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政治のはなし
誰でも知りたがっているのにちょっと話しづらい政治の話を書いてみることにしよう。
先の衆議院選を経て、国民民主党が大きく議席を増やした。手取りを増やすという『政策』を全面に押し出した選挙戦、そして議席を伸ばすやすぐに政策の実現に向けて動き出すスピード感。非常に分かりやすく芯のぶれないスピーチが出来る玉木代表と榛葉幹事長という二枚看板の強さ。連立与党が議席を減らして過半数割れを起こしてしまったこともあり、政局ではなく政策が大事なんだと訴え続けていた党が選挙後の政局においても中心になっているのはとても興味深い。
正直、既存の野党や様々な利権による癒着がある(としか思えない)マスコミによる『政局』中心の話題にはうんざりしている人も多かっただろう。僕もその1人だ。与党の粗探しをして叩いて、失言があったらまた揚げ足を取って叩く。それでいて野党のやらかしにはお目こぼしのダブルスタンダード。与党も信頼してるわけじゃないけど与党叩きだけに奔走している野党に政治を託すわけにもいかないよ……なんて思っていた層を取り込んでの結果なんじゃないかなと思う。
不祥事云々を抜きにしても、政治運営というのは相反する意見を持つ国民たちに配慮しながら最適解を探っていくことだと思っている。例えば異なる意見AとBがあって、議論を重ねに重ねてじゃあAの方向で進めますってなった時にBはどうするんだ!って言えばいくらでも叩けてしまう。「原発反対!」「じゃあ原発を止めて火力発電にしましょう」「電気代が高い!」「じゃあ公費を投入して補助しましょう」「税金の無駄だ!」「じゃあ原発動かしますかね」「原発反対!」……というループが続いてしまう(実際はもっと複雑な要素が絡み合うのだけど)。批判は簡単、それを受けて政策を実現するのはとても難しい。恥ずかしながらこの歳になってようやくその辺がまあおぼろげに分かるようになってきた。
国民民主党の躍進を受けて、野党やマスコミの一部が国民民主党叩きに回っているのもなかなか興味深い。ここで目玉政策を実現されるなんて成功体験を与えることになったら、『政局』においても遅れをとってしまう。何としても阻止しなければ……という意図が透けて見える。
ここからは憶測に過ぎないけれど、マスコミに有利な意見を報道させるために買収が必要なのだとしたら、きっとその金額は大暴落しているんだろうなと思う。日本全体がまず貧しくなったこと、各種SNSや配信サービスの増加によって新聞は売れなくなり、テレビの視聴率は下がってしまったこと。あとはこれまで買収の間に入って儲けていた暴力団のような組織が弱体化してクリーンになったことも影響しているかもしれない。1000億円払ってやるほどじゃないメディアコントロールも、1億円でいいならお願いしますってなるだろう。与党を叩けばどこかからお金がもらえる、一定の層に新聞が売れる……これはまあ僕の妄想に過ぎないけれど、完全にない話ではないだろうと思う。
20年以上前に読んだ映画雑誌で、映画『007』シリーズの敵についてのコラムがあったのを覚えている。冷戦が終わって、スパイの存在意義が揺らぎ、シリーズは敵役の設定に苦戦する。『007ゴールデンアイ』では006という身内の二重スパイという荒業で乗り切り、さてどうする……となった次の作品『トゥモロー・ネバー・ダイ』では、戦争を起こしてビッグスクープを自ら捏造しようと画策するメディア王という新たな敵役を創造することに成功する。現代に即した新たなる敵役によってシリーズは息を吹き返した。というコラムだった。今の世論、マスゴミと揶揄されるほどに堕ちてしまったメディア各社を見るととても考えさせられる内容だ。
とまあ色々書いてはみたものの、これはあくまで僕の視点による一意見に過ぎない。前述の通り様々な相反する意見を加味して国家を運営するのが政治家の仕事なわけだが、我々国民は様々な意見を持つ権利がある。政策云々よりも腐り切った与党を引きずり降ろすことの方が大事だ!という意見もあっていい。みたいな配慮をしないと面倒くさいやつに何か言われそうだよな……なんて思ってつい話題に出せなくなってしまうのが政治でもありますよね。他人の意見をリスペクトしつつ、いい意見交換が活発に行われるような世界になったらいいのになと願って、まあ最近関心が高まった政治のことをつらつらと書くなどしてみました。
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