AIサイバーwar

「警視庁が攻撃を受けてます!」
「またか!おい、弾の準備はできてるか?」
「はい。配置します!」
私は学習済みAI、通称「弾」を装填し始めた。

私が生まれた頃のサイバー攻撃は、ハッカーが直接的にセキュリティ解除をしたり、単機能のウイルスを送り込んでいたらしい。
そんなものに突破されるとは、どれだけ甘かったのかと、今の人は呆れるはずだ。

現在のハッカーはAIウイルスを用いる。セキュリティホールの解析、ウイルス対策ソフトの停止などの機能が、全て備わっている。起動すれば、あとはほっとくだけだ。
他国で初めて使われた時は、戦争の形成が一気に傾いた。
それから、世界中で我先にと、開発・対策の競争が続けられている。

「侵入ポイントに、R-18を出せ!」
「完了しました。無力化中です。」
「どのくらいかかる?」
「あっ!相手側にも無力化機能が!解析スピードが落ちてます。」
「なに!弾生成はやってるか?」

「はい。学習中です。あと30秒耐えてください。」
「よし。弾を追加しろ!」
「わ!相手の弾が増えてる。送信速度増加の許可を、ソフにとって!」
「もうとってます!」
「よし。開始します!」

弾の生成とは、高速で学習させて、学習済みAIプログラムを作ることだ。
元々、こんな用途に使われるために、できたわけではない。

・個人が自分の使う家電やロボットに、好きなスキルを追加する。
・仕事を代わりにやってもらって、収入を得る。
以上の平和で楽な暮らしのために作ったものだった。
戦争に使うとは、なんとゆう皮肉か。

「敵対弾の生成が完了しました。投入します。」
「よし、これで。」
「隊長!こっちの発電所に攻撃されてます!2段階突破で、停電目前です!」
「なに!防御を優先しろ!そうなりゃ、終わりだ。」

「元々、配置した防御プログラムは!?」
「敵対弾を相手が持ってたらしく。。」
「いいから、こっちも敵対弾作れ!予定時間まであと15分耐えろ!」

「ぎゃー。最終壁が破られた!即興で作った予備壁突破されたら停電だ!」
「あと5分なのに。。」
「ありったけの弾入れてます!」
「やばー」

「あっ。」
「どうした?」
「サーバーの停止を確認しました!」
「もしかしてもう着いたのか?」
ぷるるー

「もしもし?コンセント抜いたぞ!」
「マジか。なんで時間短縮できたんだ?」
「短距離日本代表に応援頼んだ!コネも大切だって言ってるだろ。」
「おお。それは、悪かったな。」

「全く、いつになったら完璧な防御法が見つかる?」
「そんなもん無い。相手も対応し続けるんだから。」
「サーバーの遠隔停止は作ってくれないのか?」
「そいつをハックされたら、逆に危険だからな。作らない方が安全だろう。」
「まったく。サイバー陸上部とでも改名するか?」

「全くだ。皮肉だよ。アナログな方法のために全力でデジタルを使うなんて。」
ハッキングされたサーバーの情報を取られないために最善の方法は、サーバーの電源を切ることだ。
そして、そのために時間稼ぎをするのが、私たちの役目だ。
(おわり)

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