単焦点のジレンマ
「すごく気に入ってるレンズ。だが焦点距離が気に入らない。故に使用頻度が少ない。」
単焦点のジレンマという言葉はご存知だろうか。
あまり聞き馴染みがない言葉だと思う。僕が作った言葉だからだ。
「50mmのライカQがほしい」「45mm F2.8 DG DNの35mmがほしい」のような嘆きを見かけた事があるのでこのような感覚を持っている人は一定数いると思う。
僕にとっての単焦点のジレンマは85mm F1.4 DG DNがそうなのかもしれない。
質感をしっかりと写し撮ってくれるこのレンズはデジタルデータに肌触りを感じさせてくれる。
焦点距離85mmの圧縮感は構図の整理をしやすいがバリエーションがあまり出せず面白味にかけると感じてしまう。
人生を面白くするには安定した衣食住の他にほんの少しのパースが必要なのだ。
イメージがわかない状態で撮っても、それなりに納得のいく写真が撮れてしまうのは太古の昔から人類が85mmという画角を使用してきたので本能として染み付いているからだろうか。
そういえば恐竜の化石と一緒に85mmのレンズが発掘されたと聞いてとても驚いた事がある。忘れもしない4月1日の事である。
85mmだとつい縦構図が多くなってしまうことに気づいたが、これもホモ・サピエンスの本能ということにしておこう。
これからもこのレンズとは「好きだけど少し距離を置く」というお付き合いになるかもしれないが、お互い30歳まで独身だったら結婚してもいいかもしれないと思う夜だった。
Twitter:Ryuji Siba