
母体は分からないことだらけ
12月26日に発売された、Newton2025年2月号の「母体の神秘」の編集を担当しました。

一昨年に娘が生まれたのですが、妻を見ながら「母体の変化って不思議だな」と心から実感したのがきっかけで企画しました。
実は意外なことに、Newtonでは「母体」をメインテーマに据えた記事は、調べた限りこれまでありませんでした。胎児や胎盤の記事は何度かありますが。
執筆いただいた山本尚恵さんや、監修いただいた遠藤誠之先生のご尽力のおかげで、出産を経験した当事者や関係者はもちろん、妊婦との関わりがまったくない人にも、人体の神秘を感じてもらえるような面白い記事になったのではないかと思っています。
記事の企画の段階では、社内のママさん方に母体にまつわる気になることをヒアリングしてみました。そしたら、みんなそれぞれ気になることが違っていて面白かったです。その場も結構盛り上がりました。
科学的に解説するのが難しくて記事には入れられなかった話題も含めて、その時に出た話題をいくつか紹介します。
自分の子どもが世界一可愛いく思えるのはなんで?
単純接触効果でしょうか? 配偶者に似ているから? それとも自己愛の一種? いろいろな説が出ましたが答えはよくわかりません。
母性ってあるの? そもそも母性って何?
子供を守るための本能みたいなものだと思いますが、科学的にきちんと定義するのは難しそうです。でも気になる疑問でした。
つわりの個人差が大きいのはなぜ? 改善方法はある?
実はつわりの原因に関する研究はこれまであまり進んでいなかったのですが、2023年に、つわりの個人差に「GDF15」というタンパク質が関係しているとする研究成果が発表されました。記事ではその研究についても紹介しました。ただ、まだつわりの改善までは至ってないようです。
出産の痛みは「鼻からスイカってだすぐらい」っていうけど、出典あるの?
出典は不明でした。誰が言い出したのでしょうか…。
人類はこれだけの文明を手に入れたのに、なんで妊娠・出産だけこんな大変なままなんだろう?
いろいろな話が出ましたが、結局これについて一番長く話した気がします。
無痛分娩などがあるとはいえ、それでもなお、妊娠・出産で母体にかかる、身体的や精神的な負担は相当なものです。今回は誌面の関係で触れられませんでしたが、女性特有の問題を解決する技術は「フェムテック」と呼ばれているそうです。妊娠・出産の負担を和らげるフェムテックの進展に期待したいところです。
今回、記事では専門家の監修のもと、科学的に裏付けのとれる情報を掲載しました。ただ、ネットで調べていると、妊娠・出産と育児に関しては、精神論や科学的根拠が怪しくみえる言説がかなり出てきます。害にはならない情報も含めて、何が科学的に正しい情報で、何が俗説なのか、判断が難しい印象をうけました。
こうした状況のそもそもの原因は、「母体の変化は複雑で、まだよくわかっていないことが多い」というのが大きいと個人的には感じました。研究が進めば、こうした問題も今後少しずつ解消していくのかもしれません。
最後に、話は少し変わります。
自分は普段、Newton Specialという特集記事を中心に担当しています。今回の記事は、社内では「読み物記事」ともよばれる、文字が多めの記事でした。ここしばらく特集記事ばかりつくっていたので、新鮮な気持ちで楽しく仕事ができました。
ちなみにこの号の特集記事は、全52ページにわたる大特集「量子力学100年」です。量子力学の発展史と今後の未来について語られています。
売上好調で完売のお店も出ているようです。私自身ももちろん読みました。量子論の発展に寄与した錚々たる物理学者が登場するのですが、その天才エピソードの数々が個人的にはとくにツボでした。こちらもとてもおすすめの記事です。
次号の発売日(1/24)までは店頭にあるはずですので、気になる方はぜひ手に取ってみてください。Amazonでも購入できます。