ふーちゃんとわたし
ふーちゃんって誰でしょう。
答えはしきしまの麩菓子のふーちゃん。食べやすい小さめの麩菓子がたくさん袋に詰まっていて、夢がある。希望もある。けどたくさん食べちゃうから小さいとか関係ないかな。
麩菓子の本当の美味しさが分かるようになるのは大人になってからだった。あの黒糖の複雑な味わいを、子供の舌では因数分解できなかった。ふわっととける食感は好きだったけど。
それにふーちゃんと私はとても似ている。親近感が湧くから好きだ。それは素朴なところだ。
私はとても素朴な人間で、例えば化粧っ気が無い。いや、正確にはお化粧ができないのだ。
確かに母はあまりお化粧をしないけど、妹はバッチリお化粧をできるようになった。
私も勉強しようと思ったことはある。ドラッグストアでお姉さんにひと通り化粧を施してもらい、ファンデーションを買った。でも肌の息苦しさと、全く良くならなかった自分の顔への絶望感で、それっきり自発的に勉強はしていない。ファンデーションも、それっきり、開けずに捨ててしまった。
極端に鏡を見るのが嫌いで、自分の顔の良い悪いもよく分からない。
化粧はマナーだとか、化粧をしないと恥ずかしいとか、色々聞くけどやっぱりできない。
だからもう諦めた。そういう運命の元に生まれたのだ。お化粧はしないけど、好きなTシャツと好きなジーパンを履いて過ごしている。それでいいのだ。
ふーちゃんは全く飾らない。でもふーちゃんも恥ずかしくないと思う。素朴な自分を誇りに思っていると思う。
あとは私も、黒糖のような複雑な味わいのある人間になろう。ふーちゃんのように。