飴、のうなった。 ─短歌連作
ひとりでに明けていくんもしんどいな吊られるまでの夜を数えて
吐くための深酒やった。それだけで夕暮れが来ることのやさしさ
伏せた思いに雲が膨らみかけとんな。もう永い日が影を濃くして
疑いの雨が止まへん。咲いてすぐに曝れゆく紫陽花が憎らしい
なんやもう知らん、黙れや関わんな。月は沈みよう時がええねん
己ひとりの怖いぐらいの愚かしさ俺たぶん人やあらへんかった
背を向けてばっかり最後の悪あがきガキやさかい飴も砕いてもうた
鴇野流霞 畢
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