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天皇杯 準決勝 大宮アルディージャ戦 レビュー
本当に素晴らしい試合でした。
延長戦にもつれ込むと思ったその瞬間、谷口選手の意地のシュートがゴールネットを揺らしました。
試合の内容自体、五分五分の展開でした。
そのなかでもこの試合は「セットプレー」がかなりあったので、「セットプレー」で得点が入るのかなと思っていました。
今日の勝因は【セットプレーでの粘り強さ】だと思います。
エドゥアルド選手をはじめ、ディフェンス陣が体を張ってボールをはね返し続けてくれました。
今回のレビューでもその部分をフォーカスさせて頂いています。
あともう1つ挙げるとすれば、やはり大島選手だと思います。
大島選手が入ってから、前線へのパスが多くなった印象があります。
『復帰戦でどのくらいできるのか』というところを見ていましたが、全く問題はなさそうでした。
E.ネット選手が累積警告で決勝に出れないので、決勝のボランチは大島選手になると思います。
さて、クラブ史上初の天皇杯決勝進出を決めたこの試合ですが、今回は5つにポイントを絞って解説していきます。
<目次>
1、川崎の両翼。この2人が生み出し続ける攻撃の”質”と”リズム”
2、大久保嘉人のポジションに囚われないオフ・ザ・ボールの動き。
3、采配的中!風間監督の選手交代の意図を読み解く。
4、エドゥアルドの奮闘がこの試合の勝利を引き寄せた訳とは?
5、大島僚太が戻ってきたことによるメリットとは?
以上の5つになります。
それでは!
1、川崎の両翼。この2人が生み出し続ける攻撃の”質”と”リズム”
川崎の両翼。エウシーニョ選手と車屋選手です。
この2人はディフェンスの選手ながら、攻撃力が非常に高いです。
前半23分、車屋選手がダイレクトシュートを放ちましたが、あのシーンを見るとこの試合に対する気持ちの強さがものすごく伝わってきました。
エウシーニョ選手に関しては「なぜそのボールを収められるの」というくらい足が長く、1対1の強さも兼ね備えています。
それに、前回の東京戦のようなシュートも持っているので様々な攻撃をすることが出来ます。
この試合を右サイドと左サイドで分けて話していきます。
まず右サイドからです。
今日の試合では、エウシーニョ選手か小林選手にボールを一回当ててから攻撃を展開するという形が多かったです。
ドリブラーである江坂選手や泉澤選手がサイドに配置されていたので、ここの部分での守備もしっかりしなければなりませんでした。
ですが、田坂選手の攻守にわたる活躍により結果的に90分間問題はありませんでした。
エウシーニョ選手はサイドバックとしてフロンターレにやってきましたが、その攻撃力が認められ今ではサイドハーフを主戦場としています。
どのチームも攻撃時の右サイドは警戒していると思います。
そのなかで、エウシーニョ選手は相手ディフェンスとは逆の動きをすることができるので非常にチャンスを作りやすいです。
今までもそうですが、まだまだ右サイドから得点は生まれそうです。
続いて左サイドですが、左サイドは車屋選手の物だったと思います。
守備も攻撃も全てにおいて車屋選手が目立っていました。
攻守の1対1やクロス、そしてシュートといった細かい部分でもレベルの高さを見せつけていました。
特に思ったのはカウンター時の動きです。
真ん中でボールを奪ったら車屋選手はたとえパスが来なかったとしても、すぐに大きく開きます。
これはとても効果的な動きです。
仮にパスが来れば相手との距離があるので一気に前に推進することができます。
今季Jリーグ優秀選手賞も受賞した両選手。
今後もフロンターレを支えていってくれると思います。
2、大久保嘉人のポジションに囚われないオフ・ザ・ボールの動き。
大久保選手は今回ワントップとして試合に入りました。
試合を見ていれば一目で分かりますが、大久保選手はずっとワントップの位置でボールが来るのを待っているということは一切しません。
シャドーの位置にいる登里選手や小林選手と流動的にポジションを変えながら、相手のディフェンスラインを掻き乱していました。
大久保選手が色々なところに顔を出すことで、相手が数人大久保選手の方に引き寄せられます。
そうする事でスペースができるのでそこに他の選手が入ってきたり、ドリブルを仕掛けたりできます。
大久保選手の動きだけで、たくさんのチャンスが生まれるきっかけになります。
特に、登里選手との相性はとても良いと思います。
以前までサイドハーフの時間が多かった登里選手はここにきてシャドーで起用されています。
シャドーで起用されてから、大久保選手とのコンビネーションやスイッチなどがサイドハーフの時よりもスムーズにいっています。
だからこそ、今日のスタメンに大島選手ではなく登里選手が起用されたのです。
