夢の円盤化
誰かが見た夢が流れ着く砂浜がある。数百年前、或いはもっと昔からあった場所だが、夢の形式については時代とともに変化している。
いにしえの昔、誰かが見た夢は石に掘られた絵として流れ着いていた。いつしかそれは油紙に書かれた短い文章形式になり、漆塗りのつづらに入った絵巻物となり、近世にはガラス瓶に詰められた手紙になっていった。
1900年代半ばになると、夢は8ミリフィルムで映像化されて流れ着くようになった。VHSとベータが混在していた時期を経てVHSビデオテープで流れ着くようになり、それがDVDになったのは2000年頃だ。近年はブルーレイやUSBメモリ、マイクロSDカードなどに変わっていった。
最近はそれすらなくなり、夢データのクラウド化が進んでいる。流れ着いたQRコードをスマホカメラで読み取ってアクセスすると夢の動画が見られたり、月額1980円で契約すれば夢見放題のサブスクも新設されたし、各種動画配信サービスで夢の生配信を行い視聴者からの投げ銭で収入を得る配信者も増えた。一方でフィルムやテープでしか残っていない古い夢のデジタルアーカイブ事業も進んでおり、夢マニアからも注目されている。かく言う筆者もその一人である。
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