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小説家のお金の使いかた

本屋の雑誌コーナーで見かけた今月のBRUTUSの特集が「新・お金の、答え」というものだった。犬とお金のイラストがかわいくて手に取ってみると「コンビニ人間」を書いた小説家の村田沙耶香さんがお金との向き合いかたについて語っているページがあったので買うことにした。村田さんないし小説家の方がどんな風にお金を使っているのか興味があった。

あと白地に黒い線のイラストだけっていう表紙のデザインが好きで、白地に黄色い字っていうのも良い。

「好きなこと」でもらったお金を「好きなこと」に使う

村田沙耶香さんは「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した後もしばらくはコンビニでアルバイトを続けていた。

「純文学がお金にならない世界だということはわかっていたので、原稿料や印税のことは考えず、そこに縛られずに小説を書きたいと思っています。コンビニのアルバイトはきっちり働いただけのお金が入ってくる。それを使って身の丈に合ったものを手に入れる、私にとっては地に足のついたお金です。もう一方の、小説を書いていただくお金は、急にポンッと入ってくる謎めいた存在。原稿料は枚数によって変わるんですが、書いてみなければ原稿が何枚になるかもわからないし、振り込まれるまでいくら入るかもわからない。本を出していない時期にはもちろんほとんど入ってこないし、なんだかふわっと印象なんです。原稿料や印税などは、自分というよりは小説がもらったお金だと思っているので、パソコンやプリンター、取材のための旅行など、小説にとって必要なもののために使おうと考えていて、できるだけコンビニのお給料で生活するようにしてきました」

このお金の使い方がすごく素敵だなと思った。この前メンタリストのDaiGoさんの「好き」を「お金」に変える心理学という本を読んだんだけど、その本に書いてあったお金の使い方がまさにこの通りだった。この本で「お金を生む無限ループ」として以下の4ステップが語られていた。

STEP0:自分が「本当に好きなこと」を見つける
STEP1:「好きなこと」を極めていく
STEP2:「好きなこと」を収入に結びつけていくための工夫をする
STEP3:「好きなこと」で得たお金を再投資する

わくわくしたままあっというまに読める良い本なのでおすすめ。

創作するともらえるお金以外の対価

とすると、小説を書くことは、対価を得るための「仕事」ではない? 「対価ということで考えると、お金以外の形で十分にいただいているので、その上お金までもらっているような感覚です。自分が書いたものが活字になって本屋さんに並んだり、読者の方から感想をいただいたり、翻訳によって思いがけないところまで届けていただけること、その全部が奇跡みたい。文学賞を受賞しても、賞金以上に、選考委員の方々からこんな大切な言葉を頂戴した、という感動が大きくて。この感動こそが私にとっての対価なんです。」

この気持ち、自分もnote書き始めてから少しわかってきた。毎日毎日お金をもらえるわけでもないのに文章を書き続けていられるのは、note上でのスキとか、Twitterでのいいねとかコメントとか、そういう読んでくれた方々が「読んだよ」とか「よかったよ」っていうアクションを起こしてくれるからだと思う。これって「承認欲求」てやつだと思う。承認欲求ってなんかどろっとした悪い意味で使われがちだけど、なんかnoteで起こる承認欲求ってもっときれいで健全な感じがする。書くことってこれのおかげで続けられるんです。

まとめ

実は1年ぐらい前に小説を何冊も読んでいた時期(それこそ「コンビニ人間」読んだ時期)に、又吉直樹さんの小説を読んでから「この人の考えていること自分と似てる」「自分も小説家になれるかも」と2日間ぐらい思った。一作目のコンセプトや書き出しを考えたり、ペンネームどうしよう、芥川賞を取ったらどうしようと妄想までした。アホである。でも2日目ぐらいで、小説家になるまでとなってからのお金の稼ぎ方のイメージができなくて「やっぱやめておこう」と諦めた。短い夢だった。

だけど好きなことやって生きていきたいっていう気持ちは今も変わっていない(もしかしたらその時の気持ちの名残で毎日文章を書いているのかもしれない)。

小説家である村田沙耶香さんのお金の使い方が知れてよかった。好きなことをやってお金までもらえてそのお金でまた好きなことをやる。なんて素敵なサイクル。

そのサイクルを回せる人生に少しずつ、じわじわと、自分もしていきたい。

#コラム #エッセイ #読書 #お金 #仕事 #人生

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