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焼鳥丼はタイフーン(伊勢廣本店@京橋)
その日は銀座に用事があったので、お昼はここと決めて京橋へ向かった。言わずと知れた焼鳥の名店だが初来訪だ。
入り口で注文をするとエレベーターで2階に通された。注文は焼鳥5本丼。レバーはちょっと苦手だけど、せっかくだから食べてみる。
テーブル席から、煙がもうもうと立ち込めるカウンターを眺めた。カウンターでは皆思い思いの焼鳥を食べ、ビールをあおる人あれば、飯を貪る人もいる。丼を食べる人も多い。4本丼を食べる老夫婦がいれば、5本丼を食べるカップルもいる。みんな自由で、いい。
そんな豊かな風景を眺めていると、青と白の丼が運ばれてきた。
串から外された焼鳥が、串から外されたことに気付かないままご飯の上に並んでいる。行儀が良くてかわいらしい。
どれから食べようかな。丼やお重を食べる時、私はついつい左下から食べ始める。今回も左下のささみから。ささみはわさびが乗っているが、辛くなくて香りの良いわさびだ。ギリギリレアじゃない絶妙な焼き加減で、パサつかず、しっとり一辺倒でもなく、ジューシーでプリッと仕上がっている。私の知っているささみと違う。
次は一つ右の団子を食べる。もちろん下から。これも頬張ってびっくりした。つくねがほどけて肉汁が溢れ出したのだ。こんなにジューシーな肉団子があるか。表面はカリッと香ばしく中はジューシー。肉団子の理想形そのものだろう。美味しさにくらくらする。
次はその右のもも肉だ。噛めば弾ける。これでもかというほどぷりっぷりだ。ただでさえ美味しい鳥もも肉にこんなポテンシャルがあったなんて。ここで鳥肉のポテンシャルをこんなに引き出す天才の焼いた焼鳥を食べられることに感謝した。ありがたい。葱まで美味しい。
次は皮身。皮に身を残して捌いてあるようだ。ここの皮はすごい。表面はパリッとしている。炭火の香りの脂が口の中いっぱいに広がる。そして皮特有のくにゅっとした食感もそれはそれは上品に残されている。身のジューシーさも相まって口の中は天国だ。
最後にレバーである。レバーは少し苦手だけど……と口にして驚いた。それは口の中でとろりととろけたのだ。たしかにレバーの味はするが、臭みは全くない。白子のような濃厚な旨味があふれる。私の苦手なレバーはもっとパサパサしてて癖がある。私の知っているレバーとはまるで違う。色も違う。一体何をしたらこんな色になるんだろう。とにかく美味しさに驚いた。
レバーの先にはハツもあった。コリコリとして、これまた臭みも無く美味しい。噛めば噛むほど旨味が溢れて噛むのをやめられない。
あとはこの順番に食べ進めるだけである。ひたすら美味しい。炭火が上品に香り、肉汁が溢れ、噛むごとに食感に驚いていたらあっという間になくなった。タレご飯も美味しくて普通盛りにしたのを後悔した。美味しさの台風だった。
締めに鳥スープをいただく。台風一過の口にホッとする味わいである。しかし頭の中は尚、あれが美味しかったあれが凄かったと反芻が止まらない。
とにかく衝撃的な体験だった。東京にアクセスできる人にはもれなく食べていただきたい。
今度はカウンターで焼鳥のコースでも。いや、また焼鳥丼でもいいな。だって美味しかったんだもん。