準静電界の白昼夢-改行詩
病から来る痛みに耐えている人は
ろくな電気を身に纏わない
その電気は他害の電気だ
他者を寄せ付けない斥力だ
俺は強力な磁石
俺は帯電しないわけにはいかない
過負荷が互いの電気を増幅し
やがて衝突をもたらす
磁場の力だ
抗いがたい大きな力
俺は電磁力
俺は斥力
引力を有たないかなしい針鼠
部屋の片隅に逼迫して
煙草を燻らせる
酒杯を傾ける
幾多の匂いに塗れた髪が猫を呼び寄せる
痛みの匂いが作り上げる磁力線
見えないものばかり眺める
猫は準静電界の住人
人の磁場を巧みに嗅ぎ分けながら
四季の合間をいつまでも微睡んでいる
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