残念ながら大久保選手は今季での退団が確実です。
一フロンターレサポーターとして、もっとこの2人を見たかったです。
3、采配的中!風間監督の選手交代の意図を読み解く。
交代ボードに11という数字が見えたときびっくりしました。
ここで小林選手を代えてくるのかと。
あの状況だと絶対的に必要な選手だと思っていましたし、ここでの交代はないと思っていました。
ですが、風間監督は意表を突くかのように交代カードを切ってきました。
その交代選手は三好選手でした。
結果的に三好選手がどんどんドリブルを仕掛けてチャンスを造り出していました。
風間監督の考えは偶然ではなく必然なのかなと思います。
それ以外にも、登里選手を先に交代させています。
元々、大島選手は試合に出ることがほぼ決まっていたので、誰と交代するのかなと思っていましたが、まさかの登里選手でした。
大島選手をボランチに中村選手をシャドーに。
これも結果論ですが、大島選手が入ったことによって一気に攻撃の強さが増しました。
田坂選手をめがけた鋭いパスは今日一番のパスだったと思います。
大島選手は全く怪我明けという感じがしないくらいガツガツとプレーしていました。
決勝戦まで中2日と時間は少ないですが、どんどんコンデションを今よりも上げて欲しいですね。
大島選手については「5、大島僚太が戻ってきたことによるメリットとは?」で詳しく書いているので、そちらを是非お願いします。
4、エドゥアルドの奮闘がこの試合の勝利を引き寄せた訳とは?
タイトル通りです。
本当にエドゥアルド選手が頑張ってくれました。
裏への高いボールをしっかりと弾き返し、鄭成龍選手がかわされて無人のゴールになったときにシュートを放たれましたが、それをも防いでくれました。
ゴールのアシストもエドゥアルド選手です。
普段から局面で確実になにかしらしてくれるエドゥアルド選手、彼は期限付き移籍で柏レイソルからフロンターレにやってきました。
移籍してきてすぐにスタメンを奪い、今ではいなきゃならない存在に。
絶対に手放したくない選手になりました。
左利きということもあり、左CBやスリーバックの真ん中など主に左サイド寄りで起用されていますが、それの理由としては繋ぎやクリアの際の精度だと思います。
やはり、右利きの選手よりも左利きの選手の方が左足での精度が高いのは当たり前です。
パスを繋ぐことを重要視するフロンターレにとって、パスミスというのは自爆行為の一種です。
その部分のミスをなくそうということで左利きのCBであるエドゥアルド選手を期限付きで獲得したのだとおもいます。
それに加えて、自陣左サイドの深い位置でのクリアの精度もあると思っています。
ここでボールがタッチラインを割らないで前線の選手に繋げるというのはとても大きいです。
エドゥアルド選手はそこの部分でのミスがあまり見られません。
186㎝あるエドゥアルド選手ですが、オフェンス面でも稀に起用されます。
それは、パワープレーの部分です。
森本選手とエドゥアルド選手を合わせることで前線のポイントを作り、ボールを当てやすくします。
そして、コーナーキックでもかなりの武器となります。
やはり身長がある分、コーナーキックに関しては攻守において一番の目立つと思います。
決勝でもエアバトルは予想されますが、そこでもエドゥアルド選手の強さを出してほしいです。
5、大島僚太が戻ってきたことによるメリットとは?
ようやく戻ってきました。
かれこれ2ヶ月も大島選手を見ていませんでした。
やはり彼は圧倒的な技術を持っています。
そのなかで一番印象に残ったのは冒頭でも書かせて頂いた通り、田坂選手への縦パスです。
一見、手前の大久保選手へのパスだと思いましたがその奥には田坂選手がしっかり走っていました。
田坂選手は攻守においてかなりの距離を走っています。
ですが、そこで決して運動量が落ちるということはなく常に全力でピッチを駆け回っています。
それに大島選手がボランチに入ったことで、中村選手がシャドーの位置に上がりました。
これによって、フロンターレの攻撃力はぐんと上がりました。
最後の細かいところでのラストパスの役割を中村選手が担うことによって、その部分での質やスピードが変わります。
実際、何本も中村選手からチャンスが生まれました。
次の決勝戦は中村選手と大島選手のダブルボランチだと思いますが、久しぶりのこの2人によるボランチは非常に楽しみです。
次の決勝戦、フロンターレに"準"という文字は必要ありません。
試合後のゴール裏で中村選手が言った『鹿島を倒すぞ!』という一言を、チームに関わる人全員で達成してほしいと思います。
そして、見たことのない景色へと。
(RYUJI ICHIYA)
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!
決勝戦のプレビューもよろしくお願いします。