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リノベーションのすすめ

はじめに

近年「リノベーション」という言葉が市民権を得て、いろんなところで使われるようになりました。かつては「リフォーム」と言われていましたが、リノベーションという言葉にあるオシャレな雰囲気が注目されるようになってきたのだと思います。
ご存知のとおり、リノベーションは英語の renovation の日本語読みになります。「re-(再び) + inovation(発明)」を合わせた言葉で、もう一度、建物の発明を行う、といった意味合いです。ちなみに英語でいうリフォームはreformになり、宗教改革や政治改革といったニュアンスが強くなり、建物にかんする用語としてはあまり使われていません。そういった背景からも、リノベーションの方が、語源の理解としても相応しいように思えます。

リノベーションを行うメリットは以下の3点に集約されます。
A.コストダウン
B.空間的魅力
C.環境負荷の低減
次にそれぞれについて説明します。

A.コストダウン

リノベーションは一般的に「コストダウン」を実現しやすい計画手法です。いくつかの要素が複合的に関連してきます。
A-1. 土地、および既存建築を身内が持っている・・・「不動産取得費が安い」
A-2.建物付きの土地を購入・・・建物解体費を差し引いて土地代が設定されるケースが多く、安く土地購入をできる。
A-3.基礎、躯体等の建築コストを低減できる。ただし、建物の状態によっては逆にコスト増となるケースもあるので注意が必要。
A-4.建物の固定資産税が、経年劣化査定されるので安い。
A-5.各種補助金(自治体の補助金、耐震改修、エコ改修の補助金)を受けられる。

B.空間的魅力

建築は常にコストとの戦いです。とりわけ予算の厳しい新築案件の場合は壁はALLビニルクロスとなる場合もあり、クロスの柄でしか遊べなくなってしまうケースもあります。
一方、リノベーションの空間作りにおいては、古い材料を魅力的に活用することが求められます。センス良くまとめる必要がありますが、うまくいけば、新築では実現できないようなインパクトある空間づくりができます。

既存建具の障子紙を撤去し、簡易的な空間仕切りとして活用

C.環境負荷の低減

古い建物を活用するリノベーションは、「建築材料の低減」「スクラップ&ビルト」の廃止といった意味で環境負荷の低減に貢献できます。しかし、見えない部分での低減も実現できます。
例えば、新築住宅を、新しい宅地で立てようとする場合「宅地造成」が必要になってきます。不動産業者が集団造成を行い、「分譲地」として販売しているケースが一般的ではないでしょうか。この造成には土砂やコンクリートの資材が大量に必要になる他、上下水道、電気、排水路などのインフラを新設する必要があります。リノベーションは既存インフラをそのまま活用できるケースがほとんどなので、さまざまなレベルで環境負荷を抑えた案を作ることができます。
また、「空き家」が増えると、防災・防犯面において、地域によくない影響を発生させます。リノベーションでそういう建物を活用することで、地域・まちづくりにとってもメリットがあることも大切です。

まとめ

このようにまとめると、リノベーションはメリットだらけにも見えます。しかし、その効用はケースバイケースになるため、事前の入念な調査が重要です。
しかも、A-2にあるように新規に建物付きの土地を購入される場合、良い物件ほど、早く手をつけられてしまうので、「スピード」が大事になってきます。リノベーションになれた設計士と連携を組み、「気に入ったらすぐに購入予約をする」ような対応が必要になってきます。
このように注意も必要ですが、私としては、リノベーションを積極的に推進していきたいと思っています。


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