石に疲れたのでどこかでビールを飲もうと色んなお店に聞いて回ったのだが
ニューデリーにはビールやお酒を扱っているお店がほとんど無い。

けどビールを飲まずしてインド初日を終わらすわけにはいかない。
色んな人にどこでビールが飲めるのかと聞き回っていると、Barが密集しているエリアがある事を聞き
早速そのエリアまでトゥクトゥクで向かうことにした。
※I love トゥクトゥク

15分ほど走りたどり着いた場所は
それまではどこにもなかったBarとかBeerと書かれたネオンの看板が並ぶ
まるで新宿の歌舞伎町みたいな雰囲気の
The 夜の街

ワクワクワクワク!!

早速ビールを求め歩きなんとなく目に入ったお店に入ってみたのだが
そこは普通のBarではなく日本でいうところのキャバクラみたいなお店で
中のソファ席にはドレスで着飾った女性達が座って接客をしていた。

店員はしつこく中に通そうとしてきたが
僕は1人でゆっくりビールを飲みたかったので普通のBarを探そうと直ぐに店を出た。

店を出てどこに行こうかスマホで調べていると近くにいたおっちゃんが何してるんだと話しかけてきた。
このおっちゃんの目は虚ろでだいぶ酔っ払っている。

僕は女の子のいない普通にビールが飲める店を知らないかと聞くと
「じゃ安くていい店を教えてやるから俺に付いてこい」みたいなことを言ってきた。

少し怪しいとは思ったがやばいと思ったら走って逃げれば大丈夫だろうし
直感で何か面白い所に連れていってもらえそうだなと思ったのでそのおっちゃんの案内する店に着いて行く事にした。
※この直感がこの旅最大の試練を意味していたのか?

おっちゃんはさっきまでの賑やかなネオンの光る場所から
薄暗い街灯だけがポツポツとあるような怪しい場所にどんどんと進んでいった。

周りの建物は廃墟みたいな建物ばかりで
街灯下では出刃包丁でナマズやデカイ魚を捌いて売っている人がいたり
ロープで繋がれた大きな牛がゴミ溜めの山に頭を突っ込み食べ物を漁っていたり
そこには当然野良犬もうろちょろしているし子供だって走り回っていて

地獄と現実の狭間のようなその不気味な雰囲気に、少しの緊張と恐怖感を感じずにはいられなかった。
※いつでも逃げる準備は出来ている

8分くらいだろうかおっちゃんに着いて歩いていくと
突然大きな道とお店がいくつも並ぶような開けた場所に出てきた

その開けた場所を見て一気にさっきまでの緊張感が和らぎ
そのままおっちゃんに着いていくと人だかりで賑わっているお店にたどり着いた

そこはビールやワイン、ウイスキーなどをカウンター越しに売っている酒屋で
Barで飲むより安くお酒を買うことができるらしい

本当は冷房の効いたBarでゆっくりと飲みたかったのだが
時間は10時を回っていたし
もう疲れてクタクタだったこともあり
今日はここでビールを買って外で飲む事にした。

そこで初めてこのおっちゃんがここまで親切にしてくれた理由を知る。
このおっちゃんの目論みとしては案内した代わりにお酒を奢ってくれという魂胆だったのだ。
※酔っ払いが欲しいのはお金より酒

なんだよ!と一瞬思ったがちゃんとビールが飲める所にも連れてきてもらったので
酒くらい奢ってやろうと思い
おっちゃんと一緒に人だかりの中に入ってビール2本とおっちゃんの好きなものを店員に頼んでくれとお願いし
お金を店員に払ってビールを両手で受け取り人だかりから抜け出した。
※おっちゃんはビールより高いウイスキーのミニボトルを注文していた。

ようやく辿り着いたビール。この時を待っていた!

この記念すべきこの瞬間を動画で撮ろうとポケットからスマホを取り出そうとしたその時ある事に気付く。


スマホがない。


そんな筈はない。
だってつい10分前に街灯下で魚を捌く人やゴミを漁る大きな牛の写真だってスマホで撮っていたし

それにこの人だかりの中に入ってお酒を注文する直前も僕はスマホを入れていた右フロントポケットに手を突っ込みそこにある事を確認していたじゃないか。
※スリに合わないようにバックポケットには入れない


さっきの酔っ払いのおっちゃんはどこいった?
いない。
まさかあのおっちゃんにやられたのか?

それはありえない。
だって注文の際おっちゃんは僕の左隣にいてあの位置から右のフロントポケットに手を突っ込んでスマホを盗む事は不可能。

どこかに落としたのかもしれないと思い店の周りを探しまくったが見つからない。


絶対にスラれた。


考えられるのは人だかりの中でポケットから両手を出してビールを受け取ったあの数秒間。

きっとその酒屋にたどり着いた瞬間からずっと誰かに狙われていたに違いない。

スリだけには気を付けていたのに。
一瞬の気の緩みを見透かされていたんだろう。


インド初日の夜
今回の旅のプランや目的地、予約していたホテルの連絡先など
全ての情報が入ったスマホを無くした。


それだけじゃない。
スマホケースの中には僕のアメックスカードとCiti bankのデビットカード、そしてアメリカの免許証も入っていたのだ。



さて残りの6日間どうする。


僕は天を仰ぎながら少しぬるくなったビールを開けて飲んだ。
気持ちよく飲む筈だったビールはなかなか喉を通っていかなかった。


2日目「珍道中と感動」に続く











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