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狂い風

その夜、闇が紅く染まった。

深夜、風が咆哮している。行き場のない怒りが渦巻いているようだ。時折窓がビリビリと電気の走るように軋む。かと思えば風は途端に息を潜める。しばらくすると遠くの方から、夜を彷徨う深い唸り声が聞こえる。獲物を探し回る飢えた手負いの狼のように、闇の中を徘徊している。唐突に凄まじい風が怒涛の勢いで窓を叩きつけ、重い大気が烈しく部屋を揺らした。

闇夜に迸る血が烈しく噴き出している。

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