推し活日記
6月11日、サッカー欧州チャンピオンズリーグ決勝戦の日だった。インテル・ミラノ対マンチェスター・シティ。僕がずーっと好きで推しているチーム、インテルが13年振りにヨーロッパの頂点に立つための決勝戦にまで辿り着いたのだ。
これはなんとしても見届けねばならない。放送はWOWOWのみ。キックオフは日本時間の深夜4時。どこかのスポーツバーにでも行って観ようと思っていたのだが、WOWOWは権利的な問題であまりそういうことが出来ないらしい。クソが。ええいままよと、勢いでWOWOWを契約してやった。月額2300円、税込2530円。現在サッカー界は放映権料が高騰し過ぎて放送局がバラけ過ぎてる問題があって、WOWOWも各国のリーグ戦は見られず、実質CLとELしか見られないクソコンテンツと化している。テニスやラグビーも見られる?それが何なのだ。たぶんすぐに解約する。1試合見るためだけの値段。だがそれでいい。ポテチとコーラを買って帰って仮眠を取って、おそらくワールドカップ以来のサッカーリアルタイム視聴となった。
⚠️注意⚠️ここまではサッカーを知らない人にも分かるようにある程度配慮しながら書いたが、ここからは一切の配慮を考えないものとする。
両チームのスタメン発表。改めて見るとシティのメンツがエグい。単純な年俸比較だとどれくらいの戦力差なんだろう?正直5-0で負けても仕方ないくらいの圧倒的な戦力差だ。ハーランドとデブライネとルベンディアスぐらいでインテル全員の年俸になるんじゃなかろうか。いざ試合が始まる。シティの選手がボールを持つたびに怖い。でも意外とインテルもしっかり守って形は作れている。ディマルコ君がとてもいい。ダメ元でもいいからもうちょっとシンプルに放り込んでもいいんじゃないかと思うけど、最終ラインから丁寧に繋いでゲームを作ろうとするインテル。オナナ君もとても良い。加入初年度でスタメン抜擢、からのこの舞台。勝っても負けてもこの経験はオナナ君の未来のためになるだろうななどと不謹慎なことを思ってしまう。いや、勝たなきゃだろ。シティはベルナルドシウバが目に付く。身体を張ってしっかり守れて、ドリブルでボールを運べて、パスの判断も一級品に見える。これが世界最高峰の選手なんだなぁ。バストーニはともかくアチェルビとダルミアンなんて世間的にはもう終わりつつある選手だ。こんな怪物たちを相手にこんな3バックで、でもちゃんと守れてるのが信じられない。シティの守備陣ではアカンジがとてもいい。硬ぇ。意外と一進一退の攻防が続く。ラウ太郎丸くんは気負いがあるのかちょっと全体的に力んでいるように見える。反してジェコは泰然とプレイしているような気がする。37歳にして初のCL決勝戦。思うところはあるんだろうなぁ。なかなか点が入らない展開、しかも攻撃面でもどちらかと言うとインテルの方が形を作れている。これはワンチャン有り得るぞ!しかしシティの方がチャンスは少ないけど決定的なところまではボールを持っていかれているようにも見える。ヤキモキする。キャプテンマークを巻いたブロゾヴィッチ。ブロゾ君のことは加入当時から知っている。もうそんな大黒柱のような選手になったんだなぁと思うと感慨深い。バレッラとチャルハノールと一緒に、一生懸命に走ってシティのボール運びを潰している。いいぞ。あ、デブライネの負傷交代があった。ハーランドと並んで間違いなくシティ最強のタレント。退いてくれるのは正直ホッとするものがないわけではないが、それでも最後まで戦いたかっただろうにと心中を察する。いや交代で入ってくるのもフォーデンなんかい!つよつよのつよやないか。選手層どうなってんだよ。ハーフタイムまで0-0。正直希望はあった。意外とやれてるやん、このまま行けるんじゃね?という楽観があった。でもシティはシティだった。これまでのパターンだと、うまくいかないチームをハーフタイムにペップがいじって、より機能不全になるケースがあった。大舞台で考えすぎてやらかしがちなペップ。でも今日は動かなかった。それが勝負の綾となったような気がする。一瞬の隙を突いた抜け出しからの折り返しからの最後はロドリ。オナナも一歩も動けない見事な一撃だった。でもインテルも諦めなかった。むしろよりシンプルにゴールを目指してリスクを取ったプレイで展開は加速する。ディマルコのヘッド、バレッラのミドルシュート2発、ジェコに代わって入ったルカクの決定機、いずれもエデルソンが、ディアスが立ちはだかって枠にゴールラインを越えてくれない。最後のワンプレー、オナナ君まで前線に投入したコーナーキックも跳ね返されて、試合は終わった。
終わってみれば完敗だったと思う。最後のところで、紙一重ではあったがことごとくシティが上回っていた。ルカクが早い段階でカードをもらわずに、もう少し強気にプレイ出来ていればと思わないでもなかったが、それも後の祭りだ。13年振りの決勝戦は13年前の結果とは異なる結末を迎え、インテルは準優勝に留まった。でもチームはよく戦ってくれたと思う。セリエAはオワコンだ、これからはリーガだ、これからはプレミアだと散々言われてきた。実際にそうだと思う。インテルはもはや『古豪』と言ってもいいだろうし、シティは新時代のチームだ。でもそんなチームでも、全てを出し切って戦えばこれだけチャンスを創ることが出来るのだ。試合が終わって呆然と悔しさを噛み締めるインテルの選手たちを見て、僕は不覚にも泣いてしまった。来季もおそらく戦力の流出があるだろう。守備の柱だつたシュクは出て行く。年齢的にもジェコもチームを出る可能性が高そうだし、レンタル組のルカクやアチェルビが来季も残るかどうかも分からない。またチームは一から作り直すことになる。それでも僕はこのチームを愛しているし、その想いはずっと続くのだ。次にまたこの舞台に辿り着けるのは一体何年後になるだろう?その時にまた、こうやって応援して、今度は勝って涙を流せるといいなと、そんなことを思いながら眠りについた日曜日の早朝でありました。