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アメリ 感想

内容


奥手な女の子のお話。この作品にはちょっと変わった人たちしか出てこない。だが、この世界ではそれが普通であり、彼らにとっては自分は普通なんだと思っている。そういう人たちが面白い世界を見せてくれるんだ。

一見、器用だと思われる主人公のアメリ、だが自分のことになると不器用になってしまう。好きな人になかなか自分の気持ちを伝えられず、奥手になってしまう。個性が強い彼女だが、ところどころ親近感が湧いてくる。

見どころ

十人十色。この作品にぴったりな言葉だと思っている。色にこだわっており、登場人物ひとりひとりにもこだわっている。その登場人物と色がうまく噛み合っていて、おもしろい。

濡れた水着が肌にくっつくのが嫌いな人、落ちている証明写真を集めるのが好きな人、梱包材のプチプチを押すのが好きな人、いろいろな人がいる。そういう人たちに焦点を当てたのがこの作品の見どころであると思っている。

気持ち悪い

この作品には「気持ち悪い」や「意味不明」という評価も見られる。たしかにそうだ。気持ち悪いし意味不明なんだ。だが、これは作品だ。気持ち悪くてもいいし、意味不明でもいいんだよ。ただお前がこの作品に向いていないだけ、お客じゃないだけなんだよ。このことから、作品を作品として見れない人が多いんだなということも気づけた。

どうしても人は物語の中の世界と自分がいる世界を一緒にしたがる。そして、その物語の登場人物と自分の心境を照らしあわせたがるんだよな。これなんだよな。お前が生きている世界と作品の世界は別なんだよ。

まぁ、映画の見方は人の数だけあるんだけどさ。見る人が多くなれば、そういう感想も出てくるのはしょうがない。それだけこの作品は見られているってことなんだからね。

心の壁

人と距離をとりたい時にみんなは心に壁を作るよね。でも、アメリの場合は心にガラスを作るんだよね。人には興味があり、観察をしていたい、けど自分を曝け出すのが億劫になる。だから、彼女は人を観察する時にはガラス越しで見る。だけど、ガラス一枚では見えすぎてしまうのかもしれない。だから、物理的にも距離をとっているんだよね。

性行為

冒頭の恋人ではない誰かとのセックス。頑張って腰を振っている男をよそに、無表情のアメリ。どういう感情なのだろうか。性には興味があるようには感じる。多分、興味本位での行為だったのかもしれない。しかし、好きな人の前では奥手な彼女が興味本位でその行為をするのか。謎である。

終盤の好きな人とのセックスでの彼女はどこか満足した表情だった。きっと満たされたのだろう。

自分の考察はこうだ、冒頭のセックスは相手からの誘いであると思った。そして、終盤のセックスはアメリ自身からの誘いである。そんな風に感じた。

売れない小説家

最後に気になったのは売れない小説家であるイポリトだ。彼の発言が気になったので、取り上げてみる。

「君がいなければ、僕の今のこの思いは、ただの過去の感動の抜け殻にすぎない」


この言葉でアメリは行動を起こしたと言ってもいいだろう。ここから全てが始まったのだ。

「人生は永遠に書き直し続ける未完の小説だ」


そうんなんだよ。人生はいくらでもやり直しがきくんだよ。だから、失敗してもいいんだ。やり直せばいいだけなのだから。失敗するのが怖くて行動できないのでは、小説なんてものはすぐに書き終わってしまう。たくさん失敗して、修正すればいいんだよ。人生は計画通りにいかない、だから何度も修正するんだ。

彼の発言はどこか人生を諦めたような感じがする。だから、皮肉れているんだ。

最後の彼の後ろ姿のシーンがなんとも言えない。


では、ここで終わりにするよ。





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