【自己満足の果てに】
人は何人も、
端からは、
自己満足に生き、
自己満足に死に行くようにしか見えないような、
酷く滑稽な存在なのかもしれない。
されど自己満足の檻の中で自嘲するを潔しとせず、
脱却を図りもがくことにこそ、
人の生の輝きが見え隠れする気がする。
しかしその恍惚は持続せず。
扉をブチ壊して飛び出したその先は、
以前にも増して高く分厚い自己満足の灰色の壁に四方八方を取り囲まれている。
倦怠を憎悪の拳で打ち砕き、
開放感に喜悦した端から鳥籠の中の鳥であることに気付き、
降下し、
浮上し、
蓄え、
破壊する。
されどいつか、
安らぎに伴う閉塞に対し、
もはや憎悪を抱くことなく、
「これでよし」
と、
自己に満足した時から、
人は独り老いて行くのだろう。
その時ついに、
終末への一歩を踏み出すのだろう。
が、私にはまだ早い。
だから私は決して折れない。
散らない。
朽ちない。
斃れない。
なぜならこの程度の存在の停滞に、
美しさは宿らないから。
されど、
親しき人が、
俺ではない親しき人が、
その遥かなる道へとその身を歩ませるならば、
私は心からの感謝と、
寂しさに似た祝福をもって、
その背中の小さくなっていく様を、
心に刻みたいと思う。
そして願わくば、
私だけからではなく、
多くの人から、
そうされんことを。
そして、
その時が来たら、
自己満足で終わる生などないということを、
最期に私に教えて欲しい。
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