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【詩】街灯
冬の夜道にぽつんと立っている街灯を見かけると 陰に何かひそんでいるのではないか とつい足を止めてしまう
光の色は橙がいい 薄ぼんやりしているとロンドンの街角のガス灯のようで なおよい
ロンドンといえば霧煙る町
街灯の陰にひそむのは犯罪界のナポレオンことジェームズ・モリアーティ教授か はたまた切り裂きジャックか
夜に犯罪の匂いがするのは 闇が全てを隠してしまうからだろうか
隠すといえば恋心
街灯の影から可憐な乙女に想いを抱かれるなんてのも乙である
夜は短し歩けよ乙女
ぼんぼりの下 雪白き神社の境内を二人並んで歩くのもいい
歩くといえば猫
猫は街歩きの達人だ
ほら あの街灯の根元にいる黒猫をごらん
彼こそは夜遊の名人
ひたひたと形のない闇を音もなく進めば たちまち過去と未来が入り乱れ 夜道は時空のパッチワークとなる
パッチワークといえばマフラー
冬が深まると お気に入りの柄のマフラーを首に巻く
風邪は首から入ってくる
足を止めている間に雪も降り出してきた
今宵の夢想はここまで
軽く会釈をして街灯に暇を告げた
(2024.11.19火 会社帰りに見かけた街灯に足を止めて)