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#14 アメリカで飲食店開業:POS選びとキャッシュレス

アメリカで飲食店をやろうと思った時、意外と悩んだのがPOS選び。

POSは日本語に翻訳すると、販売時点情報管理システムだが、

要するにコンビニにあるような色んな機能が付いたレジのことで、

決済、メニュー管理、在庫管理、売上情報分析、顧客情報管理などの基本的な機能から、

最近は、シフト管理、タイムカード、ニュースレター、ポイントプログラム、オンラインオーダー管理など様々なことができる。

旧来的なハードウェアを買って終わりのタイプもあるが、

最近はクラウドに繋ぎ常時システムをアップデイトするのが主流となっている。

色々検討した末にたどり着いたのは、Square(スクエア)。

Squareは元々はスモールビジネスをターゲットにしたモバイル決済のスタートアップから始まったようだが、

みるみるうちにPOS業界でも頭角を現し、シェアではToastやCloverを追う立場と思われるが、

時価総額では圧倒的No.1の地位にある。

POS端末自体はToastもCloverもSquareもどこも機能的には大差がないというのが正直な感想だが、

Squareは元々スモールビジネス向けのモバイル決済から始まったこともあり、

直感的な操作で初心者でもサクサク使いこなせるだけでなく、

端末のセットアップも素人でも出来るように考えられている。

最終的な決め手の一つになったのは、導入当時は2020年7月とコロナの真っ最中で、

顧客との接触を極力なくすことが求められており、

顧客と接触することなく、決済を完了することができるSquare Registerという端末の存在が挙げられる。

Square Registerには、お店のスタッフ側のタブレットと、顧客側の端末の2つがあり、

顧客が自分側の端末で直接オーダーを確認しつつ、クレジットカードを店員に渡すことなく、

自分でクレジットカードをタッチもしくは挿入して決済を完了することが出来るのだ。

今ではそういう2画面端末を用意しているPOS会社も増えてきたが、

当時はSquareくらいしかそういう端末を扱っていなかった。

Squareを導入してから約4年が経つが、使い勝手は本当にいいと思う。

日々の売上チェックや、返金処理、商品登録や値段変更、売上の銀行口座への送金などの基本機能は

POS端末やスマホで簡単に出来るし、

詳しい売上レポート分析、ニュースレターの発信、オンラインオーダーの管理、ウェブサイト更新、タイムカード管理などは

パソコンでサクサクできるようになっている。

Squareには概ね満足していたが、2.6%+10¢というクレジットカード決済手数料をもっと安く出来ないかと思ったのと、

当初は無料サービスで提供していたシフト管理などのサービスを徐々に有料化していく作戦に気付き、

一度、他社への乗り換えをしたことがある。

結論としては、操作性はSquareが断然よかったことに加え、

クレジットカード手数料も均すとほぼ変わらないか、むしろSquareの方が安かった。

その時にクレジットカード手数料について、色々調べたが、

どこも大差はないというのが結論だ。

一旦他社に乗り換え、再度Squareに戻した時に、

スタッフ全員が本当に喜んでいたことでも、Squareの使い勝手のよさが分かる。

POSは使い勝手の良さも重要だが、システムがダウンしないことも重要。

特にBrio Brioの場合は、キャッシュレスの方針で基本的には現金決済を受け付けていないため、

POSがダウンしてしまうと大変なことになる。

実際に過去何度かPOSがダウンしてしまい、その時は、後日の支払いで結構ですとか、

(アメリカなのに、100人中98人が実際に支払いに来てくれた!!)

後ほど電子インボイスを送付するので、そちらでお支払くださいという対応をしたが、

現場は、オーダーメモを取ったり相手の連絡先を記録したりと、

大混乱に陥ってしまうため、極力避けたいものだ。

POSシステムがダウンする原因はWifiがダウンしてしまうケースと、

大元のシステム(POS会社のメインシステム)がダウンするケースがある。

前者の場合は、大体のPOS端末はオフラインモードという機能があり、

ネット接続できない時にも決済記録を記憶し、回復した時に決済を進めるということになっているが、

何度かオフラインモードが上手く作動しなかったことがあった。

そのため、現在はWifiで接続するのをやめて、LTEや5Gの携帯電波でネットに接続することにしている。

後者の、大元のシステムがダウンしてしまうケースでは、オフラインモードも使えなくなるケースがあるので、一大事だ。

Squareも年に数回、大元のシステムがダウンしてしまい、決済が出来なくなることがあったため、

今はZettle by Paypalというブランドのミニ決済端末を購入し、緊急時に備えることにした。

先述の通り、Brio Brioはキャッシュレスとしている。

アメリカで飲食店をやろうと思った時に、アメリカは日本よりはるかにクレジットカード決済が普及していたので、

絶対にキャッシュレスにしようと思っていたが、

そのことを周囲に相談すると、多くの人にやめた方がいいとアドバイスを受けた。

アメリカは所得が低い人はクレジットカードが持てない人もいるし、

クレジットカードの手数料は高いからと。

この4年間実際にキャッシュレスでやってきて、

全お客さんの1%くらいの人から、現金は使えないのかと聞かれる。

現金を扱っていないので、お釣りがなくてよいならと答えると、

90%くらいの確率で、じゃあクレジットカード(もしくはデビットカード)で支払うとなる。

残りの10%、即ち全お客さんの0.1%くらいの人が、なぜ現金が使えないのかと怒って帰る。

クレジットカードの手数料は均すと大体3%強となり、

薄利の飲食店にとって、大きいと言えば大きいとも言えるが、

僕は現金を扱わないことのメリットの方が大きいと感じている。

・毎日の現金売上を銀行にデポジットに行ったり、翌日の釣銭を用意したりする手間が省ける。

・店締め時に売上と現金残高が合致しない時に、何度も数え直す無駄な時間が省ける。

・お勘定時にお客さんが小銭を含めた現金を財布から出す時間、スタッフが受け取った現金とお釣りを数える時間、お客さんがお釣りをお財布に入れる時間は、忙しい時間帯はチリツモで大きな時間ロスになる。

・犯罪の多いアメリカでは現金を扱わないことで強盗のリスクが減る。

Brio Brioも一度夜中にカギを壊されて侵入されたが、現金チップ20㌦程度の被害で済んだ。

現金売上は売上を少なく見せて税金の支払いを少なくできるとアドバイスくれる人もいるが、

僕はビジネスをするからには、そこは胸を張って義務を果たしたいと思っている。

第一話はこちら

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