橋のこちら側あちら側⑦
橋の途中でぼおっと立ち尽くした。橋のこちら側を見ては、冷たい本質という名の天使を見、橋のあちら側を見ては、不気味な巨大な怪獣「自分じゃない自分らしいもの」を見た。橋のこちら側では、孤独に己の本質と向き合わざるを得ない苦しみを認識し、橋のあちら側では、周囲との協調を強いられる苦しみを認識した。人間、周囲を巻き込んで生活しているうちは、橋を行き来し、常に孤独にさいなまれるか、あるいは本当の自己を消しさるかしていかなければならない地獄のようなものなのだろうか。この中途半端な場所に居続けるという選択肢もあるのかもしれない。丁度良い場所・・・橋のこちら側の孤独も少々、橋のあちら側の怪獣も少々。でも多分結局のところ、孤独を感じては人の中に入って行って、人の中で嫌になっては本質の自分に回帰する。そしてその孤独が嫌になったらまた人の中に入って行く、怪獣と仲良くするというのが人間なのかもしれない。(おわり)
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