”天才”の現在地 家長昭博 ~優勝を狙い、再び代表へ~
2017年。
かつて”天才”と呼ばれた男は、水色のユニフォームに袖を通すことになった。
絶対的存在の1人である大久保嘉人が2016シーズン限りでの退団が決まり、”席”は空いた。
その席に座るべくして、川崎の地に舞い降りたのは家長だった。
青年期には色々なことを経験した。
G大阪の下部組織からトップチームに昇格し、年代別の日本代表ではU-15からU-22まで選ばれ続け、いうならば「エリート」であった。
そんな家長は海外でのプレー経験も持つ。
スペインのマジョルカ。韓国の蔚山現代。と2チームでプレーしている。
蔚山現代に関しては、今シーズン出場するACLで対戦する可能性がある。
ACLは毎年、日本のチームが悩まされる大会だ。
近年では2008年にG大阪が優勝して以来、日本勢は良い成績を残せていない。
その影響もあり、本戦への出場枠が削減された事実もあるだけに今後、アジアの差を埋めていかなければならない。
ACLを控えるフロンターレにとって、海外経験のある家長の加入はとても大きいだろう。
2014シーズン。大宮アルディージャに移籍したが、J2降格を味わうことになってしまった。
その年の暮れ。
移籍の話が挙がっていたが、残留を決断し、翌2015年は11得点を挙げ、見事1年でのJ1復帰を果たした。
昨シーズンも家長は11得点を挙げ、年間順位でクラブ最高となる5位にまでチームを導いた。
大宮アルディージャにとって家長は絶対的な存在であり、川崎フロンターレでの大久保と重なる。
そんな家長が移籍を決断するのは、とても難しかっただろう。
だが、プロサッカー選手としている以上、”代表”への想いが色褪せることはない。
大久保も31歳で加入し、32歳でブラジルW杯メンバーに入っている。
奇しくも家長は大久保と同じ31歳で加入し、来年にはロシアW杯が控えている。
ハリル・ホジッチ現日本代表監督は家長のことを会見で『過去に天才と呼ばれていた選手だ』と発言したこともあり、注目することは間違いない。
【川崎物語】にまた新たな章が創られようとしている。
(RYUJI ICHIYA)