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2024年度夏の青春18きっぷ旅行 1日目その1 始発アタック(南福岡→三原編)


はじめに

1週間前にコロナに罹り三日三晩高熱で苦しんで旅行自体が危ぶまれたが、何とか体調は回復し、出発前日までに仕事を間に合わせ(間に合わせた気になっているだけかもしれない)、各種必要な切符を手配し、足りない衣料や備品を買い、部屋、特に水回りの掃除を行い、スーツケースに充電器やら何やらを詰め込むことに成功した。かくして俺の2024年度夏の青春18きっぷ旅行がスタートする。

JR鹿児島本線 05:52南福岡発→07:38小倉着

華麗なる早朝起床を経て始発の駅へ向かう。本日の始発駅は南福岡。博多から3駅離れた場所からのスタート。本日はこのままJRを乗り継いで岡山県倉敷市の児島まで移動を行う。サラッと書いたけど、かなりの長時間移動である。手始めに、南福岡からまずは31駅離れた小倉まで向かう

1日目のスタンプ

青春18きっぷに1日目のスタンプを押してもらい、駅へ入場。ガラガラの車内のロングシートの端に陣取る。向かい側のシートの下にゴルゴ13のマガジンやペットボトルが落ちているのを発見。この車両はいつ掃除をしているのだろう。そうこうしているうちに出発。シート下のゴルゴ13も俺と一緒に小倉まで運ばれていく。

転がるゴルゴ13、何故

南福岡ではガラガラだった車内も、博多駅からは朝帰りと思しき蛍光カラー服の青年や朝練に向かう高校球児やらが乗車してくる。1日の終わりと始まりが交差する空間が広がる。蛍光カラー服の青年は俺の隣に座るや否やすぐに寝落ちし、高校球児はグローブとボールの手入れをし始めるし、途中の駅ではカップルが2人揃ってコンビニ弁当を手に持って食べながら乗車してきた。異様な光景を尻目に文庫本を読む。早朝起床の影響で目が滑って読解のペースが上がらない。その上で蛍光男のスマホが10分に一度のペースでアラームを鳴らし始めた。爆発のカウントダウンのような警告音が車内に響くのに蛍光男は起きないし、挙句、俺の方にもたれかかってくる。乗客の目線が何故か俺に集まる。いやいや俺のツレじゃないですが。しかして弁解の余地なし。仕方ないので彼の肩を叩いて起こしてやる。警告音発信蛍光男はアラームを止めて軽く会釈をして、また寝落ち。このやりとりがおよそ10分間隔で水巻駅まで続いた。君、結構遠くから来てたのね。

1時間以上電車にいると乗客も入れ替わり立ち替わりで多種多様な人と入れ違うのだけど、早朝起床の影響で、警告音定期発信蛍光男が降車して以降は俺も油断して西小倉まで寝てしまった。目覚めた時には横にも向かいにも老夫婦が座っていた。目をつぶっていた数十分のうちに浦島太郎になった気分。

JR鹿児島本線 07:47小倉発→08:02下関着

ホームで待ってる
これに乗ります

軽く寝落ちしたのもあったけど、やはり眠気が強いので自販機でコーヒーを買う。長い旅路では利尿作用が気になるのでカフェインを取るのは控えたいところだが、眠気に負けて乗り換えをミスするなどのリスクは予防したい。
あまり荷物を増やしたくなかったので185ml缶のエメマンあたりを探していたけど、なかったので仕方なく260mlのキャップ付の缶を買う。持ち運びシーンやオフィスではキャップ付缶が重宝するけど、サクッと飲みたい時は185ml缶のほうがありがたい。安いし。

ちなみにコーヒーはペットボトルより缶が好き

ホームに滑り込んでくる目的の電車に乗る。15分程度の乗車時間、特筆することもないのだけど、門司駅〜下関駅の間は鉄道の電化方式が切り替わるようで、一瞬車内の電灯が消え、また点灯する事象を目の当たりにする。以前この区間でこのあるあるを目の当たりにした時は「海底トンネルだからかな?」とか思っていたけど、どうやら電化方式が直流と交流が切り替わるから、らしい。詳しいことは各自で調べていただきたい。

JR山陽本線 08:11下関発→11:22岩国着

※厳密には前述の電化方式切り替わりの境目である門司駅から山陽本線。

事前に電車どうしのリレーションを調べていたのでスムーズに乗り換えができた。青春18キッパーにとって山口県での乗り換えは難所の1つで、下手すると「下関駅で1時間待ちw」とか「岩国駅で1時間待ちw」とかそんな事態に陥ることがある。まあ同様の事態はローカル線(山陽本線がローカル線かどうかは一旦脇に置く)のどこでも起きうるので、青春18きっぷを使う上では乗り換えの下調べは欠かせない。

さて、小倉から島式ホームの下関駅に滑り込むと、既に岩国行の車両が出発のスタンバイをしていた。俺を含む小倉からの民の一部はそのまま吸い込まれるように岩国行車両に乗車する。そこで目に飛び込んできたのはボックスシート。

快適空間

これから岩国駅までの35駅、3時間ちょっとの旅路においてボックスシートは青春18キッパーにとって快適な環境と言っても良い。通勤電車向けロングシートに比べると博多警告音定期発信蛍光男のような者が隣に座る可能性も低い。ロングシートよりはリラックスした状態でぼんやりと車窓の景色を楽しみながら移動ができる。
空いているボックスシートを確保。あたりを見回すと、俺と同じ魂胆でボックスシートを陣取る移動の民がチラホラ散見される。デカいタブレット端末でネットフリックスを見るお兄さんや手作りおにぎりを頬張ってピクニック気分なお姉さん。まだ朝8時だからこんなものだが、時間帯が昼を下ったあたりになると窓辺にビール缶(ロング)を置いて旅を満喫するおじさんも発生するだろう。ロング缶を飲みながら結構遠くまで行くつもりのおじさん。ちなみにロング缶おじさんは学生時代の青春18きっぷ旅行で遭遇したことがあり、小倉から大分まで行動をともにしたことがある(「もしかして君も青春18キッパーかい?」などと話しかけられて意気投合した)。元気にしているだろうか。覚えてくれているだろうか。

