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HPP走法
昨年オランダで行われた競技会で、女子100m走の世界記録が30年以上ぶりに更新された。ずっと破られていなかった記録を0.2秒も縮めた大記録。偉業を成し遂げたのは、22歳の新星、ヘレナ・パール・パターソン選手であった。
走るというのは実にシンプルな競技だが、当然ながらとても奥が深い。世界レベルになると、骨格や筋肉の付き方などによって全員それぞれ微妙に走り方に差がある。運動工学の発達により、近年はよりその個性化が加速している節がある。中でもヘレナ選手の走り方はかなり独創的であった。
ヘレナ選手は他の選手に比べてあからさまに頭が大きく、本来なら短距離走向きの骨格ではなかった。しかしそれを逆手に取って、走りに合わせて頭を鳩のように細かく前後に振ることで推進力に変える独特な走り方を体得したのであった。最初はなんだあの奇妙な走り方はと馬鹿にされたが、フォームが安定するにつれてめきめきと記録を伸ばし、そしてついには今回の世界記録に至ったのであった。
ヘレナ選手の走り方はそのイニシャルから『HPP走法』と呼ばれ、世界中の選手がそれを研究することになった。頭の大きなヘレナ選手だからこそ大きな結果に繋がった走り方ではあったが、それでも何人かの選手はHPP走法の要素を取り入れることによって記録を伸ばすことになった。これからの短距離走では、HPP走法はもうスタンダードになっていくのだろう。
ちなみに日本では、HPP走法ではなく『はとぽっぽ走法』と呼ばれている。
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