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目の前で人が撃たれた

1ヶ月ぐらい前の話だが夜11時頃
ブルックリンのベッドスタイというエリアに住む友達を車で送り家に戻る途中の事だった。

信号待ちをしている時に右側20m先ぐらいにあったデリ(コンビニみたいな小さいお店)の店内を何気なく見ていると、3人ぐらいの黒人が乱闘まではいかないが小競り合いみたい感じで揉めていた。

しかし次の瞬間

パンパンパン!!

あまり大きくない乾いた音が鳴り響き
揉めていた男の中の1人がポケットから黒い小型の銃を取り出して他の黒人たちを撃ち始めたのだ。

あまりに一瞬の出来事に
その瞬間はリアルなんだけどリアリティが無いような変な感覚で
その男は続けて逃げ惑う店内にいた他の黒人を
追いかけるようにして連続で撃ちまくり
最後は倒れた男に対しても至近距離から撃っていた。

その辺りからこの距離だと自分にも被害が及ぶかもしれないという
現実感と共に恐怖心も現れ始め
自分が一部始終見ていたことがこの男に分かったら
自分も撃たれるかも知れないなど
恐怖が自分の想像力を掻き立て始めた

その出来事は今まで体験したことがない
わずか15秒間ぐらいの出来事だった。

パッと正面を見ると信号は青に変わってたので
僕はその場から逃げるように車を走らせた。

車を走らせると1ブロック先にたまたま警察がいたので
慌ててハザードランプをつけ道路の真ん中に車を止め
急いでその警察官たちに1ブロック先のデリで今gun shotが起きたことを伝えた。
2人の警察官は急いで車に乗り事件現場に向かっていった。

車に戻った僕はそのまま車を走らせ家に向かうのだが
職業病のせいか運転しながらも

’今どんな感情を持っているか’
’人が本当に撃たれてもしかしたら死んだかもしれない現場を見てどう感じているか’
’実際に人が撃たれるという現場を見て過去に自分が想像していたこう感じるだろうなと思っていた感覚と今リアルに見てしまった感覚とどんな違いがあったか’

など客観的立場からの自己分析が始まった。

そこで気づいたのは
思っていた以上に冷静に見ていたということ
銃というものが今の自分にはかけ離れたものではなくすごく身近にあるなと感じていたこと
警察に伝えなければという正義感が生まれたこと

などだった。

その後あそこで起きた発砲事件がニュースになっていないか
SNSやwebで翌日以降調べたりして見たのだが
どこにも取り上げられている様子はなく
もしかしたら人が殺されているかもしれないというのに
何もなかったかのようにあの事件は過ぎてしまっていた。

NYで多発している発砲事件

パンデミック後のNYは街中でも銃の発砲事件が多発している
それはゲトーと呼ばれる治安の悪いエリアだけでなく
マンハッタンのど真ん中だったり
僕たちが当たり前のように住んでいるブルックリンでもだ。

パンデミック前は全くなかったかというとそんなこともなく
僕がNYにやってきた2014年の一年目には
寝ている時に一発二発の銃声ではなく
映画『ヒート』の街中での銃撃戦のシーンみたいな
最低2人以上での銃撃戦の音を聞いたこともある

しかし過去に比べると圧倒的に発砲事件は増えていて
NYPD(NYの警察の略称)も手を焼いているというのが現状だ。

それだけでなくアジア人に対しての暴力も増えていて
先日もただ地下鉄に座っていた日本人の青年が
通りすがりのホームレスにいきなり殴られ
全治3週間の怪我を負うという事件も起きている。

パンデミック後の格差の拡大

現在NYはほぼ以前の状態に戻りつつある
経済が回り始め仕事がたくさん溢れている状況だ。

しかし一方で収入の格差は広がっている。
経済は回り始め順調なので
稼げる人はめちゃくちゃ稼いでいるし
レストランなどで働くウェイターも稼いでいる

しかし貧困層や若い年代の人たちは
その波に乗れずに低賃金の仕事をしていたり
デリバリーなどの仕事をしていたりする。
(デリバリーの仕事は利用者が多いので稼げなくもないが、天候や時間など関係なく注文が入れば配達をしなければならないので、先日NYを襲ったハリケーンの時でも街中が洪水になっている中電動自転車を走らせ配達をせざるを得ない状況だったりする。デリバリーをしている多くの人はスパニッシュ系やアフリカ系の人たちだ。)

正直この格差は政治が大きく変わらなければ
止めることはできないだろう。
NYの街にはホームレスが溢れ
家賃を滞納する人たちも多くなっている。
そんな彼らを政治はサポートしてくれているが
根本底なところは改善されているわけではない。

その結果が犯罪であり
今回のような発砲事件に繋がっていると僕は思う。

日本では身近で銃を見たり発砲事件なんてものは
現実とはかけ離れた世界だし
NYに住んでいてもそうだと思っていた。

しかし今僕が住んでいるのは
いつ自分の身に銃が突き付けられるか分からない
そんな世界にいるんだと言うことを
体験を持って今回実感させられた。




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