長閑な日本の風景

車窓からは長閑な風景が広がっている。日本の原風景、眼下に広がる一面のクソミドリ。そんな風景を尻目に文庫本を読む。コーヒー効果で目が滑らない。読める、読めるぞ、とムスカ大佐のモノマネをしていたらいつのまにか新山口駅に到着した。手作りおにぎりピクニック姉貴はここで下車した。かなりの人数が入れ替わる。小学生〜中学生くらいの若者の人口密度が増える。車内の平均年齢がマイナス10歳くらい下がったんじゃないかと思うくらい乗ってきた。どこまで乗るのだろうと見ていたら彼らは防府駅で全員降りた。駅前にデカいイオンがあったので、十中八九そこで遊ぶのだろう。

防府駅より先は瀬戸内海を目の当たりにしたり、工場地帯を眺めたりしていた。海の青さに都度感動したり、工事夜景を想像してワクワクしたりしていた。

夜景がキレイそう
海を見てテンションが上がり指が写り込んでいる

途中、徳山駅では新幹線接続の関係で出発時間が少し遅れたけど、岩国駅ではどうせ30分弱の乗り換え待ち時間があるので特に問題なかったし、結局電車の運行時間も追いついた。仮に岩国駅で電車の乗り換えをミスしたら、待ちぼうけしている間に錦帯橋でも眺めようかな、と思いつく。ただし、改めて調べてみると岩国駅から錦帯橋までの距離が徒歩で行くにはかなり離れていることが分かったので、錦帯橋見学は別の機会にとっておこうと思う。

そういえば下関駅から一緒に乗っていたネトフリ兄貴も岩国駅で下車した。彼もまた青春18キッパーだったのかもしれない。

JR山陽本線 11:49岩国発→14:03三原着

通り過ぎるJR貨物
1両編成車両

岩国駅に停車すると向かいのホームから今まさに出発しようとしている電車があった。「アレに乗れば全体の所要時間も巻けるのではないか?」と慌てて調べ直したが、結果的には大差ないことが分かった(し、どのみち調べている間に当該車両は出発してしまった)ので、予定通り休憩をすることにした。

30分弱、もしかしたら待ちぼうけるかもしれないなァ〜と悠長なことを考えていたが、トイレを済ませて駅直結のカフェで昼食を済ませたら意外と時間が足りなかった。というかタイムアタックになっていた。注文したハムチーズサンドを喉奥に突っ込み、カフェラテで流し込む。コンセントがあったのでスマホの給電をしようとして、スーツケースに充電器を突っ込んでいたことを思い出して中から引きずり出すなど。優雅さの対極に位置する無粋な真似。他の席では常連と思しき老婆と店員が永遠とも思える時の中で仲睦まじく談笑しており、また他の席では家族連れ海外ツーリストが旅の思い出に耽りながらランチをとっている中で、俺のこの蛮行である。結局駅からは一歩も出ずに岩国駅から離れることになった。錦帯橋含めて、また別の機会にゆったり過ごしに訪れたい。

IWAKUNI COFFEE。約10分で詰め込んだ

そうしてバタバタと休憩を済ませてお目当ての電車に乗る。これまた青春18キッパーの強い味方のボックスシート。これから30駅2時間強の行程では助かるなァと寛いでいたら、宮島口駅で隣に海外ツーリスト(女性)が座ってきた。ぶっちゃけ、誰も座ってこないだろうと油断していただけに不意を突かれた格好。当たり前だけど、席が空いているなら誰でもこれに座って良いのである。何か話しかけられたりするだろうかナンパとかされるだろうか俺の英語は拙いけどコミュニケーション取れるだろうか等々とソワソワしていたけど、彼女のツレの男(彼もまた反対側のボックスシートの通路側に座っていた)と恐らくスペイン語で広島駅まで談笑していたので、杞憂だった。旅先でロマンスなんて容易く起きるものではない。妄想乙。

その代わり、と言うのも変な話だけど、本郷駅で停車した折に老婆がヨタヨタと寄ってきた。どうやら座れる場所を探していたようだったので「ここ空いていますよ」と声をかけた。悪いねえ〜と広島弁混じりで会釈をされたついでに他愛もない会話が続く。車内の雑音やら何やらで聞き取りにくい部分があったが、およそ話された内容は以下の通りである。

  • 御年80歳

  • リハビリをしている

  • 岡山へ向かっている

  • 去年までは新幹線を使ったが交通費がバカにならないので今日は鈍行で向かっている

  • 糸崎駅のトイレは水圧に不安があるから車内にトイレが設置されているのは非常にありがたい

  • 車内でトイレを使っている間に座っていた席が埋まってしまって狼狽えていたところを声掛けしてもらって助かった

放っておくと永遠に会話が続きそうな雰囲気もあったが、俺は本郷駅の次の駅・三原で下車したので、実際のところ会話時間は10分にも満たない。思えば今回の旅で初めて喋った相手だったか。名前分からないけど長生きしてほしいものである。ちなみに念の為付記しておくと、この淑女とのロマンスは発生していない。

ここまで長々と書いたので、一旦区切る。

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