生け贄 ──詩篇
最前線の現代詩では福島直哉が読みやすい
ジョン・コルトレーンの息吹を
夜の憂鬱に聴きながら
彷徨っている言葉の
贄となる
生きたまま煮られる時の苦しみを
生まれた事で味わっている
そんな白けた感慨を明け方に差し向けて
遠く霞むしろたへの後悔のしのゝめの
死んでいった感情の在り処を
夕暮れ、やさぐれたままで墓標に問う
昼を知らない、真昼間を過ごさない
欠落した歯車は回らない
研がれないまま錆びて忘れ去られた包丁の
錆を構成する血のあかねさす火の赤銅を
巡る
静かな
水溜まり
いただいたご支援は感性の維持更新のために活用させていただきます。