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すきなツッコミ

漫画『クレヨンしんちゃん』の、「よ、久しはまち!」「ぶりでしょ」というくだりが大好きだ。「久しぶり」の「ぶり」の部分を「はまち」に言い換えるというギャグセンス。間髪入れず、シンプルに「ぶりでしょ」と指摘する無駄のないツッコミ。クレしんでは主に母みさえがツッコミを担当することが多いが、大好きなツッコミの1人である。

あくまで私見だが、ギャグ漫画におけるツッコミのエポックメイキングは、徳弘正也先生の『ジャングルの王者ターちゃん』だと思っている。従来のギャグ漫画に多かった、奇想天外な言動に対して奇声を上げながらズッコケたり飛んで行ったりする、ギャグ+リアクションという構造から、言動に対してツッコミを入れるという構造にシフトして成功した最初のメジャー作品はターちゃんなのではないか。コマの端っこからダイナミックにカットインして放たれるツッコミの迫力は、従来のギャグ漫画とは一線を画した。ジェーンだったりターちゃんだったり、状況に応じてツッコミ役が持ち回りになるのも漫画ならではだったように思う。

ジャンプのギャグ漫画におけるボケ+ツッコミ構造の正当後継者は『すごいよマサルさん』『ピューと吹くジャガー』のうすた京介先生だろう。マサルさんではフーミン、ジャガーではピヨ彦と、割と明確なツッコミ役を主人公と組ませているのが特徴であるように思う。奇想天外な行動をする突飛なキャラクターと普通の人という組み合わせは、以後のギャグ漫画のベースとなった。『ピューと吹くジャガー』には、「突吉こむ平(つっきちこむへい)」という、何にでもツッコミを入れるキャラクターが出てきた回があったが、あれも大好きだったなぁ。マサルさんが全くボケず、フーミンがツッコミを入れられずにソワソワする回もあった気がするが(うろ覚え)、明確な役割分担を打ち出したからこそ、ツッコミ役がフィーチャーされた回が生まれたのではないか。

以後はギャグ漫画ツッコミ戦国時代に突入する。作品に応じてリアクションとツッコミを綯い交ぜにした増田こうすけ先生の『ギャグ漫画日和』。日常のゆるいボケにストンとツッコミを入れる『あずまんが大王』のよみちゃん。あらゐけいいち先生の『日常』のみおちゃんのツッコミはアニメでもめちゃくちゃ凄くて、漫才をやっていた頃に参考にしていたくらいだ。ギャグ漫画は数あれどツッコミに着目して読んでみるのも面白いかもしれませんね。

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うえぽん
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