B2B製造業のデジタルトランスフォーメーションの意義
こんにちは!中小製造業応援団のたつみです。
デジタルトランスフォーメーションは進めないとダメなんですが、なぜなのかキッチリ答えられる製造業経営者はどのぐらいいるでしょうか?
デジタルトランスフォーメーションとは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」(wikipediaより)という意味で、「DX」と言われることもあります。もっとシンプルに言うと「デジタルによる変革」です。では製造業をデジタルで変革する理由はなんでしょうか?
今回は、主にB2B製造業のデジタルトランスフォーメーションの意義を考えてみます。
①労働生産性向上
ここが一番重要と考えます。新型コロナウィルスの影響で働き方や収益が着目されていますが、それより労働人口が減ることへの対応の方が大きいです。労働生産性の重要性はこちらの記事を見てください。
働き手がいなくなるのに現場業務を効率化し、ついでに労働環境を整えない企業に人は集まりません。
今はテレワークが注目され、製造業にとっては間接部門の移動時間の削減、ぐらいのレベルの話になっていますが、小手先の話ですよね。製造業のデジタルトランスフォーメーションの本丸は現場です。シンプルにできる現場作業をシンプルにし、管理をシンプルにし、デジタル化することをちゃんとやることが重要です。
②製造のフレキシビリティ向上
また、製造のフレキシビリティを向上させるためにデジタル技術をうまく使いたいです。これは今回の新型コロナウィルスの影響で強く思い知らされたことですが、事業環境の変化は一気に来ますし、ちょくちょく来ています。
20年前ぐらいから振り返ると、技術の変化として、インターネット関連技術の進化、スマホとSNSの出現など、様々な分野での技術進化がありました。マイナスの影響として自然災害(震災、豪雨など)、リーマンショック、ブレグジット、中東方面の戦争、貿易摩擦があり、トドメの新型コロナウィルスの影響がありました。人口構造の変化やインバウンドの増加など人の面の変化もじわりと来ました。場所や業種にもよりますが、毎年から数年に一度は変化点が出てきていますよね。
そんな大きな変化がしょっちゅうあるのに、同じモノをずーっと作り続けるだけでいいのか、と考えてみましょう。生産変動への対応や、売れるモノが変わるのであればラインを変えたり新製品を増やしたりすることは大切ですよね。こういったことがすぐできるように、設計や製造のノウハウを徹底的に残してデジタル化することが重要です。
日本の元お家芸の「カイゼン」がここでは活きてきますし、ニッチトップを狙う中堅以下の企業であれば、普通に考えてある程度シンプルにできるはずです。重要な部分や技術力の源泉は難しいですし、デジタル化するにしても後のステップにしていいので、現場の業務改善をしましょう。
③他社とのシームレスな連携
オープンイノベーション、コネクティッドインダストリー(工場ネットワークなど)といった他社との連携が、これから重要と考えます。
ITの世界ではオープンイノベーションがかなり進んでおり、製造業でも遅れて広がりつつあります。自社の技術でイノベーションを起こすには限界があり、オープンイノベーションが広がってきました。それだけでなく他社の技術を活かしてでもスピード速く開発しないと、先ほど書いた事業環境の変化点が来てしまいます。
自社だけで生き残ることが難しい環境にさらされることも多いです。中小企業は常にそうですし、中堅クラスでも世界で見えると中小企業レベルなので体力がないです。体力不足は他社との連携で補いましょう。大田区では工場ネットワークが築かれています。
また、人口が減り市場が縮小となる日本では、今後もっと海外取引が重要になりますが、海外と取引するのにデジタル化を進めないなんてあり得ないです。
顧客・仕入先・パートナー企業との連携はデジタルで効率よく効果的に、画期的に行いましょう。
④働き方や組織のフレキシビリティ向上
ようやく最近言われているテレワークの範囲に入ってきました。要は、今進められている多くのテレワークは本質的なデジタルトランスフォーメーションではない、ということです。①~③が本質的であり、この「働き方や組織のフレキシビリティ向上」も①~③と絡めるべきです。目的が「新型コロナウイルス対応」だけなら小さすぎるんです。
・3K職場から脱却する
・技術の教育に力を入れる
・人材確保の幅を広げる
あくまでも例ですが、こういった目的で考えるべきです。
危険な作業をロボットで実施する、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で自動化を推進する、不良やコンタミの分析をAIで行う、などなど色々とできることはあります。ムダや付加価値低い作業を徹底排除し、3K職場を脱出することが重要です。
さらに技術ノウハウをデータで蓄積して教育することに力を入れれば、人も会社も強くなります。重要な作業は人がやることにより技能も上げられます。「技術・技能が身について楽しい」「会社としても技術・技能が向上して変わっている」とみんなが自己認識できるようになれば勝ち残れると思います。
そして、現場部門以外は働き場所にもこだわらない、オープンイノベーションで他社と協業する、といった場所や雇用形態にも対応できるようになると、人が必ず集まります。
今回はここまで。それぞれもっと深く具体的に考察したいですが、引き続きの課題とさせてください。また方法論も書きたいと思います。
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